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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【価格スライド条項】価格変動リスクに対処するための建設業法の改正

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契約締結時に決めた工事代金額を

その後に変更できる可能性のある

「価格スライド条項」

 

 

資材価格や人件費の高騰の

リスクがある建設業の取引では

今や必須の条項と言えるでしょう。

 

 

(今日の「棒人間」 価格の高騰に驚く??)

 

<毎日更新1441日目>

資材価格や人件費の高騰

あの〜、発注時からえらく資材価格や人件費が上がってしまって。
すみませんが、工事代金を上げてもらいたいんですが。

ダメですよ!
契約書に工事代金総額●円ってはっきり書いてあるでしょ?
今さら金額の変更には応じられません!

そ、そんな・・・

建設業界で目下問題となっているのが

鉄や木材、コンクリートなど

建設資材価格が非常に高騰している問題。

 

 

さらに

人手不足や法律の規制強化によって

人件費も高騰しています。

 

 

そうなると

工事期間に一定の時間がかかる工事などは

 

 

いったん決めた工事代金の妥当性

ということが問題となってきます。

 

 

すなわち

発注者と工事業者(請負人)が

当初請負契約を結ぶ段階で

 

 

工事代金の金額を具体的に

決めるのが大原則です。

 

 

これは

建設業法という法律によって

 

 

建設業者には義務づけられて

いることでもあります。

 

 

ところが

工事の最中に資材価格や人件費が高騰。

 

 

当初決めた工事代金では

利益が圧迫されてしまい

 

 

工事業者(請負人)としては

到底割に合わない仕事になってしまう。

 

 

そこで

いったん契約時に決めた

工事代金を途中で変更したい。

 

 

ところが

契約の原則というものは

 

 

いったん約束したことは

合意がない限り当事者の一方的な要求で

その内容を変えることはできません。

 

 

法的な言い方をすれば

これが「契約の拘束力」というものです。

 

 

ただ

これを貫くと

 

 

やはり当事者にとって不公平な

結果となることもあり得ます。

 

 

現に

昨今では

 

 

資材価格の変動リスクがあるため

工事の受注や着工を控えて

しまう傾向があるようです。

 

 

そういえば

あの「中野サンプラザ」跡地の再開発計画も

 

 

工事費の高騰を受けて

断念する方針が発表された

との報道がありました。

 

東京 「中野サンプラザ」跡地の再開発 現在の枠組みでは断念へ

 

 

こういう現象が続くと

必要な工事が停滞し

 

 

経済にも大きな影響を

与えてしまいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

価格スライド条項とは?

それはさておき

やはり一度決めた工事価格を

絶対に途中で変えられないという

 

 

契約の拘束力の原則を

いかなる場合も貫くことは

ときに不合理な場合もあり得ます。

 

 

そこで

こうした場合に対処するための

法的なテクニックが存在します。

 

 

それが

 

 

契約書にいわゆる「価格スライド条項」

(物価変動調整条項)を入れて

おくという方法です。

 

 

「価格スライド条項」とは

資材価格や人件費などが

契約締結後に大きく変動した場合に

 

 

契約時に定めた代金額を調整する

ことを定めた条項のことです。

 

 

たとえば

次のような条項です。

契約締結後、鉄鋼材、木材、セメントその他の主要資材または労務費について、契約時点と比較して10%以上の価格変動があった場合には、受注者は発注者に対し、請負代金の変更を請求することができるものとし、当事者は誠実に協議の上、これを調整するものとする。

 

 

こうした条項を入れておくこは

契約締結後に資材価格の

高騰などがあった場合に

 

 

工事代金額を調整する道が開けるので

とても重要な条項と言えます。

 

 

そして

あらかじめこうした条項が定まっていれば

発注者の側でも

 

 

契約後の工事代金額の変更を

ある程度予測できるため

トラブルの予防にもつながります。

 

 

なお

大切なポイントは

こうした「価格スライド条項」は

 

 

あくまで契約締結時に決めなければならず

契約書にきちんとそのことを

記載しておく必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

価格変動に対処するための建設業法の改正

なお、最近

 

 

こうした建設業の価格変動リスク

に対処するため

建設業法の改正がありました。

 

 

具体的には

まず

 

 

資材の供給の著しい現象

資材の価格の高騰など工事代金や工期に

影響を及ぼすおそれがある場合。

 

 

この場合には

工事業者は請負契約の締結までに

 

 

注文者に対してこうしたリスクを

通知することが義務づけられました。

 

 

その上で

請負契約書には

 

 

価格等の変動等に基づく工事代金額の変更

及びその額の算定方法に関する定め

 

 

つまり上記のような「価格スライド条項」

を入れることが義務づけられました。

 

 

そして

実際に契約締結後に

上記のリスクが顕在化した場合には

 

 

工事業者は注文者に対して

工事代金額の変更について協議を

申し出ることができるとされています。

 

 

さらに

この協議の申し出を受けた注文者は

 

 

基本的に誠実にこの協議に応じるよう

努めなければならないとされました。

 

 

このように

建設業の価格変動リスクに対処するため

建設業法も改正されています。

 

 

いずれにしても

大切なことは

 

 

契約時にきちんと「価格スライド条項」

を含めた適切な契約書を作成しておくこと。

 

 

建設業では

今でも契約書を作っていないとか

 

 

極めて不十分な内容の契約書が

作成されているのを時々見かけます。

 

 

ご自身で契約書を作るのが難しい

という場合は

 

 

やはり専門家である弁護士に相談する

こともぜひ検討していただければと思います。

 

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こうした価格変動のリスクの高まりとともに

工事代金額をめぐるトラブルも増えています。

 

 

トラブルや「裁判沙汰」を予防するためにも

やはり契約書は重要ですね。

 

 

 

 

 

 

それでは

今日のダジャレを1つ。

建設業の契約書、「価格スライド条項」を入れて、すっかり建設的な内容に?

 

それでは

また。

 

 

 

 

 

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今回は、「「残業代、払ってますか?」名門校も書類送検された恐ろしい現実」というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

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昨日は、息子の空手の試合で五反田の品川区立の体育館へ。残念ながら入賞を逃して悔し泣きする息子。まぁ、こういう経験からいろいろ学んで欲しいですね。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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