「うちの会社は家族経営だから大丈夫」
そう思っている経営者の方は
少なくありません。
しかし
会社の株式や相続の仕組みを理解していないと
信頼していた身内によって会社を奪われる
そんな事態が現実に起こることがあるのです。

(今日の「棒人間」 会社を乗っ取られた??)
<毎日更新1876日目>
A社長の会社では
株式の70%をA社長が持ち
残り30%をA社長の弟のYが持っていました。

Yは
兄であるA社長と長年一緒に
この会社で仕事をしてきており
「オレは兄貴の会社を守る」が口癖。
社員からも慕われていました。
A社長もそんな弟のYを頼りにしており
株式30%も
「いざとなれば一緒に会社を支える仲間」
としてA社長がYに持たせたものでした。
ところで
実はA社長にはひとり息子のXがおり
将来的には会社はXに継がせたい
と考えていました。
ただ
具体的な事業承継には
まだ着手していませんでした。
A社長としては
万が一自分にもしものことがあれば
弟のYがうまくやってくれて
会社の後継者である息子のXが社長として
独り立ちできるまで会社を支えてくれるだろう。
そんな気持ちでいました。
一方で
ひとり息子のXの方でも
このYを頼りにしており
「叔父さんがいるから大丈夫」
と思っていました。
そんなあるとき
なんとA社長が急病で突然
亡くなってしまいます。
A社長の葬儀の時
弟のYは人目もはばからずに号泣。
そして
まだ若く
不安そうな顔をしていたXに対し
と言いました。
Xは
叔父の言葉をとても頼もしく思い
深くうなずいたのでした。
父親であり
社長であるA社長が亡くなったことで
A社長が持っていた株式(70%)は
A社長のひとり息子であり
唯一の相続人である息子のXが相続しました。

会社の方は当面叔父であるYに任せきり
という格好になっていましたが
何しろ頼りになる叔父だし
いざとなれば自分が相続した70%の
株式を持っているので大丈夫。
Xは何も心配していませんでした。
そして
A社長の葬儀から約2ヶ月後
突然Xのもとに
会社の「臨時株主総会」の招集通知が届きます。
何とその招集通知には
会社からXに対して
Xが持っている70%の株式を売り渡せ
という内容が書いてありました。
何のことかよくわからず
Xが指定された「臨時株主総会」
の日時に会社に赴くと
叔父であるYが
と言います。
Xは
と怒りをあらわにします。
それに対して
Yは静かに言いました。
どういうことかと言うと
会社法の175条では
会社は
株式を相続した相続人に対して
その株式を会社に売り渡すように
請求することができます。
この制度はもともと
経営者に集中していた株式が
相続によって分散されてしまうと
会社運営に支障が生じる
おそれが出てきます。
そこで
会社は
株主総会の特別決議(3分の2以上の賛成が
必要な重要な決議)を経て
相続人に対して
その相続によって取得した株式を売り渡す
ように請求することができるとしたのが
この制度です。
ただ
その株主総会の特別決議では
会社法175条2項に規定によって
現に株を持っている相続人は
議決権を行使することができない
とされています。
これは
要するに
この場面では会社側はなるべく
安く相続人から株を買いたい。
他方で
相続人側はなるべく高く買って欲しい
というように
社と相続人で真っ向から
利害が対立します。
そこで
この場合の相続人である株主は
自分が売り渡し請求の相手方なのに
その決議で賛否を投じるのはおかしいのでは?
という発想が出てきます。
よって
いわば決議の公正を保つために
利害相反関係人の立場にある相続人の
株主の議決権を排除したものです。
ところが
この制度によって
結局上記のように
70%という株数を持っている相続人Xが
議決権を行使できず
無力化されてしまいます。
その結果
30%しか持っていない
少数株主であるYの意向のみで
Xの持ち株全部の売り渡しを請求するという
株主総会の特別決議が通ってしまう
ことになるのです。

納得のいかないXは
叔父であるYに対して
「話しが違う!」と詰め寄ります。
しかし
すでに会社の合法的な
乗っ取りを完了した叔父のYは
まともに相手にしません。
Xが何かをしようと思っても
すでにXの手元に株はなく
なす術がありませんでした。
いかがでしょうか?
こんなこと
現実にあるのか?
と思われたかも知れませんね。
残念ながら
現実にはこのケースのように
同族会社において大株主の相続を
きっかけに内部からの乗っ取りが
起きることがあり
「相続クーデター」などという
名前までついています。
上記の事例と同様なケースで
裁判で争われたものもあります。
それでは
このような少数株主による会社の
乗っ取りを予防する方法は
あるのでしょうか?
もちろんありますが
長くなりましたので
その点はまた明日お話しします。
それでは
また。
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今回は「朝起きて5分スマホをやめたら、驚くほど調子が良くなった話」というテーマでお話ししています。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。