離婚の裁判を
いきなり最高裁に起こしたら
どうなるでしょうか。
実際にそのような訴えが提出され
最高裁は明確にこれを退けました。
この事件を通して
「裁判管轄」という基本ルールを
整理してみましょう。

(今日の「棒人間」 光り輝く??)
<毎日更新1736日目>
先日
とある事件について
最高裁判所が訴えを却下する決定を
出したことが話題になっています。
具体的には
ある原告が
と題する訴状を
その提出先を
とする書面を提出したとのことです。
この訴状には
原告が自らのことを
と記載してあって
おまけに訴訟提起に必要な印紙も
貼っていなかったそうです。
この案件
どうも
福岡県北九州市内に住む原告が
福島県いわき市に住んでいる被告に対し
離婚等を求める訴えを提起する趣旨で
最高裁判所に訴状を提出したようです。
最高裁の決定書はたった
3頁ほどの分量で
として
あえなく原告の訴えを退けています。
とんでもないネーミングで
しかも最高裁に訴えを提起した事件ですが
そもそも裁判の「管轄」とは何でしょうか?
裁判の「管轄」とは
簡単に言えば
膨大な数の事件を
全国にあるどの裁判所が担当するか
という役割分担のことです。
「どこでもいいから訴えさせてくれ!」
となると
特定の裁判所に事件が集中したり
遠方の裁判所に呼び出された
当事者が困ったりする弊害があります。
そこで
そうした弊害を防ぐための
ルールが「管轄」です。
日本の裁判制度は
第一審、控訴審、上告審という
いわゆる「三審制」がとられています。
第一審を担当するのは
簡易裁判所か地方裁判所
あるいは家庭裁判所などです
(特殊な事件では高等裁判所も)。
上告審は
最終審であり
最高裁判所の管轄とされています。
第一審の中で
訴額(争う金額)が140万円以下
の場合は簡易裁判所
140万円を超える場合は
地方裁判所の管轄とされています。
また
離婚や相続などの家庭に関する紛争は
家庭裁判所の管轄となります。
ですから
冒頭の事例ですが
離婚を求める裁判であれば
第一審は家庭裁判所の管轄になるのであって
いきなり最高裁判所に訴えを
提起することはできないわけです。
さてさて
冒頭のトンデモ事件ですが
驚くべきことに
この訴えを提起した原告には
代理人弁護士がついていて
この弁護士が上記のトンデモ訴状を作成し
最高裁に提出したというのです。
なぜ弁護士がついていながら
こんなことをしたのかは
まったく謎です。
この点について
上記の最高裁の決定では
本件訴状は、原告の訴訟代理人である本件弁護士によって作成され当裁判所に提出されたも のであるから、本件訴えは、最高裁判所の管轄に属しないことを十分認識しなが ら、あえて最高裁判所を経由し、本来、管轄のない裁判所への訴訟係属を求めて当裁判所に提起されたものというべきである。こうした訴えを最高裁判所に提起する ことは、人事訴訟法及び民訴法の予定する正当な権利の行使とはいい難く、是認し 得るものではない
と述べています。
しかし
最高裁の怒りはこれで収まりません。
さらに
以上に加えて、本件弁護士が本件訴えの提起以前にも殊更にこれと同様の行為を繰り返してきたことは当裁判所に顕著であることを併せ考えると、本件訴えの提起は、訴訟制度の趣旨、目的に照らして著しく相当性を欠き、訴訟上の権利の行使と して到底是認することができないというべきである。
と断罪しています。
この弁護士は
以前も同様のことを
やっていたのですね・・・。
そして
最後には
上記の事情を総合すれば、本件訴えは、訴訟上の信義則に反するとして却下 すべきものである。
と切り捨てています。
民事の裁判のルールを定めた
民事訴訟法という法律には
という訴訟上の信義誠実の原則(信義則)
が定められています。
最高裁は
こうした訴えの提起自体が
訴訟上の信義則に反すると
判断したわけです。
確かに
「裁判を受ける権利」というものは
憲法で国民に保障されています。
しかし
司法や裁判所といった機関も
国民の税金で運営されています。
それだけに
正当な権利行使とは言えない
おふざけのような対応には
やはり厳しくあるべきなのでしょうね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。