社員の降格に伴って
給料も下げたい。
これは
会社としては自然な発想にも思えます。
しかし
実は「降格」と「減給」は
必ずしもセットではありません。

(今日の「棒人間」 降格と減給のダブルパンチ??)
<毎日更新1834日目>
A社長の会社で長年営業部長として働いてきたB氏。
しかし
最近は部下とのトラブルが増え
若手社員からB氏からパワハラを受けて
いるという話を聞くようになりました。
そこで
A社長は
B氏を管理職から外すことを決断。
B氏を営業部長職から
「降格」するとともに
基本給を10万円減額しました。
ところが後日
このB氏からA社長に対して
クレームが入ります。

社長、いくらなんでもこんな減給はひどい!
こんな一方的な減給は違法ではないですか!
とB氏から詰め寄られたA社長。
怒り心頭で
会社との「裁判」も辞さないというB氏の
迫力にA社長もつい押されてしまいます。

弊社の今回のBに対する措置は、違法なのでしょうか?
A社長は私のところに
ご相談に見えられました。
さて
今回のA社長が行った
B氏の降格処分に伴う
月額10万円の基本給の減額。
これは
法的にどのように評価すべきでしょうか?
まず
給料というものは
会社と社員との間の
雇用契約上の重要な内容です。
ですから
そもそも会社が一方的に
社員の給料を減額できる
というわけではなく
基本的には契約当事者である
社員の承諾が必要です。
世間でよく誤解されている点ですが
たとえば管理職から一般社員に
「降格」させる。
仮にこの「降格」が有効であったとしても
だからといって自動的に給料を減額できる
というわけではありません。
すなわち
法律上は必ずしも「降格」と給料の
「減額」は直結しない
ということです。
ただし
就業規則で職位などが定まっていて
そうした職位の変動により給料を
減額させる旨が規定されている場合。
そして
その就業規則が社員にきちんと
「周知」されている場合には
「降格」に伴う給料減額が
認められ得ることになります。
簡単に言えば
こうした場合には
社員の「降格」に伴う給料「減額」も
ある意味雇用契約の内容に
なっていると考えられるからです。
ただし
「給料」が雇用契約上の
重要な内容であることから
就業規則で単に給料減額の可能性が
抽象的に規定上示されているだけでは
ダメだとされています。
そうではなく
具体的な給料の減額基準が定められて
いる必要があるとされています。
1つの例としては
個々の職位ごとに基本給の額が決められていて
職位の変動とともに給料が連動して変動する
旨が示されているような規定が考えられます。
具体的には
下記のような定め方が1つの方法です。

さてさて
それでは
「降格」に伴う給料の
「減額」ができるとして
どの程度の「減額」ができるのでしょうか?
この点も
上記のような就業規則の
規定を完備していれば
いくらでも「減額」できる
というわけではありません。
給料の減額の程度が大きい場合は
やはり社員が被る不利益が大きいとして
「減額」が権利の濫用として
無効とされる場合があります。
それでは
どの程度までなら権利の濫用と
ならずに適法に「減額」できるのか?
裁判例などに照らすと
概ね10%を超える減額は
権利濫用で無効とされるリスクが
大きいと考えます。
ですから
「減額」は10%を超えない範囲
安全策をとるのであれば
5%程度におさえた方がよいと考えます。
というわけで
安易な給料の減額は
社員とのトラブルの原因となり
最悪は「裁判沙汰」に陥る危険もあります。

社員の「降格」と
給料の「減額」は直結しないこと。
「減額」できる場合でも
その金額には一定の限度があること。
その辺は押さえておかれた方が
良いでしょうね。
それでは
また。
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昨日は、早朝に地元の公園を6キロほどランニング。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。