社内のパワハラを放置すると、
パワハラをした直接の
加害者だけではなく、
会社自体が訴えられる
ことがあります。
会社には、
社員の心身等の安全を
確保するという、
安全配慮義務があるからです。
(「安全」を確保するための標識)
<毎日更新724日目>
社内のパワハラを放置していると、会社が訴えられますよ!
北海道電力の子会社の
「ほくでんサービス」
という会社の社員の方が、
上司からパワハラを受けた
ということで、
会社に対して損害賠償請求
の裁判を起こした、
というニュースがありました。
報道によれば、
この社員の方は、
上司から、
喫煙所で火のついたタバコを
手や耳に近づけられたり、
他の社員らの前で
怒鳴られたりしたそうです。
この社員の方は、
結局うつ病を発症して休職し、
その後会社を退職したそうです。
この社員の方は、
パワハラを行った上司を
刑事告訴し、
この上司は脅迫罪で略式起訴され、
罰金10万円の略式命令
を受けたそうです。
それでは終わらず、
この社員の方は、
会社に対して、
会社がパワハラを放置した
との理由で、
損害賠償請求の裁判を
起こしたそうです。
加害者である上司を訴える、
というのはわかりますが、
直接の加害者ではない
会社自体を訴える、
というのは、
ちょっとしっくり来ない
かも知れませんね。
この点、
パワハラ防止法、
という法律がありまして、
会社には、
社内のパワハラを防止する
ための様々な義務が
課されています。
会社がもしこの義務を
怠った場合には、
行政庁からの指導・勧告
を受けたり、
場合によっては社名を
公表されたりすることが
あります。
詳しくはこちらの記事
そもそも、
パワハラは、
たとえば社員(上司)と
社員(部下)との間の
トラブルです。
にもかかわらず、
なぜ会社にいろいろな義務が
課せられるのでしょうか?
この点、
労働契約法5条では、
会社の安全配慮義務として、
次のような規定があります。
使用者(会社)は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
社員との間の労働契約に基づく
義務の1つとして、
会社は社員に対する
安全配慮義務を負っています。
これは、
会社というものは、
社員を使って利益を上げる
組織である以上、
そこで働く社員の労働環境の
安全にきちんと配慮すべきである、
という考え方が背景にあります。
たとえば、
建設業などで、
高所で危険な作業行う場合、
社員が転落したりしないような
配慮が必要なことは、
言うまでもないでしょう。
これと同じことで、
パワハラが横行する職場では、
やはり社員の心身に危険が
伴います。
ですから、
会社はこうしたパワハラを
防止するための配慮が必要になる、
ということなのです。
もし、
会社がこの安全配慮義務を怠って、
社員がうつ病になるなど損害が
発生した場合は、
会社には契約違反の責任が
発生します。
すなわち、
債務不履行ということで、
社員から損害賠償請求をされる
ということになります。
そんなわけで、
社内のパワハラを放置していると、
直接の加害者だけではなく、
会社自体が訴えられて、
「裁判沙汰」になってしまう
おそれがあります。
私の弁護士としての使命は、
中小零細企業のトラブルを
「裁判沙汰」を避けるためにも、社内のパワハラは放置してはなりません。
というわけで、
今日のポイントは
ということです。
そんなわけで、
会社にはいろいろと義務が
あって大変ではあります。
ただ、
職場環境の風通しと言いますか、
社内の雰囲気、
空気感は、
いずれ会社のパフォーマンスに
影響してきます。
社員の少ない中小零細企業なら、
なおさらでしょう。
遠回りなようですが、
社内のパワハラをなくし、
社員が働きやすい職場環境を
作ることが、
結局は会社の本業の発展にも
つながるのだろうと思います。
お詫び
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Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。