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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【アイドルは「労働者」?】「脱退したら違約金」の契約は無効?

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アイドルは「労働者」

にあたるのか?

 

 

法律上の「労働者」

にあたるかどうかは、

どんな基準で判断されるの

でしょうか?

 

 

 

(竹富島の「アイドル」水牛)

 

<毎日更新721日目>

アイドルは「労働者」?

アイドルは労働者。
だから、芸能事務所との間の違約金条項は無効。

こんな裁判所の判決が

出ました。

 

 

アイドルグループの

「BREAK THROUGH」

(ブレイクスルー)

のメンバーだった

新澤典将さん。

 

 

報道によりますと、

新澤さんは、

芸能事務所と専属マネイジメント契約を

結んだ上で、

ブレイクスルーのメンバーとして

活動を始めたそうですが、

その後、

適応障害と診断されたそうです。

 

 

そこで、

新澤さんは、

ブレイクスルーを脱退。

 

 

その後、

芸能事務所は、

契約の違約金条項に基づいて、

リハーサルやコンサート、

イベントの無断欠席、

脱退に関する違約金として、

約1000万円近い金額を

請求して裁判を起こしました。

 

 

それに対して、

大阪地裁の判決では、

新澤さんを労働基準法の

「労働者」にあたると認定。

 

 

その上で、

労働基準法では、

「違約金」や「賠償金」の支払いを

あらかじめ予定することを禁止

しているため、

芸能事務所の違約金条項は無効である

と判断しました。

 

 

 

独立事業者か、労働者かの判断基準とは?

そもそも、

今回芸能事務所は、

新澤さんと雇用契約を

結んでいるとか、

新澤さんが「労働者」である

との認識はなかったものと

考えられます。

 

 

芸能事務所としては、

あくまでアイドルである新澤さんは

「独立事業者」として扱っており、

その「独立事業者」である

新澤さんとの間で、

専属マネイジメント契約

というものを結んでいた。

 

 

この専属マネイジメント契約の中には、

アイドルグループを脱退した場合

などの違約金の条項が

定められていた、

というわけです。

 

 

アイドルが「独立事業者」であれば、

芸能事務所との間は、

いわば対等な事業者どうしの契約、

ということになるわけです。

 

 

途中でグループから脱退したりすれば、

それは契約違反(債務不履行)

となりますから、

違約金などが発生する

ことになるのです。

 

 

ところが、

アイドルが「労働者」である

ということになると、

まったく話は違ってきます。

 

 

「労働者」には、

労働基準法という法律が

適用されます。

 

 

「労働者」というのは、

使用者である会社に

従属した立場ですから、

対等な事業者どうしのような

関係とは違い、

「労働者」を保護する、

という側面が強くなります。

 

 

そして、

労働基準法では、

上記のように、

あらかじめ「違約金」や「賠償金」の

支払いを予定することは禁止しており、

労働者との間でそのような

契約を結んでも、

無効とされています。

 

 

それでは、

この「労働者」か、

それとも「独立事業者」か、

というのは、

どんな基準で判断されるの

でしょうか?

 

 

この点、

法律上「労働者」かどうかは、

使用従属性の有無、すなわち、
①使用者(会社)の指揮監督下で労働していること
②労務の対価として報酬を受け取っていること

という基準で判断されます。

 

 

上記の大阪地裁では、

新澤さんについて、

「事務所の指揮監督の下時間的場所的拘束を受けつつ業務内容について許諾の自由のないまま、定められた業務を提供しており、その労務に対する対価として給与の支払を受けており、事業者性も弱く、事務所への専従性の程度も強く、労働者性が認められる」

として、

新澤さんを「労働者」である

と認定しました。

 

 

ここで大切なことは、

「形式」ではなく、

あくまで「実態」「実質」で

判断されるということです。

 

 

つまり、

契約の名称が「業務委託契約」だろうが、

「専属マネイジメント契約」だろうが、

働き方の実態が使用者(会社)に

従属するものであって、

上記の基準に当てはまれば、

「労働者」と判断される

ということです。

 

 

以前、

このブログで、

「雇用契約」と「業務委託契約」の

違いについて書いたことがあります。

【業務委託契約か、雇用契約かの違い】それ、雇用契約と判断されます!

 

契約の名称がどうであれ、

「労働者」と認定されると、

会社にとっては様々な規制、

縛りがかかってきますので、

この辺のことは押さえて

おかれた方がよろしいかと

思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

というわけで、

今日のポイントは

 

 「労働者」かどうかは、あくまで働き方の実態によって決まる!

ということです。

 

 

最近では、

芸能界におけるアイドルの

働き方なども、

いろいろと問題が

指摘されているようです。

 

 

上記の大阪地裁判決が、

そんなアイドルの労働環境を

改善するきっかけになれば

と思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、秘密保持契約を結んでおくべき3つの理由、というテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、息子を小学校に送って行った後、普通に事務所に出勤。
午前中は事務所の所内会議、午後は通院などでした。

https://teiichirou.com/206/

 

 

 

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裁判しないで解決する
ノーリスクプロモーター

                               
名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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