「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

違法行為の通報を理由とした社員の解雇、原則認められません

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社内の違法行為などを社員が外部に通報。

 

 

これを理由とした解雇は

原則として許されません。

 

 

労働契約法上の解雇の有効性と

公益通報者保護法という

2つの観点からお話しします。

 

 

(今日の「棒人間」 通報がバレた??)

 

<毎日更新1561日目>

介護施設の虐待を通報して解雇?

おい、よくもチクってくれたな?
お前なんかクビだ!むかっ (怒り)

そ、そんな・・・。

 

北海道函館市の特別養護老人ホーム「惠楽園」で

入所者への虐待がきていることを

市に通報した女性職員が

 

 

このホームから懲戒解雇となりました。

 

 

そこで

この女性職員は

 

 

この解雇は虐待を市に通報したことの

報復としてなされたものであり

解雇の無効等を訴えて裁判を起こしました。

 

 

この裁判の判決があり

函館地方裁判所は解雇は

無効であると判断しました。

 

老人ホームの虐待を通報、報復の解雇は無効 函館地裁が判決

 

 

報道によると

この女性職員は

 

 

この施設で入所者が特定の職員から「死ね」

と暴言を吐かれるなどの精神的虐待のほか

 

 

不適切な身体拘束も受けていると

匿名で通報しました。

 

 

そうしたところ

その直後にこの女性職員は

ホームから自宅待機を命じられ

 

 

その後「入所者や同僚に

ハラスメント行為を繰り返した」

などという理由で解雇されたとのことです。

 

 

この「惠楽園」という施設

 

 

今年の5月にも

入所者にシーツを巻きつけて

身体拘束をするなしたとして

 

 

函館市から新規利用者の受け入れを

6ヶ月間停止する行政処分を

受けていたとのことです。

 

 

 

 

 

 

違法行為の通報を理由とした解雇の有効性

会社など組織内での違法行為を通報

したことを理由とする解雇については

2つの視点があります。

 

 

まず

こうした解雇が法的に有効かどうか

という問題です。

 

 

懲戒解雇の有効性については

このブログでもよくお伝えしていますが

 

 

まず就業規則等であらかじめ

懲戒処分の定めが

なされていることが必要です。

 

 

その上で

労働契約法という法律で

具体的にその解雇が有効かどうかは

 

① 解雇の客観的合理的理由
② 解雇の社会通念上の相当性

 

という2つの要件を

満たす必要があるとされています。

 

 

これらの要件を満たさない解雇は

解雇権の濫用として無効となります。

 

 

しかし

社内の違法行為を通報したことを

理由とする解雇は

 

 

通常は「①解雇の客観的合理的理由」

の要件を満たさないでしょう。

 

 

例外的に

この通報が

単に会社を貶める目的など

 

 

不当な目的で行われた場合には

解雇が有効とされる余地も

ないわけではありませんが

 

 

まぁ一般的には厳しいでしょうね。

 

 

そんなわけで

違法行為の通報を理由とした解雇は

 

 

通常は解雇権の濫用となり

許されないことになります。

 

 

 

 

 

 

 

公益通報者保護法とは

もう1つの視点は

公益通報者保護法との関係です。

 

 

この公益通報者保護法は

一定の犯罪行為等について

 

 

公益通報をした社員を

保護するための法律です。

 

 

公益通報とは

会社の社員などが

 

 

勤務先等の不正行為を

不正の目的でなく

一定の通報先に通報することをいいます。

 

 

具体的には

社員が公益通報を行なった

ことを理由とする解雇や

 

 

その他の不利益取り扱いを

禁止することを定めています。

 

 

そして

この公益通報者保護法でも

 

 

こうした公益通報をしたことを

理由として会社が行った解雇は

無効とすると定められています。

 

 

ただ

公益通報者保護法による

保護を受けるためには

 

 

その公益通報が「不正の利益を得る目的

他人に損害を加える目的

その他の不正の目的でない」

 

 

ことが必要です。

 

 

ですから

単に会社に復讐をしてやりたいとか

 

 

会社を困らせてやりたいといった

目的で行った場合には

 

 

公益通報者保護法による保護は

受けられないことになります。

 

 

それにしても

介護施設での虐待は

ときおり耳にする問題です。

 

 

あまり表に出にくい問題であり

こうした公益通報者を保護すべき

必要性は非常に高いでしょうね。

 

 

もちろん

大半の介護事業者の方は

まじめに事業をされているはずですし

 

 

それだけにこのような事件は

本当に残念ではあるのですが。

 

 

介護業界の信頼性

透明性を高めるためにも

 

 

こうした公益通報者保護の

制度は重要でしょうね。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

 

 

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連休最終日の朝は3.5キロほどゆる〜く近所の公園をランニング。
午前中は息子が通った夏期講習の塾の保護者面談。9月からも通うかどうか思案中です。
その後は1人で川崎市生田にある亡父の墓参りに。ずいぶんと久しぶりになってしましました。恒例の墓前ビールもしっかりと^ ^

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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