今は副業の時代と言われています。
ただ、社員が会社の業務と競業
する副業を行うことも
あり得るわけです。
会社としては、社員が競業的な
副業を行うことを制限できる
のでしょうか?
(副業で焼き鳥を焼く?)
<毎日更新637日目>
世の中、
副業ブームが続いています。
働き方改革の一環で、
政府が副業を奨励している
ことに加えて、インターネットの
発達で、個人が比較的簡単に
副業ができるようになりました。
会社でも、
昔は副業は一切禁止、
としている会社も少なく
ありませんでした。
しかし、
基本的に社員の勤務時間
以外の時間は自由時間
であって、原則として
その時間をどう過ごすか
は社員の自由です。
ですから、
会社の就業規則などで、
社員の副業を一切禁止する
ことはできない、
とされています。
ただ、
裁判例では、
社員の副業については、
会社の許可制とすることは
許される、としています。
会社の許可制とは言っても、
何らの弊害がないにも
関わらず、会社が副業を
許可しない、という
こともあり得ます。
そこで、
あくまでその副業が会社での
労務提供に与える支障や、
企業秩序に与える影響などを
考慮して、会社が許可するか
どうかを決定すべき、
とされています。
具体的には、
会社が社員の副業を制限
することが許されるのは、
に限られる、
とされています。
ここで、上記の③の、
社員が会社の業務と競業
する副業を行なっていた場合
が問題となってきます。
たとえば、不動産業を営むある会社の
社員が、副業で同じく不動産業を
行なったという場合。
この社員は、いわば会社の業務で
得た情報などを使って、
自分の副業で利益を得ることに
なります。
そうなると、本来は会社の利益
になるべきものが、社員の副業
による個人的利益になってしまう、
という事態も考えられます。
そうすると、社員の副業によって
会社の利益が害されることになります。
この点、労働契約法3条4項では、
と定められています。
これは、労働契約における
信義誠実の原則を定めて
います。
ここから、社員は、
使用者である会社の利益に
反する競業行為を
差し控える義務がある
と考えられます。
ですから、会社としては、
会社と競業関係になるような
社員の副業は許可しない、
という判断ができることに
なります。
さらに進んで、
許可制に違反して会社と
競業になるような副業を
社員が行った場合、
この社員を解雇できるかどうか?
社員の解雇には、
が必要となります。
ですから、競業行為があったから
と言って、直ちに解雇ができる
というわけではなく、
ケースバイケースでしょう。
ただ、副業が発覚して、会社が
注意したにもかかわらず、
再度副業を行なったような
場合には、解雇が認められやすく
なると言えるでしょう。
というわけで、
今日のポイントは
ということです。
副業というものは、上手にやれば
社員にとっても会社にとっても
利益のあるものになり得る
わけです。
しかし、その前提としては、
会社と社員との信頼関係
が欠かせません。
お互いに、やはり信義に反する
行為は慎みたいものですね!
最新動画
今回は、弁護士の秘密を守る守秘義務、というテーマでお話しています。
活動ダイジェスト
住所 | 150-0031 東京都渋谷区桜丘町4番23号渋谷桜丘ビル8階 マップを見る |
---|---|
受付時間 | 【平日】9:30〜18:00 【土曜日】9:30〜12:00 |
Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。