「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【業務委託契約か、雇用契約かの違い】それ、雇用契約と判断されます!

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仕事の一部を「外注」に出したい。

 

 

そんな場合によく

用いられるのが

「業務委託契約」。

 

 

しかし、

「業務委託契約」も

使い方を間違えると、

「雇用契約」と認定されて

しまう可能性がありますので、

注意が必要です。

 

 

 

(膨大な事務作業を「外注」に出したい?@未だ「紙」が主流の裁判所)

 

<毎日更新632日目>

仕事が増えてきたので、「アウトソーシング」したい?

裁判のIT化

が言われていますが、

今はまだまだ過渡期。

 

 

むしろ、

民事裁判の実務の現状は、

未だに「紙」と「FAX」の世界。

 

 

弁護士が裁判案件を受けると、

裁判所にいろいろと書面を書いて

提出しなければなりません。

 

 

具体的には、

訴えを起こす時に出す「訴状」、

逆に訴えられた側の案件をやるときは、

「訴状」に対する反論書である

「答弁書」を書いたりします。

 

 

それ以外にも、

法的な主張を書面にまとめた

「準備書面」や、当事者の

言い分を書面にまとめた

「陳述書」を書いたりします。

 

 

これらの書面を書くのは、

もちろんパソコンですが、

それを一々プリントアウトして、

ハンコ(「職印」と呼ばれるやつで、

「弁護士〜の印」とか書いてあるもの)

を押して、極めつけはそれを「FAX」で

提出します。

 

 

 

基本的に、

メールでの書面の提出は

認められていません。

 

 

今どきこんな非効率なことを

やっているものですから、

事務作業にかかる時間・コスト・

エネルギーもバカになりません。

 

 

そういえば最近、

数年前に起業した人から

相談を受けました。

 

 

幸い、

この人は事業が順調にいっていて、

仕事が忙しくなってきた。

 

 

しかし、

それに伴って、

いろんな事務作業がたまってきて、

本業にかける時間が圧迫されて

いるとのこと。

 

 

とはいえ、

まだ人を雇えるほどの売上規模

ではないので、とりあえず一定の

事務作業を「外注」に出したい、

とのことです。

 

 

「外注」に出す、というのは、

具体的には他人と「業務委託契約」

を結んで、その他人に事務作業を

やってもらうというものです。

 

 

最近、

こうした「業務委託契約」を

使った業務のアウトソーシングが

盛んではあります。

 

 

クラウドワークスみたいに、

その仕事内容によって1件いくらで

請け負ってくれるシステムもありますし、

副業でこうした業務を行う人も

少なくないでしょう。

 

 

ただ、

仕事を「外注」に出して、

この「業務委託契約」を用いる際に、

気をつけておかなければならない

「落とし穴」があります。

 

 

 

 

 

 

それは、「雇用」か?「業務委託」か?

それは、

「業務委託契約」の内容やその仕事の

実態によっては、それは法的には

 雇用契約

と認定されてしまうことが

あるからです。

 

 

「雇用契約」と認定されると

どうなるのか?

 

 

それは読んで字のごとく、

人を雇ったと同じことになります。

 

 

人を雇えば、事業主としては、

社会保険の加入義務がありますし、

雇用契約の解約、すなわち「解雇」も

簡単ではありません。

 

 

「業務委託契約」として仕事を

「外注」に出したつもりでいても、

それがその仕事をしてもらった人

との間の「雇用契約」だと認定

されてしまっては、シャレになりません。

 

 

それでは、

法的にこの「雇用契約」と

「業務委託契約」とは、

何が違うのでしょうか?

 

 

「雇用契約」とは、

当事者の一方(労働者)が

事業主に使用されて労働を行い、

事業主はその労働に対して賃金を

支払うという契約です。

 

 

他方で、

「業務委託契約」は、

法的には「請負契約」ないしは

「委任契約」の性質を持っています。

 

 

「請負契約」とは、当事者の一方が、

相手方に対して、一定の仕事を発注し、

その仕事の完成(成果物)に対して報酬を

支払うという契約です。

 

 

わかりやすい例で言えば、

建築請負契約などがこのタイプですね。

 

 

さらに、「委任契約」とは、

当事者の一方が、相手方に対して、

一定の仕事を依頼しますが、

依頼を受けた方は仕事の完成を

義務付けられていないという点が

「請負契約」との違いです。

 

 

わかりやすい例で言うと、

医者や弁護士との契約は

「委任契約」と言われています。

 

 

お医者さんは患者さんから

依頼を受けて治療という仕事を

しますが、それだからといって

仕事の完成(病気が治ること)

まで義務付けられているわけでは

ありません。

 

 

世の中、

お医者さんが手を施しても治らない

病気もあるからです。

 

 

さて、それでは話を戻して、

「雇用契約」と「業務委託契約」の

違いはどこにあるのでしょうか?

 

 

その一番の違いは、

「使用従属性」

にあると言われています。

 

 

簡単に言えば、

「雇用契約」の場合は、

労働者が事業主に対して

従属的な立場にあることが多い。

 

 

これに対して、

「業務委託契約」の場合は、

仕事の依頼を受けた人が、

発注者に対して従属的な立場に

あるのではなく、ある程度対等で

自由な立場にあるということが

前提です。

 

 

そして、

この「使用従属性」が認められる

かどうかの要素としては、

次のようなものがあります。

 

 

まず、

仕事の依頼や指示に対して、

それを受けた人が断る自由を

持っているかどうか。

 

 

これがなければ、

「使用従属性」があるとして、

「雇用契約」になりやすい。

 

 

また、同じく、

業務内容や、仕事の仕方に対して、

依頼する方が指揮命令権を

持っている場合も、

「雇用契約」になりやすいでしょう。

 

 

さらに、働く場所や、

働く時間が決まっていて、

仕事を受ける方がそれに

拘束される場合、

これも「雇用契約」になりやすい

要素です。

 

 

また、

仕事をしてくれた人に対して

支払う報酬が、仕事の結果を

基準に支払われるのか

(たとえば、1件いくらというように

決まっている場合)、

それとも、働いた時間を基準に

支払われるのか(時給いくら、という感じ)。

 

 

働いた時間を基準に報酬が

支払われる、ということであれば、

やはり「雇用契約」になりやすい

と言えるでしょう。

 

 

このような要素に照らして、

「使用従属性」が強いと判断されると、

契約書の名称がたとえ形式的に

「業務委託契約」になっていたとしても、

「雇用契約」だと判断されてしまいます。

 

 

形式ではなく、

あくまで仕事の「実態」を見て

判断される、ということです。

 

 

そんなわけで、

「業務委託契約」を用いて仕事の

「外注」を考えている方は、

この点に注意をするようにしてくださいね。

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

というわけで、

今日のポイントは

 

 いくら形式上「業務委託」でも、「使用従属性」が強いと「雇用」と判断される!

ということです。

 

 

そんなわけで、

本業が忙しくなってきた場合には、

一定の事務作業を「業務委託」の形で

「外注」に出すというのも1つの方法でしょう。

 

 

ただ、

事務作業そのものをもっと

効率化できないか、その視点も忘れては

ならないでしょうね。

 

 

裁判も、今後のIT化が進めば、

ハンコもFAXもプリントアウトも

要らなくなる予定です。

 

 

もちろん、

セキュリティー対策は欠かせませんが、

テクノロジーの進化に応じて、

効率化できるところは

効率化していきたいですね!

 

 

下記の関連動画もご覧ください!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、会社が社員の給料を減額したい、という場合に、会社が一方的に減額できるかどうか、そんなテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、早朝から渋谷区倫理法人会のモーニングセミナーに参加。
その後は事務所へ行って仕事。
その後、担当している建物明渡の案件の現地立会で銀座へ。
その足で霞ヶ関に移り、農林水産省の食堂で昼食。
今回は、叉焼丼を頼んでみましたが、これも美味しかった。午後は裁判所で1件仕事、それが終わって事務所に戻り、仕事をして帰りました。
出たり入ったり、外出の多い1日でした。

 

 

 

 

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裁判しないで解決する
ノーリスクプロモーター

                               
名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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