現在、
会社の法人登記には、
社長である代表取締役の
氏名・住所が記載されています。
そして、
会社の登記は誰でも
見ることができるので、
いわばこうした社長の
個人情報は公開されている
わけです。
「個人情報」が重視される今の時代、
この登記制度のあり方にも
疑問が出されています。
(今日の「棒人間」 自宅がバレるとまずい??)
<毎日更新762日目>
法人登記に書かれている会社の代表者の自宅住所を、原則非公開にしてほしい!
6つの業界団体が、
このような提言書を
共同で出している
とのことです。
現在の制度では、
会社の登記上は代表者の
氏名・住所が記載される
ことになっています。
そして、
会社の登記は、
誰でも閲覧・謄写が
可能です。
また、
登記情報をオンラインで閲覧できる
「登記情報提供サービス」もあり、
これを使えば実に簡単に
会社代表者の住所を調べる
ことができてしまいます。
そもそも会社の法人登記には、
会社の名前(商号)、
本店所在地、
会社の目的、
資本金、
取締役や監査役の氏名、
そして代表取締役の
氏名・住所などの情報が
記載され、
公開されいてます。
社長である代表者の氏名や住所が
法人登記に記載される理由は、
企業の透明性と信用性を
高めるため、
と言われています。
特に、
取締役の中でも特に重要な役割を
果たす社長(代表取締役)
に関する情報は、
会社の責任者
が誰であるのかを明示し、
会社の合法性と信頼性を
保証するものになります。
さらに、
その会社の取引先や投資家が
その会社について詳細な情報を
得るための重要な手段
でもあります。
世の中には、
いい加減な会社もたくさん
あります。
放漫経営をやって
会社が倒産してしまう。
そんなときでも、
取引先としては、
会社の登記から代表者の
住所を探り、
代表者個人の責任を追
及する道を残しているのです。
とはいえ、
会社経営をしていると、
いろいろなリスクもあるものです。
中には、
会社の登記から代表者の
住所を調べられて、
ネットにさらされ、
殺人予告までされた
というケースもあり、
身の危険を感じなながら
生活している人もいます。
脅迫状を自宅に送られたとか、
嫌がらせで自宅に郵便物を
送りつけられた、
というケースも見聞きします。
今の時代は、
「個人情報」というものが
かなり尊重されるように
なってきています。
いくら会社の代表者の
立場であっても、
社長の個人の氏名や住所まで
公開されることは、
プライバシーの観点からも
懸念はあるでしょう。
さらに、
最近では、
フリーランスの人が法人化
する場合や、
スタートアップ起業家が
会社を設立する際に、
この代表者の住所公開が
ネックとなっているようです。
せっかく起業の意欲があっても、
法人化できなかったり、
代表取締役になれなかったりなど、
働き方も制限されるという問題も
起こっているようです。
実際、
諸外国でもこの点の扱いは
様々なようです。
イタリアやフランスでは
公開だそうですが、
アメリカの一部の州や
カナダでは公開は不要と
されているようです。
また、
ドイツでは、
たとえば「東京都渋谷区」のように、
ある程度のエリアまでわかる
ようにされていますが、
それ以上具体的な住所は
公開されていないようです。
ところで、
法律や法制度というものは、
対立する利益を調整するために
作られている、
という側面があります。
たとえば、
刑法という法律で、
他人の物を盗むと「窃盗罪」
という犯罪になり、
「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」
という刑罰が定められています。
刑法という法律は、
犯罪を犯した人を取り締まり、
刑罰を与えることで、
社会の秩序を守るという
役割があります。
他方で、
過去の歴史を見れば、
「刑罰」の名を借りた人権侵害が
行われてきたことから、
犯罪者や被告人とされる立場
の人の人権を保証することもまた、
刑法の役割なのです。
ですから、
いくら犯罪を犯したからといって、
人の物を盗んだだけで「即死刑」
というのはいくらなんでもやりすぎで、
被告人の人権侵害になってしまいます
(世界中を見れば、そうした法制度を
持っている国もありますが)。
すなわち、
犯罪を抑止して社会の秩序を
維持するという利益と、
犯罪者や被告人の人権を守る
という対立する利益を調整し、
バランスを図るのが刑法という
法律の目的なのです。
対立する利益を調整する、
ということになると、
その時代やその地域(国)の
人々の「価値観」といったものが、
自ずとそこに反映されることに
なってきます。
その意味で、
「法律」というのは絶対的
なものではなく、
もともと時代や地域(国)
によって違う相対的なもの、
ということができるでしょう。
法人登記に代表者の氏名や住所が
公表されているのは、
上記のように、
会社の透明性と信用性を高めて、
安心して取引や経済活動を
しやすくするという目的が
あります。
他方で、
近年では、
昔と違って「個人情報」の価値が
重視されるようになってきています。
さらに、
インターネットの発達によって、
登記に記載された個人情報が
簡単にネット上で拡散される
リスクが高まっています。
そうしたことを考えると、
何らかの「調整」が必要かも
知れません。
たとえば、
今のような誰でも見れる
完全公開ではなく、
利害関係者や法律家、
金融関係者など一定の
範囲にのみ公開する、
というやり方も1つの
方法でしょう。
取引相手の代表取締役の
住所がわからず、
債権が回収できない
といったような事案では、
弁護士に依頼して開示を
請求してもらう、
という制度も1つのやり方
かも知れません
(現に、個人の戸籍や住民票はこのような
原則非公開の扱いになっています)。
このように、
法律の世界では、
時代の進展や価値観の
移り変わりによって、
既存の制度を見直す必要が
出てくる場合もあるのです。
最新動画
今回は、うつ病になった社員に、「会社を休みたくありません」と言われた時に、会社としてどのように対処したら良いか、そんなテーマでお話しています。
活動ダイジェスト
住所 | 150-0031 東京都渋谷区桜丘町4番23号渋谷桜丘ビル8階 マップを見る |
---|---|
受付時間 | 【平日】9:30〜18:00 【土曜日】9:30〜12:00 |
Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。