他人のブログなどを見ていて、
よくあるのが、
そのブログの中の写真に、
他人の「顔」が写り込んで
しまっていること。
こうした写真を加工も
しないで安易に公開すると、
「肖像権侵害」で訴えられる
危険がありますので、
注意が必要です。
(今日の「棒人間」 その撮影は、肖像権侵害??)
<毎日更新1036日目>
今の時代は、
情報発信に「写真」や
「動画」を使うことが
多くなっています。
InstagramやYouTube、
ブログなどさまざまな
SNSなどのプラットフォームが
多々あります。
この「写真」をネット上に
公開するときには、
いくつか他人とトラブル
になるポイントがあります。
1つは、
その「写真」の著作権
に絡む問題で、
たとえばネット上の写真や
イラストなどのコンテンツを
作者に無断で使用した場合。
この「著作権侵害」
の問題については、
昨日のブログで書きました。
「著作権侵害」とは
違うもう1つの問題として、
ネット上にアップした写真に、
ぜんぜん知らない赤の
他人の「顔」が写り込んで
しまっていた場合です。
撮影する人は意識して
いないかも知れませんが、
背景などに赤の他人の
「顔」が写ってしまっている、
などということがあります。
実は、
これもよく他の人の
ブログを見ていて、
ヒヤヒヤする問題の1つです。
というのは、
場合によっては、
他人の「顔写真」を無断で
ネット上で公開することは、
その人の「肖像権」侵害となる
可能性があるからです。
「肖像」とは聞きなれない
言葉ですが、
人物の容貌、
姿態などを
うつしとった絵、
写真、彫刻などの
ことを言うとされています。
そして、
「肖像権」というのは、
個人が自身の肖像を
コントロールし、
他者が無断で利用する
ことを制限する権利
のことを言います。
人は、
みだりに他人から
写真を撮られたり、
まして撮られた写真を
世間に公表されたり、
利用されたりしない
権利を持っているわけです。
ですから、
たまたま写りこんで
しまったとはいえ、
他人の「顔写真」を
許可なくネット上に
公開することは、
この他人の「肖像権」を
侵害する行為に
なり得るわけです。
この点、
具体的に他人の「顔写真」を
ネット上に公開する行為が、
「肖像権侵害」になるかどうかは、
① 被撮影者の社会的地位
② 撮影された被撮影者の活動内容
③ 撮影の場所
④ 撮影の目的
⑤ 撮影の態様
⑥ 撮影の必要性等
を総合考慮したうえ、社会生活上受忍の限度を超えるか否かに
よって判断される
とされています。
具体的には、まず、
撮影された人の
「① 社会的地位」です。
それが政治家のように、
大勢の人に自分の「顔」を
売って仕事をしている
ような人の場合は、
「肖像権侵害」が
成立しにくくなります。
他方で、
一般人で特に16歳未満の
子どもの場合は、
より保護の必要性が高いので、
「肖像権侵害」となりやすい
傾向があります。
「② の撮影された
被撮影者の活動内容」は、
たとえば、
公的行事やオリンピックや万博など、
歴史的イベントなどで写った場合は、
「肖像権侵害」とはなりにくい
とされます。
「③ 撮影の場所」ですが、
これは、
道路や公園などの公共の場所では、
「肖像権侵害」が成立
しにくくなります。
他方で、自宅とか、
ホテルの個室内など、
また病院や葬儀場などの場合は、
「肖像権侵害」が成立
しやすくなります。
「④ 撮影の態様」は、
簡単に言えば、
どんな写り方をしているか、
という問題です。
大勢の人の中の1人
として撮影されていたとか、
非常に小さく写っていたとか、
画質が悪くて容ぼうなどを
判別しづらい態様の場合は、
「肖像権侵害」は成立
しにくくなります。
他方で、
顔が大きく写り込んで
しまっているような場合には、
「肖像権侵害」と
なりやすいでしょう。
ざっくりとした印象ですが、
その写真の「公的」な
側面が強くなれば、
「肖像権侵害」は
成立しにくい。
公の人や公の場においては、
撮影されることも
やむを得ない側面があり、
「社会生活上受忍の限度」
を超えていないと判断
されやすいわけです。
しかし、逆に、
その写真の「私的」な側面、
プライバシー的な側面が強くなれば、
「肖像権侵害」が成立
しやすくなるイメージです。
この場合には、
「社会生活上受任の限度」
を超えると判断されやすくなる、
ということですね。
そして、
他人の「肖像権」を
侵害していると判断
された場合は、
民事上の「不法行為」
となります。
具体的には、
写真に写った人から、
その写真の公開の
差し止めを請求されたり、
損害賠償を請求される
可能性があります。
損害賠償は、
経済的な損失だけではなく、
みだりに自分の「顔写真」を
公開されたことによる
精神的苦痛をつぐなう、
「慰謝料」も発生します。
そんなわけですから、
ネット上の情報発信で
写真を使う場合は、
知らない人の「顔」が
写り込んでいないかどうか、
よく確認すべきですね。
上記で、
公共の場所では
「肖像権侵害」が成立しにくい
と言いましたが、
それもどのような
「態様」で撮られているか
によります。
公共の場所でも、
その人を知っている人が見れば、
誰だかすぐにわかるような
大きさで撮影されている場合には、
「肖像権侵害」となる可能性も
否定できません。
そんなわけで、
もしネット上に公開
しようとしている写真に、
知らない人の「顔」が
写っている場合には、
その写真はきちんと「加工」
することをオススメします。
具体的には、
その他人の「顔」が写って
いる部分を切り取るとか、
「ぼかし」や「モザイク」を
入れるなどです。
今は、
写真を加工するソフトも
充実していますので、
面倒くさがらずにきちんと
写真を加工することは
大切だと思います。
ネットトラブルを
予防するためには、
ある意味そうした
「マメさ」も必要
だったりします。
そんなわけで、
他人の「顔」が写った写真を
公開する場合は、
注意が必要です。
それでは、
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。