社員の退職時に「競業避止義務」の
誓約書へのサインを拒否されたら
会社は退職金を支払わなくてもよいのでしょうか。
誓約書のサインを退職金支給の
条件とすることはできるのか?
今回は
この辺を掘り下げてみたいと思います。

(今日「棒人間」 交換条件??)
<毎日更新1890日目>
昨日のブログでは
社員の退職後の「競業避止義務」
の問題について取り上げました。
「競業避止義務」の誓約書を書かない社員に、退職金を払わなくてもいい?
「競業避止義務」とは
簡単に言えば
自社の業務とライバル関係にある
会社に転職したり
そういう企業を新たに
設立したりしてはならない
義務のことです。
社員は
会社に在籍中は
会社との間の雇用契約の内容として
当然に競業避止義務を負って
いると考えることができます。
しかし
退職後は雇用契約関係がなくなるので
当然に競業避止義務を負う
とは言えなくなります。
そこで
多くの会社では
社員が退職する際に「競業避止義務」の
誓約書を書かせるという対応を
しています。
この退職後の「競業避止義務」
の合意については
会社にとっての必要性があり
制限の範囲が合理的であれば
有効とされています。
ところが
退職する社員がこの「競業避止義務」の誓約書
にサインすることを拒絶することがあります。
そこで
仮に退職後の「競業避止義務」の内容が
合理的であるとした場合
誓約書にサインしない社員に対して
退職金を不支給とすることができるか?
今回はその点に焦点を
当ててみたいと思います。
この問題を考えるに当たっては
まず退職金の法的な性質を考えて
みる必要があります。
この点
退職金というものには
次の2つの性質があると
言われています。
1つ目は
です。
これは、
社員の長年の功労に対して
退職金というお金で報いる
といった性質です。
そして
もう1つは
といわれるものです。
この点
退職する社員が「競業避止義務」の
誓約書にサインしないという場合
1つ目の功労褒賞としての側面
で考えれば
退職金の不支給も認められる
ように思えます。
誓約書へのサインを拒むということは
退職後に競業行為を行う可能性が高く
これは退職後とは言え
会社の利益を犠牲にする行為
につながります。
そう考えると
こうした退職社員の行動は
在職時の勤続の功労を減少させる
とも考えられるからです。
ただ
賃金の後払い的性質を考えると
また話は違ってきます。
この観点に注目すると
いくら退職時に誓約書へのサインを
拒否したからと言って
当然に退職金を不支給に
できることにはなりません。
そこで
仮に退職時に社員が誓約書への
サインを拒否したとしても
退職金全額の不支給は法的に
許されないと考えます。
これに対し
退職金の一部の不支給であれば
その金額にもよりますが
有効と考える余地はあります。
ただし
そのためには要件があります。
まず第一に
雇用契約書や就業規則などで
きちんと退職後の「競業避止義務」
に関する規定があること。
そして
退職時に「競業避止義務」に関する
誓約書にサインしない場合には
退職金の一部が不支給となること
についても明示されていることです。
その上で
そういった就業規則等の定めが
社員にきちんと周知されていることです。
こういった就業規則の定めがない
あるいは定めはあっても社員に
きちんと周知されていない場合は
一部であっても退職金の不支給は
法的に許されないと考えます。
よくありがちな例としては
こういった就業規則の整備もなく
退職時に突然「競業避止義務」の
誓約書を無理やり書かせようとするもの。
そして
退職する社員がそれを拒んだ場合
これも突然「退職金は払わん!」と
やってしまうようなケースです。
こうしたことをやると
退職する社員との間でトラブルとなり
最悪「裁判沙汰」に陥る危険があります。
トラブルや「裁判沙汰」を予防するためには
やはり就業規則の整備など日頃の対策が
何よりも重要です。
くれぐれも
こうした根拠もなく
怒りに任せて「退職金の不支給」などを
しないように注意が必要ですね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。