巷で噂になっている
「チャットGPT-4」
ヤバすぎますね。
法律的なことについても、
その精度や正確さには驚きで、
「司法試験」に受かるとも
言われています。
もはや、
弁護士など必要なくなるのではないか、
とも思いましたが、
案外そうでもないかも、
というお話です(^ ^)
(最新のチャットGPT-4)
<毎日更新701日目>
巷で噂になっている「チャットGPT」
今までの「チャットGPT」は、それなりに優れてはいるけれども、まだまだツッコミどころ満載で、間違いも多かった。
ところが、先月出てきたこれ、
これはかなりヤバい。
何がヤバいかと言いますと、
多くの人がすでに言っているように、
その情報の精度、正確さが
ハンパないのです。
試しに、
ある法律相談の質問を、
この「チャットGPT-4」に
投げかけてみます。
中小零細企業で、
割とよく聞くこんな話。
つまり、
高齢になった社長が株式の
100%を所有していて、
なんと重度の認知症に
なってしまいました。
社長の息子が会社を引き継ぎたい
と考えているけれども、
法的にどんな方法がありますか?
こんな質問を
「チャットGPT-4」
に入れてみました。
すると、
回答はこんな感じ。
いやぁ〜驚き、
これはかなりの精度です。
冒頭に
なんて書いてありますが、
法律的な情報はほぼ正確と言えるでしょう。
試しに、
上記のチャット「GPT-4」先生の
回答を1つずつ見てみましょう。
1 代理人の任命: まず、社長が重度の認知症で判断能力が不十分な場合、彼の代理人を任命する必要があります。これは、成年後見制度などを利用することができます。法定代理人が選任されれば、彼らが社長に代わって意思決定を行うことができます。
これはまさにその通りで、
この問題で一番重要な部分であり、
ネックとなる部分です。
会社の重要事項の決定は、
株主総会を開催して決定する
必要があります。
しかし、
100%株式を持っている社長が
重度の認知症では、
株主総会において議決権を
行使することができません。
そこで、
後継者である息子さんに社長を
引き継いでもらうためには、
社長(父親)が持っている株式(100%)
を息子さんに譲渡させる必要があります。
しかし、
やはり社長が重度の認知症なので、
社長は息子に株式を譲るという
「株式譲渡契約」を結ぶことが
できません。
そこで、
家庭裁判所に成年後見開始審判
の申し立てを行い、
社長(父親)の財産を管理したり、
代わって意思表示をしたりする
成年後見人を選任してもらう
必要があります。
成年後見人が選任されれば、
この成年後見人が、
認知症の社長に代わって、
息子さんとの間で「株式譲渡契約」
を結ぶことができる、
というわけです。
2 評価: 会社の価値を正確に評価するため、
専門家による会社の評価が必要です。これは、株式の譲渡価格を決定する際に役立ちます。
これもまったくそのとおり。
株式を譲渡するにあたって、
その株式譲渡の対価を
決める必要があります。
上場株式など市場価格
のある株式であれば、
それは特に難しくありません。
しかし、
多くの中小零細企業のように、
公開されていない会社の場合は、
「株式の評価」というものを
行う必要があります。
これは、
公認会計士や税理士といった
専門家が、
会社の決算書類等を精査して
評価することになります。
- 3 株式譲渡契約: 社長の代理人と息子が、株式譲渡契約を締結します。この契約には、譲渡価格、支払い方法、譲渡条件、保証など、株式譲渡に関する詳細が含まれます。
これは、
先ほど述べたとおりで、
家庭裁判所から選任された
成年後見人が、
認知症の社長(父親)に
代わって、
後継者である息子さんとの間で
「株式譲渡契約」を結びます。
- 4 株式譲渡手続き: 契約に従って、株式譲渡手続きが行われます。これには、株主名簿への変更や商業登記の変更が含まれます。
次に、
成年後見人と息子さんとの間で
締結された「株式譲渡契約」
に従って、
株式譲渡の手続きを
行います。
具体的には、
会社にある「株主名簿」
の名義を変更し、
100%父親の名義だった
会社の株式を、
息子さんの名義に
変更するわけです。
その上で、
新たに株主となった後継者の
息子さんが、
株主総会で自分を代表取締役
として選任します。
ただし、
この場合は、
株主が1人しかいない、
いわゆる「1人会社」なので、
一定の要件のもとに株主総会
の開催を省略することができます。
そして、
息子さんが社長(代表取締役)に
就任したら、
会社の登記手続を
行うことになります。
代表取締役や取締役といった
会社の役員に関する事項は、
登記をすることが
求められています。
具体的には、
父親から息子さんへ、
代表取締役の名義を変更
することになります
(正確には、社長の代表取締役退任と、
息子の代表取締役就任の登記)。
これらの登記手続きは、
専門家である司法書士に
依頼することが多いでしょう。
- 5 税務手続き: 株式譲渡に関連する税務手続きが必要です。これには、譲渡税の支払いや所得税の申告が含まれる場合があります。
父親(旧社長)から息子(新社長)
への株式の譲渡が、
売買(有償)であれば、
譲渡所得税が発生する
場合があります。
また、
株式の譲渡が、
贈与(無償)であれば、
贈与税が発生します。
それぞれ、
税務申告及び納税の手続きが
必要となります。
これらの手続は、
専門の税理士に依頼
することになります。
とまあ、
「チャットGTP-4」の答えは、
情報としてはかなりの制度に
なっています。
「チャットGPT-4」は、
司法試験に合格できるとも
言われていますが、
確かに可能性はあるな、
と感じましたね。
まぁ、
正直に言えば、
この「チャットGPT-4」の凄さに
は舌を巻かれたと言いますか、
危機感を通り越して
「恐怖感」さえ覚えました。
という感じですね。
士業の仕事がAIに淘汰される、
というのを実感したような
気がします。
ならば、
これからの弁護士は
どうあるべきなのか?
もちろん、
これまでのような、
単に知識や情報を提供するだけの
弁護士であれば、
意味はないでしょう。
どんなに頭の良い弁護士であっても、
この点はAIには勝てません。
私は、
これからの弁護士に
必要とされる能力の1つに、
があると思います。
確かに、
「チャットGPT-4」は、
知識・情報としてはかなり
正確です。
しかし、
それを法律を知らない
一般の人々に理解
してもらうためには、
上記で私が行ったような
「説明」が必要でしょう。
法律が絡む話というのは、
どうしても固い言葉や
難しい言葉、
専門用語などが
使われがちです。
そして、
専門家である弁護士も、
そうした言葉を疑いもせずに
そのまま使いがち。
しかし、
そこを噛み砕いて、
どれだけわかりやすい説明ができるか、
といったことが、
これからはますます重要でしょう。
また、
上記の「チャットGPT-4」でも、
と書かれています。
これは確かにそのとおりで、
法的な問題というのは、
なかなかこうした一般論を
形式的に当てはめても
うまくいかない「個別性」
というものがあります。
実際、
私もこれまで弁護士として約20年、
様々な案件を担当してきましたが、
同じ種類の案件はあっても、
まったく同じ事案は2つとありません。
その「事案」ごとに個性や特徴
といったものが必ずあります。
こうした「個別性」の部分を、
人間である弁護士が臨機応変に
対応しながら解決していく、
ということも求められるでしょう。
特に、
顧問契約などで、
長く関わらせていただいている
会社などでは、
弁護士がその会社の内情なども
理解しています。
ですから、
よりそういった「個別性」を
顧慮してお仕事をすることが
できるわけです。
上記の問題などでも、
はっきり言って成年後見の申立
までしなければならない、
というのはかなり面倒です。
私がこの会社の顧問弁護士であれば、
こうしたリスクに備えて、
社長(父親)が元気なうちに、
息子さんへの事業承継(株式譲渡)
の準備をすすめたと思います。
何かコトが起こってから
慌てて「チャットGPT」先生に
相談する。
それよりも、
常日頃からその会社の「個別性」
を頭に置いて「トラブル予防」
の対策をとっておいた方が、
結果的にコストパフォーマンスは
良いでしょう。
さらに、
AIにはまだできないのが、
人間の「感情」の部分です。
相談者の中には、
法的に必要なことか、
そうでないか、
よくわからないけれど、
とにかく話を聞いてほしい、
という要望が結構あるものです。
話を聞いてくれるだけで、
少し溜飲が下がり、
感情的にも満たされる、
人間には必ずそういう部分が
あります。
ところが、
残念ながら、
弁護士は人の話を聞くことが
苦手な人が少なくありません。
相談者の話を、
と言って途中で
さえぎってしまう。
こういうことをされると、
どんなに「正しい」答えを言われても、
感情的な満足を得られません。
相談者としては、
という不満が残ってしまいます。
なので、
こういうことも、
AIではない生身の人間の
弁護士だからこそ、
意識しなければならないでしょう。
すなわち、
なるべく相談者の話を
聞いてあげる、
話し相手になってあげる。
そして、
相談者の「感情」の部分、
すなわち、
人の気持ちをきちんと理解できる
弁護士でなければならないでしょう。
そんなわけで、
これからの弁護士というのは、
コミュニケーション力や
「人間力」といったものが、
より一層求められることに
なると思います。
というわけで、
今日のポイントは
ということです。
そんなわけで、
これからの弁護士は、
より一層生身の「人間」を理解する、
ということを意識する必要が
ありそうです。
当たり前ですが、
「人間」を理解するには、
「人間」と付き合うのが一番。
これからも、
人との出会いや人付き合いを
大切にしていきたいものです。
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今回は、社長による会社の私物化、会社と社長の財布が一緒というのはアリなのか?そんなテーマでお話しています。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。