事業承継の場面では
会社の株式を後継者に引き継がせる
ことが必要となります。
しかし
その前提として
会社の株式が
経営者や後継者以外の多くの
株主に分散してしまっている
という問題があります。
今回は
そのような場合の問題点について
考えてみたいと思います。

(今日の「棒人間」 分散している??)
<毎日更新1910日目>
A社長の会社は
創業から40年続く会社で
A社長の父親が設立。
それをA社長が引き継いで
経営していましたが
A社長もそろそろ高齢ということで
長男への事業承継を検討し始めていました。
そんな矢先
A社長は
自社の株主名簿を見て絶句します。
なんと
A社長の会社では
「現在の株主が20名」
いることが発覚したのです。
株数を数えると
A社長の持ち株は約60%。
一応過半数は押さえているので
日常業務には支障はありませんが
定款変更など3分の2以上の多数を
必要とする株主総会の特別決議には
対応できません。
残りの
A社長の持ち株以外の株式は
創業時のメンバーだった
既に他界した親族とか
20年も前に退職した元社員とか
取引先の先代社長などに分散しています。
実際問題として
社歴の長い中小企業で
こういう問題を抱えている会社は
それほど珍しくありません。
どうしてこういうことが
起こるのかと言うと
平成2年商法改正前は
会社を設立する際に
必要な発起人
(会社設立後は株主となる出資者)
が7人以上必要とされていました。
ですから
この時代に株式会社を
設立しようと思った場合には
株主を経営者だけに限定する
ことができませんでした。
親族や社員
親しい取引先などに
名義上会社の株を持ってもらう
ということが割と
よくあったのです。
A社長の会社も
まさにこのケースに
当てはまるわけです。
さて
中小企業において
このように会社の株式が
経営者や後継者以外の第三者に
まで分散していると
どんなリスクがあるのでしょうか?
この点
会社の重要事項は株主総会の決議で
決める必要があります。
たとえば
役員の選任・解任などは
通常の「普通決議」といって
過半数の持ち株があれば足りますが
上記のように
定款変更や合併
解散などの重要事項については
出席株主の議決権の3分の2以上が
必要となる「特別決議」が求められます。
そのため
経営者や後継者以外の第三者が3分の1を
超える株式を保有していると
重要な経営判断ができなくなる
おそれがあります。
特に
親族との相続トラブルや
退職した社員
取引がなくなった取引先などが株主の場合
協力が得られず
会社経営に大きな支障を
招くこともあります。
さらに
第三者の株主も
会社法上いろいろな権利を持っています。
たとえば
1株でも株主総会で議案を提案したり
決算書類の閲覧や株主総会決議の
取消訴訟を起こしたりすることができます。
また
3%以上保有していれば
会計帳簿の閲覧請求や株主総会の
招集請求なども可能になります。
その上
その株式が第三者へ譲渡
されるリスクもあります。
中小企業では
株式譲渡に会社の承認を必要
とするケースが多いですが
それでも株式譲渡自体は有効であり
会社に対して株式の買取りを
求められることもあります。
このように
中小企業では
株式が経営者や後継者以外に分散していると
会社経営にさまざまなリスクを
もたらす可能性があるのです。
そこで
会社の株式が経営者や後継者以外に
分散している場合
どのように対処したら
良いのでしょうか?
これについては、まず
経営者や後継者以外の株主で
連絡が取れている株主に対しては
個別に交渉をすることになります。
そして
場合によっては
こうした第三者の株主から
株を買い取るなどの対応が
必要となってきます。
ただ
中には株主の所在が不明になっていて
連絡したくてもできない
という場合があります。
会社法でこのような場合の
対処法を定めています。
すなわち
会社が株主に対して
株主総会の招集通知などを送っても
5年以上届いていないような場合。
かつ
その株主が継続して5年間
利益配当を受け取らなかった場合。
このような場合には
会社は
裁判所の許可を得て
その所在不明の株式を
売却することができると
定められています。
さらに
会社はその売却する株式を
自己株式として買い取ることも可能です。
ちなみに
上記の5年間という期間は
経営承継円滑化法という特例法の
要件を満たす場合には
1年間に短縮することも可能です。
このように
法律上は所在不明株主の問題
に対する手当はなされています。
この手の話で次にネックとなるのが
株券を発行している会社。
すなわち
第三者の株主に連絡をとってみたところ
株券を紛失してしまっていた
というケースがあります。
明日は
この場合の対処法についてお話しします。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。