「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【建物を境界線ギリギリに建設】隣地所有者からクレームにどう対処するか?

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民法では、建物を建てる際には、隣地との境界線か

ら50センチメートル以上離して建てなければなら

ないとされています。

 

 

しかし、実際には、商業地域などではビルがお隣同

士接近して建てられています。

 

 

これはなぜでしょう?というお話です(^ ^)

 

 

 

 

(商業地域では、多くの建物は隣地との境界線ギリギリに立てられている)

 

<毎日更新587日目>

隣地の所有者から「建物を壊せ」とのクレームが?

先日、ある建設業を営んでいる会社の社長からご相

談を受けました。

 

 

なんでも、この会社で建設した倉庫について、隣地

の所有者からクレームが来ているとのことです。

 

 

こんにちは。今日はまた相談したいことがありまして・・・。

会話

こんにちは。どうされましたか?

実は、うちの会社で倉庫を建設したのですが、その土地の隣の土地の所有者からクレームを言われているのです。

会話

それは、どんなクレームですか?

それが、その倉庫を、隣地との境界線ギリギリに建ててしまいました。
しかし、実は民法の規定で、建物を建てる際には隣地との境界線から50センチメートル以上離さなければいけない、とされていることを後から知ったのです。

会話

なるほど。確かに民法の規定ではそうなっていますね。
それで、その隣地の所有者はなんと言ってきているのですか?

うちの建てた建物は法律に違反しているので、すぐに倉庫を取り壊せ、と言ってきているのです。

会話

なるほど、それはキツイ要求ですね。

そうなんですよ。うちとしては、一応建築確認は下りてますし、それにも関わらず倉庫を建て直すとすると莫大な出費になってしまいます。
この場合って、やはり建物を取り壊さなければいけないのでしょうか?

会話

いやいや、その場合も民法に規定があります。
基本的には建物が完成してしまった後は、隣地の所有者は損害賠償の請求のみができるとされています。
ですから、建物を取り壊す必要はありません。

なるほど、倉庫を取り壊す必要がないのは安心しました。
ただ、そうなると、隣地の所有者から損害賠償請求をされる可能性があるわけですね。

会話

そうですね。ただ、それほど大きな損害が発生するケースは稀でしょう。
裁判例では、慰謝料として20万円が認められたケースなどがあります。

 

 

 

 

隣地との境界線からどのくらい離して建てれば良いのか?

上記の点に関しては、民法234条1項で次のように定められています。

 建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない。

 

これは、要するに建物があまり隣地に接近して建て

られると、火災等の際に延焼が起こったりする危険

があることから、このような規制がなされています。

 

 

しかし、建物が完成してしまった後で、隣地との境

界線から50センチ以上離れていないという理由で、

建物を取り壊さなければならないというのは、あま

りにも建物を建てた方の不利益が大きい。

 

 

さらに、新しく建てた建物をすぐに取り壊させるの

は、社会経済的損失も大きいでしょう。

 

 

そこで、民法234条の2項で、隣地の所有者は、

その問題の建物が完成してしまった後は、損害

賠償の請求のみをすることができるとされています。

 

 

ですから、隣地の所有者としては、建物の取り

壊しを求めることはできず、損害賠償の請求の

みができるということになります。

 

 

では、損害賠償としてどの程度の金額が認められるのでしょうか?

 

 

この点、今の建物は通常は耐火構造になっています

から、隣地境界線から50センチ以上離れていなか

ったとしても、何か具体的な実害が発生することは

少ないと思われます。

 

 

考えられるとすれば、建物が自分の土地に接近して

建てられることによる精神的苦痛、つまり慰謝料と

いうことになります。

 

 

ただ、日本の裁判所では、それほど高額の慰謝料が

認められるケースは少なく、せいぜい数十万円程度

のことが多いものと思われます。

 

 

なお、ここで、疑問に思われる方も多いでしょう。

 

 

だって、例えば商業地域などでは、ビルがかなり接

近して建てられていて、隣地境界線から50センチ

も離れていない建物は山ほどあります。

 

 

これらは皆、法律違反の建物なのでしょうか?

 

 

実は、建築基準法63条という法律があり、上記の

民法の例外として、次のように定められています。

 防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる

 

ここでいう「防火地域又は準防火地域」というのは、

いわゆる商業地域などと考えていただいて構いません。

 

 

この建築基準法の例外があるので、商業地域などで

はビルが接近して建てられていますが、これは法律

違反の建物ではない、というわけです。

 

 

 

 

まとめ

というわけで、

今日のポイントは

 

 建物を建築する際には、隣地境界線との間に一定の距離が必要だが、例外もある!

ということです。

 

 

まぁしかし、隣地とのトラブルというものは、とか

く深刻になりがちで、中には「裁判沙汰」に発展す

るケースもあります。

 

 

そうしたことを避けるためにも、原則として隣地境

界線との間に一定の距離を設けなければならない、

という法律は知っておいた方が良いでしょうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、ちょっと息抜き回ということで、「忙しい」というテーマでお話ししてみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

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昨日も引き続きキャンプ。
房総半島とはいえ、やはり冬のキャンプは寒いです。
今日これから東京に帰ります。
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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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