「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

経営者の交代、オフィスの賃借権の「無断譲渡」に当たるのか?

不動産賃貸

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貸主の同意がないのに

借主がその借主としての権利(賃借権)を

第三者に譲渡してはならない

 

 

とされています。

 

 

これを賃借権の「無断譲渡」と言います。

 

 

それでは

借主である会社の社長が交代した場合

この賃借権の譲渡に当たるのでしょうか?

 

 

(今日の「棒人間」 無断でやってしまおう??)

 

<毎日更新1142日目>

経営者の交代で、賃借権の「無断譲渡」??

 

建設業を営むX株式会社の

社長であるAさん。

 

 

A社長の会社では

オフィスの建物をオーナーから

借りて運営しています。

 

 

実は、A社長は、先月

 

 

この会社の創業社長だった

父親から事業承継を受け

まだ社長に就任したばかり。

 

 

社長に就任してまもなく

いろいろと忙しく過ごしていたところ

オフィス建物の管理会社から連絡が入ります。

 

 

どういう連絡かというと

このX株式会社の社長が

創業社長の父親からAさんに変わっているが

 

 

これが賃借権の「無断譲渡」に

当たるのではないか?と言うのです。

 

 

 

賃借権の「無断譲渡」が問題とされる理由

賃借権を譲渡するというのは

 

 

借主が

貸主との間で有している賃貸借契約上の

借主としての地位を第三者に譲渡し

 

 

元の借主は賃貸借関係から

離脱することを言います。

 

 

たとえば

上記の例では

オフィス建物の借主はX株式会社ですが

 

 

X株式会社が

このオフィスの借主としての地位を

別会社であるY株式会社に

譲渡するような場合です。

 

 

これは、たとえば

M&Aなどで

 

 

もともとX株式会社が持っていた営業権を

Y株式会社に譲渡する場合に

 

 

オフィスビルの使用権(賃借権)も

一緒に譲渡するような場合が

これに当たります。

 

 

この点

民法612条で

 

 

貸主の同意を得なければ

借主はその賃借権を譲渡

することができない

 

 

とされています。

 

 

そして

もし借主がこれに違反して

 

 

貸主の同意もなく賃借権を

第三者に譲渡した場合には

 

 

貸主は賃貸借契約を解除

することができる

とされています。

 

 

これがいわゆる賃借権の

「無断譲渡」と言われる問題です。

 

 

法律は

なぜ賃借権の「無断譲渡」に厳しい

態度を示しているのでしょうか?

 

 

それは

物件を貸している貸主にとっては

 

 

賃貸借契約の「借主が誰か」ということが

非常に重要だからです。

 

 

貸した物件をきちんと用法・目的に

従って使用してくれるか

家賃はきちんと支払ってくれるか

 

 

近隣とトラブルを起こさないか

などなど

 

 

賃貸借契約は借主の個性によって

いろいろと影響があるわけです。

 

 

ですから

貸主としては

 

 

自分の知らないところで

借主が勝手に第三者に賃借権を

譲渡されては困るわけです。

 

 

極端な例で言えば

上記のX株式会社が

 

 

暴力団組織に賃借権を譲渡し

物件が暴力団の事務所として使用されて

しまったような場合を考えれば

 

 

理解できるでしょう。

 

 

ですから

通常は

 

 

借主が賃借権の「無断譲渡」を行うことは

賃貸借契約上の信頼関係を著しく

破壊する行為であるとして

 

 

貸主は契約を解除することができる

とされているわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

経営者の交代が賃借権の「無断譲渡」に当たるか?

さてさて

冒頭の例ですが

 

 

X株式会社も

社長が創業社長のお父さんから

Aさんに交代したことで

 

 

貸主側から「無断譲渡」ではないかと

クレームをつけられています。

 

 

ただ

社長が交代したとは言え

 

 

借主はX株式会社という法人

であることに変わりはありません。

 

 

このような場合にまで

賃借権の譲渡に当たって

しまうのでしょうか?

 

 

この点

基本的には

たとえ社長が交代したとしても

 

 

借主はX株式会社という法人

であることに変わりはなく

 

 

こうした場合は原則として

「賃借権の譲渡」に当たるとは

言えなでしょう。

 

 

とは言え

小規模な会社の場合

 

 

実は経営者(社長)の

個性が重要であり

 

 

賃貸借契約における信頼関係

にとって重要であると考える

こともできます。

 

 

というのは

こうした会社では

 

 

トップである社長が交代することで

ガラッと経営方針が変わって

しまうことがあります。

 

 

それによって

同じ会社でも

 

 

まったく別組織のような実態に

なってしまうこともあります。

 

 

そうすると

貸主の立場からすれば

 

 

借主である会社の社長の交代によって

その経営が大きく変わってしまうことは

とても重要な事情になり得ます。

 

 

そこで

このようなケースを想定して

賃貸借契約書の中で

 

 

借主である会社の資本や役員構成に

重大な変更が生じたときには

貸主に届け出なければならない

 

 

という規定が設けられる

ことがあります。

 

 

もし

社長の交代によって会社の

経営実態が大きく変わり

 

 

しかも上記のような貸主への

届け出を怠った場合はどうなるか?

 

 

その場合には

例外的ではありますが

信頼関係の破壊が著しいとして

 

 

借主の法人格が同一であっても

貸主の契約解除が認められて

しまう場合があり得ます。

 

 

そこで

冒頭のX株式会社としては

まず社長が交代しても

 

 

それは息子であるA社長が事業承継したこと

経営実態に変更がないことなどを

オーナー側に説明すべきだと考えます。

 

 

また

もし賃貸借契約書で

 

 

上記のような役員変更の届け出が

規定されていた場合には

きちんと届け出を出すことです。

 

 

そんなわけで

親子の事業承継で

 

 

まさか賃貸オフィスの契約を

解除されることは

そうはないかとは思います。

 

 

ただ

当事者間の信頼関係を傷つけないよう

お互いに一定の配慮は必要かなと思いますね。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

最新動画 

今回は、「旅先でランニングをする魅力」というテーマでお話ししています。

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、私のブログの師匠である板坂裕治郎さんの東京でのブログセミナーに参加&懇親会でした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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