今多い社員の引き抜きトラブル。
仮に違法な引き抜きだったとしても
損害賠償請求は簡単ではありません。
引き抜きで被った「損害」の算定と
立証は結構ハードルが高いのです。

(今日の「棒人間」 計算が難しい??)
<毎日更新1659日目>
昨日のブログでは
社員の引き抜き問題について書きました。
「引き抜き」は違法?ライバル会社に社員が移ったときに会社ができること
うちの会社で働いていた社員が退職した。
その後
その社員が
なんとうちのライバル会社に入社して
働いているという事実が発覚。
きっとライバル会社がうちの社員を
引き抜いたに違いない。
しかし
それが果たして違法な引き抜きに
当たるかどうかは
そう簡単ではありません。
他社に転職する社員にも
憲法で保障された
「職業選択の自由」があります。
そこで
引き抜き行為が違法となる場面は
非常に限定されています。
すなわち
その引き抜きのやり方が
簡単に言えば
引き抜きの方法が
社会的な常識を破るようなもので
信頼を裏切るような
ものであった場合に限られる
ということです。
さて
仮に違法な引き抜きと認められた場合
もし引き抜かれた会社に損害があれば
不法行為に基づく損害賠償請求が
可能となります。
ただ
この引き抜き問題
ここでもう1つ大きなハードルがあります。
それは
引き抜きによる「損害」をどのように算定し
立証するかという問題です。
この引き抜きによる損害は
一般的には
で計算されます。
ただ
実際にその引き抜かれた社員が1ヶ月で
どのくらいの粗利を稼いでいたのか
算定するのはなかなか容易ではない
ことが多いのではないかと思います。
損害賠償請求が難しいのは
仮に裁判になった場合は
請求する方がすべてを
立証しなければならない
ということです。
ですから
引き抜きの事例であれば
他社による自社社員の引き抜きが
上記のとおり「社会的相当性を逸脱し
極めて背信的な方法で行われた」こと。
さらに
その引き抜きによって自社に
具体的な損害が発生したこと。
そして
その損害を上記のように具体的に算定し
立証する。
これらは
すべて相手方に損害賠償を請求する方
(裁判で言えば原告)が主張・立証
しなければなりません。
それだけに
仮に違法な引き抜きがあっても
その相手に対して損害賠償請求を行うのは
実際にはかなりハードルが高いのです。
ですから
裁判をして
引き抜きを行った会社に賠償請求をする
という方法は
私はあまりお勧めはしません。
ただでさえ
「裁判沙汰」というのは
中小企業にとっては非常に負担が大きいのです。
私の弁護士としてのミッションは

というもの。
「裁判沙汰」を避けるためには
そもそもこうした引き抜きトラブルを
予防することが大切です。
そこで明日は
こうした引き抜きトラブルの予防法
についてお話ししたいと思います。
それでは
また。
◼️新作note(有料記事)「ファン付き作業着は義務?」知らなきゃ大損!夏の熱中症対策、会社がすべきこと
◾️裁判しないで解決するノーリスクプロモーター・弁護士 吉田悌一郎のプロフィール
◾️あなたの会社のトラブルを予防します〜あんしん法務ガード(顧問契約)
◼️「裁判沙汰」を予防する、契約書作成・リーガルチェックサービス
◾️【無料】セルフマガジン『裁判しないで解決する方法』の無料送付
◾️YouTube(渋谷の弁護士・吉田悌一郎の中小企業ビジネス法務チャンネル)
最新動画
今回は、「社員の同意なしに給料を減らせる?ジェットスター訴訟で会社側が敗訴した理由」というテーマでお話ししています。
活動ダイジェスト
| 住所 | 150-0031 東京都渋谷区桜丘町4番23号渋谷桜丘ビル8階 マップを見る |
|---|---|
| 受付時間 | 【平日】9:30〜18:00 【土曜日】9:30〜12:00 |

Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。