契約書を作るのは、
あとあとトラブルが起きたときに、
相手とどんな約束をしたのかを
明確に証拠に残すため。
しかし、
せっかく契約書を作っても、
その契約書が手元に残っていなければ、
意味がありません。
重要書類は、
必ずコピーを取る習慣を
持ちましょう、
というお話しです。
(法律事務所に「複合機」はいつまで必要か?)
<毎日更新685日目>
私も、
このブログで結構、
うるさく「契約書は作りましょう」
と言っています。
それって、
なんのためでしたっけ?
契約書を作るメリットは
いろいろとありますが、
1つは、後でトラブルが起きたときに、
どんな約束をしたのか、
という明確な証拠を残すためです。
逆に言えば、
証拠として残せないなら、
契約書を作る意味はほとんど
なくなってしまいます。
先日、
ご相談いただいた会社のケースでは、
この会社は別の会社のソフトウエアを
利用して商品を制作、販売しています。
このソフトウエアを利用するにあたっては、
その会社との間で、
ソフトウエアの使用許諾契約書を
結んだとのことです。
ところが、後になって、
この会社との間で、
ソフトウエアの使用期間や対価、
使用方法などをめぐって
トラブルになりました。
こんなとき、
契約書があれば、
どちらが契約に違反しているのか、
ということも比較的明確になり、
トラブルも早期に解決できる可能性が高い。
しかし、
なんとこのケースでは、
契約書が1通しか作成されておらず、
その契約書の原本は相手方が
持っていて、
こちらはコピー(写し)を
とっていないとのこと。
すでにトラブルになっているので、
今さら相手方に契約書のコピーを
くれと言っても、
拒否される可能性があります。
せっかく契約書を結んでも、
手元にその契約書がないのであれば、
自社に有利な交渉の材料として
使うこともできず、
交渉は後手後手に回らざるを
得ません。
確かに、
不動産売買などでは、
契約書に貼る印紙代を節約する目的で、
契約書の原本は1通しか作成
しないということがあります。
ただ、その場合は、
必ず原本を持っていない方の
当事者には、その契約書のコピーを
渡すものです。
上記のご相談事例では、
相手方が契約書の原本を持っていて、
契約時にコピーをこちらに渡さなかった
のですから、確かに少し悪質な相手方
と言えるかも知れません。
しかし、
こちらの会社もやはり問題です。
取引上の契約書を作る場合は、
基本的には必ず2通作成して、
双方で1通ずつ保管するのが通常です。
もしなんらかの事情で契約書を
1通しか作らないのであれば、
原本を入手できない方の当事者は、
必ず契約書のコピー(写し)を
もらうことをしなければなりません。
やはり経営者として、
重要な書類を相手に渡したままに
しておくのは非常にまずい状態です。
必ずコピー(写し)をもらうという
習慣は、会社経営の守りとしても
必須だと思います。
と、まあ、
私も偉そうなことを言いますが、
私も若い頃やらかしてしまった
ことがあります。
弁護士の世界も、
とにかく受けた案件に関する書類は、
必ずコピー(写し)をとる習慣が
徹底しています。
仮に、
依頼者(お客さん)に送る案件の
報告文書であっても、
必ずコピー(写し)は残しておきます。
ところが、
新人弁護士の頃、
私は依頼者に送る文書について、
コピー(写し)を取らずに送って
しまったことがありました。
このときは、
先輩弁護士から大目玉を食いました。
重要書類について、
コピー(写し)も取らずに送って
しまうというのは、
さすがに弁護士失格でしょう。
さすがにそれ以来は、
私もコピー(写し)を取ることを
徹底しています。
というわけで、
今日のポイントは
ということです。
せっかく契約書を作ったのに、
それが手元にない、
コピーも残していない。
そのために、
あとで取引先とトラブルになって、
こちらが不利な条件を飲まされた、
となれば大変悔しいでしょう。
それが原因で、
会社の経営が悪化してしまうことも、
十分にあり得ます。
たかがコピー、
されどコピー。
会社経営の大事な「守り」の習慣として、
重要書類は必ずコピーする、
という習慣を持ちましょう。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。