事業者と消費者との契約では
「契約書があるから大丈夫」という発想が
思わぬリスクになることがあります。
この場合
消費者契約法の規制に注意が必要です。

(今日の「棒人間」 その違約金はNG??)
<毎日更新1695日目>
LPガス販売会社である「エネライフ」が
同社がLPガスを設置する
戸建て住宅の購入者と
ある契約を結びました。
その契約には
顧客が10年の期間経過前に
中途解約した場合
ガスの設備設置費の一部の支払いを
求めるとの条項がありました。
このガス設備設置費用の一部を
顧客に請求できるかどうかが
争われた裁判の最高裁判決がありました。
判決では
この会社が請求した設備設置費用の一部は
消費者契約法が規制する
過剰な違約金に当たるとして
請求できないとする判断を
行いました。
LPガス途中解約で設置費請求は不可、過剰な違約金と認定 最高裁
判決では
この会社の上記の契約条項は
いわゆる中途解約を防ぐためのもので
「違約金」に当たると指摘しました。
そして
ガス料金は短期間での解約が一定程度
発生することを見越して設定されており
個別の解約により事業者側に
損害が発生していないとして
契約は無効であると判断しました。
このLPガスをめぐっては
戸建て住宅を建てる際に
建設業者が提携するLPガス事業者に
無償でガス配管の工事をさせ
一定期間内にガス供給契約を
解除した場合には
設備設置費用を請求するという
商慣行が続いていたようです。
ここで
消費者契約法という
法律を見てみましょう。
この法律は
事業者と消費者
つまり
いわゆるBtoCの取引に
際して問題となる法律です。
この消費者契約法は
一般に
事業者と消費者とは情報や
経済力等において大きな差が
あることを考慮し
消費者を保護して対等な立場で
契約を結べるようにするための法律です。
そして
消費者契約法は
そうした消費者を保護するため
事業者に対する様々な
規制を定めています。
その中の1つに
消費者が支払う損害賠償額の予定や
違約金に関する規制があります。
具体的には
たとえば
上記のように
消費者が期間の途中で
契約を解除した場合です。
この場合に
事業者が消費者に対して
支払わせる「違約金」の定めが
その契約と同種の
消費者契約の解除に伴い
その事業者に生ずべき平均的な
損害の額を超えるものである場合。
この場合は
その超える金額の部分は
法的に無効であるとされています。
上記の判決では
中途解約によって
LPガス事業者が設備設置費用の
一部を負担させることは
まさしく「その事業者に生ずべき
平均的な損害の額」を超えると
判断されたわけです。
このように
一般消費者を相手とする
BtoCのビジネスの場合
消費者契約法の規制が
あることに注意が必要です。
消費者契約法に違反してしまった場合
せっかく契約書を作っていても
契約自体が無効になったり
後々その契約が取り消されたり
するリスクがあります。
場合によっては
会社が損害賠償責任を負う
ケースもあります。
そこで
こうした消費者契約法に違反する
リスクを避けるためには
どうしたら良いでしょうか?
理想的なことを言えば
まず経営者が消費者契約法で
どんな規制があるのか
一応の理解をしておくことは
必要だと思います。
とはいえ
忙しい経営者の方が
難しい法律を一々勉強していられない
というのも十分理解できます。
そこで
やはりお客さんとの契約書を
専門の弁護士にチェックして
もらうことをオススメします。
「裁判沙汰」を予防する、契約書作成・リーガルチェックサービス
専門家に契約書をチェックしてもらえば
そもそも消費者契約法に違反した契約を
結んでしまうというリスクを予防できます。
さらに
こうしたことを現場の社員にも徹底すべく
消費者契約法に関する社内研修を
実施するのも効果があると考えます。
消費者保護は時代の流れと言えますし
規制はこれからも強くなって
いくものと考えられます。
消費者トラブルを予防する対策は
しっかりととっておきたいですね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。