最近問題となっている
カスタマーハラスメント(カスハラ)
これは
お客様の正当なクレームと
どう違うのでしょうか?
その区別のポイント
についてお話しします。
(今日の「棒人間」 どうやって区別する??)
<毎日更新1218日目>
目次
カスハラと正当なクレームって、どう違うのでしょうか?その区別のポイントはありますか?
最近社会問題となっている
カスタマーハラスメント(カスハラ)。
カスハラの無茶な要求には
応じるべきではありませんが
他方で
お客様の正当なクレーム
というものも存在します。
お客様のクレームが
もっともな言い分であれば
それは企業としてはきちんと誠実に
対処すべきことは言うまでもありません。
正当なクレームを言う
お客様をないがしろにし
不誠実な対応をしていると
企業にとっては信用を失うなど
大きなマイナスとなります。
また
「クレームは宝の山」という言葉があるとおり
お客様からの正当なクレームは
自社の商品やサービスを改善し
より質の高いものに向上させるための
大きなチャンスでもあります。
だからこそ
お客様の正当なクレームと
カスハラとをきちんと区別し
その対応を変えるということが
企業には必要となります。
ここで
カスハラとは
顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの
と定義されています。
簡単に言えば
お客様のクレームなどのうち
その内容や手段などが常識的な
範囲を超えて不相当なもので
それによって労働者の就業環境が
害されるものを意味します。
不当な嫌がらせ行為を受けて
社員の働く環境が害される
ということですね。
ここで
正当なクレームとカスハラの違い
という点から考えると
相手の要求内容の妥当性と
その要求を実現するための手段の妥当性
という2つの視点から考える必要があります。
つまり
まず要求内容が不当な場合。
さらに
要求内容が正当であっても
その要求を実現するための
手段・態様が不当な場合。
これらの場合が
正当なクレームではなく
いわゆる「カスハラ」行為
であると判断されます。
この2つの視点について
詳しく見ていきましょう。
相手の要求内容が
不当な場合の典型例としては
大きく分けて経済的要求と
それ以外の要求にわけて
考えることができます。
たとえば
飲食店で店員の些細なミスに難癖をつけ
「慰謝料を100万円よこせ!」
迷惑料として「1000万円を払え!」などと
明らかに過大な要求をしてくるケースです。
これは
たとえば
飲食店で店員の態度が気に入らないので
飲食した後で
代金を支払わないとか
減額しろと要求するケース。
あるいは
工務店の事例などで
やはり工務店の些細なミスにつけこんで
工事代金を支払わないとか
無償で追加工事をしろなどと
要求するケースがこれにあたります。
たとえば
担当の社員に対して
「お前じゃダメだ、上司を出せ!」
「社長を出せ!」などと
要求してくるケースです。
この点
顧客に対して誰が対応するかを
決定する権限は会社側にあります。
ですから
断ったにもかかわらず
しつこく「上司を出せ!」「社長を出せ!」
などと要求するケースは
内容が不当な要求であると言えます。
これは
次のようなケースが典型例でしょう。
・怒鳴ったり、乱暴な口調を使う。
人格否定の言葉を浴びせるなど。
・暴力的、脅迫的な言葉を使う。
・長時間、連日のしつこい電話
メールやメッセージを大量に送りつける行為など。
・店舗や会社への長時間の居座り
・マスコミに通報する
SNSで拡散するなどの脅し。
なお
これらの行為は
刑法上の犯罪にも該当し得るものがあり
場合によっては警察への通報も
検討すべきものがあります。
正当なクレームとカスハラを
区別する基準の例を示しましたが
これはあくまで一般的なものです。
何がカスハラにあたるかは
実は業種や会社によって
異なる部分もあります。
ですから
まず自社にとっての
カスハラ行為とは何なのかを
上記の基準を参考にして考
えていただきたいのです。
その上で
自社にとっての「カスハラ」の定義を
明らかにした後に何をすべきか?
まず
相手の要求のうち
承諾できることと
承諾できないこと
この線引きを明らかにすることです。
たとえば
上記の工務店の例で
こちらにも多少のミスがあったケースで
相手が工事代金の大幅な値引きを
要求してきた場合を考えます。
確かに
相手の要求はあまりに過大だ
という場合でも
こちらにも多少のミスはあったので
ある程度の減額ならやむを得ない
と考える場合もあり得ます。
その線引きをきちんと
行うということです。
そして
「できない」と決めた要求は
毅然と断る
ということが重要です。
ここでは
「お客様に納得していただこう」とか
「解決しなければ」という思考に
あまりとらわれてはいけません。
どうしてもご納得いただけなければ
解決せずこう着状態になってもやむを得ない
と覚悟を決めることも必要です。
そして
それでも加害者のカスハラ行為が
収まらないというときは
警察への被害申告や
弁護士への相談を検討
した方がよいと思います。
いずれにしても
その会社ごとで
お客様の正当なクレームと
カスハラの区別の基準
というものはきちんと考えて
おかれた方がよいかと思います。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。