AIの進化によって
これまで弁護士費用などの問題で
裁判を諦めていた人でも
比較的簡単に訴訟を起こせる
時代になりつつあります。
便利になる一方で
中小企業にとっては新たなリスクも。
今回は
AI時代に増える「裁判沙汰」の
可能性について考えてみます。

(今日の「棒人間」 AIで裁判が増える??)
<毎日更新1858日目>
アメリカでは
AIの普及で
弁護士を立てない「本人訴訟」が激増。
この「弁護士なし訴訟」の割合が
2022年の11%から2025年には
16.8%に増えたとのことです。
たまに誤解している人がいますが
民事裁判は別に弁護士を立てなくても
本人が自分で行うことが可能です。
これを「本人訴訟」とか
「弁護士なし訴訟」といったりします。
ドイツでは基本的に「本人訴訟」を認めない
弁護士強制制度が取られていますが
日本やアメリカでは「本人訴訟」が
認められています。
ところが
弁護士ではない本人が民事訴訟を
起こすといってもなかなか大変で
自分の法的主張や事実関係などを
書面にまとめて提出しなければなりません。
これが今まではなかなかハードルが高く
やはり弁護士に依頼しないと裁判は
難しいとされていました。
しかし
AIの普及やその機能の向上によって
法律や裁判手続の専門知識がない人でも
割と簡単に裁判に必要な書面が
書けるようになったわけです。
そうすると
今までは弁護士に依頼するコスト面
などを考えて諦めていた人が
AIを使って躊躇なく弁護士なしで裁判を
起こせるようになっているようです。
こういったAIを使った
「弁護士なし訴訟」の増加に
アメリカの裁判官も概ね好意的な
評価をしているようです。
なぜかといえば
従来から「弁護士なし訴訟」は
一定数あったわけですが
AIの援助を借りない「本人訴訟」
で提出される書面は
「解読」するのが非常に
困難な場合があります。
かつては手書きの解読困難な書面を
それでも裁判官は読み込む
必要があったわけですが
AIで作られた書面は
それに比べて主張が明確で
処理しやすいとのことです。
ただ
「弁護士なし訴訟」が好意的に
受け止められているとしても
やはり弁護士をつけた場合に比べると
敗訴する可能性はかなり高く
AIを使ってもその辺の状況は
変わらないそうです。
なぜかというと
およそ裁判というものは
「書類」の出来不出来だけで
勝負が決まるものではありません。
実際には
証拠の集め方や見せ方
相手方の反論への適切な対応
裁判手続ルールの正確な把握
証人尋問のスキル
裁判官の質問に対する的確な応答などなど
結構必要とされるものは多岐にわたります。
AIは「それらしい文章」を作るのは得意ですが
こういった手続全体のプロデュースは
まだできません。
また
今の段階では
AIはまだ「ハルシネーション」があり
自信満々に誤った回答を
出すことがあります。
弁護士であればAIが出す情報の
成否を検証することができますが
一般の人にはなかなか難しいでしょう。
そうなると
これが裁判所の信頼を失わせ
むしろ「弁護士なし訴訟」の案件で
心証を悪化させる原因ともなり得ます。
さらに
そもそも「裁判」にすべきかどうかの
入口判断というものがあります。
弁護士がその案件について
勝ち目がないと判断するケースでも
AIは親切に訴状を作ってしまいます。
こうしたことが
AIによる「弁護士なし訴訟」の勝率が
上がらない原因とされているようです。
弁護士の仕事の本質は
「正しい文章を作ること」ではありません。
そうではなく
「依頼者にとって最善の結果を
実現するためにどう動くか」という
総合判断と実行力が問われます。
AIは確かにその入口部分を民主化し
誰でも弁護士を使わずに裁判を
起こしやすいところまでは持ってきています。
しかし
その先の
手続全体を通じて
「どのように有利な解決を導くか」という
出口まではまだAIの力が及んでいないのが
現実でしょう。
とはいえ
やはり法律の専門知識のない人でも
裁判を起こすハードルが下がり
結果として「弁護士なし裁判」が
増加しているというのは現実です。
実際
AIの普及によって
企業の訴訟対応にかかるコストが
10〜15%増加したというデータも
あるようです。
このことは
日本にとっても「対岸の火事」
ではないでしょう。
それでも
大企業ならば
法務部や顧問弁護士が常駐
しているのでまだ対応は可能です。
問題は中小企業です。
たとえば残業代や解雇
ハラスメントといった労働問題
カスハラ問題
比較的少額の消費者トラブルなど。
これらは以前ならば
弁護士費用がかかるので
泣き寝入りしていた相手が
AIがあれば個人でも企業を相手に
裁判を起こせるようになるわけです。
つまり
中小企業が「裁判沙汰」に
巻き込まれるリスクは
AI時代には以前よりも
上がると言えるでしょう。
この点
私の弁護士としてのミッションは

というもの。
こんな時代だからこそ
中小企業は何かトラブルが
起きてからではなく
トラブルが起きる前にこそ
「裁判沙汰」を予防するための
備えをしっかりやっておくべきなのです。
AIの普及・発展はたしかに
私たちの暮らしを便利にしてくれました。
ただ
その反面
今までは考えられなかったような
トラブルも増えることが予想されます。
どんな時代になっても
自社を守る仕組みをしっかりと
整えておきたいものです。
それでは
また。
◾️裁判しないで解決するノーリスクプロモーター・弁護士 吉田悌一郎のプロフィール
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今回は「「退職届があるから安心」は危険??なぜ会社は敗訴したのか?」というテーマでお話ししています。
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Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。