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渋谷の弁護士吉田悌一郎

下請法を使って値上げ要請をしたら、取引を切られた? 〜どう対処したら良いか?

下請法

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下請法を根拠に、

元請け会社に

値上げを要請。

 

 

元請けは、

しぶしぶ値上げに

応じてくれたものの、

その後、

契約期限の満了で、

今後は契約を更新しないと

通告されました。

 

 

値上げ要請を理由に

取引を切られてしまった

下請け会社、

こんなとき、

どう対処したら

良いのでしょうか?

 

 

 

 

(今日の「棒人間」 不当に取引先を切ることは許されない?)

 

<毎日更新860日目>

下請法を根拠に取引先に値上げを要請

原材料のコストが上がってしまって、本当にどうにもなりません。
すみませんが、値上げをお願いできないでしょうか?

X社は、

下請け3社と取引を

しています。

 

 

その下請けの中の1社で

あるA社の社長は、

元請けであるX社に対して、

値上げをお願いしました。

 

 

しかし、

今のご時世、

そう易々と値上げに応じて

くれるはずもありません。

 

 

そこで、

私のブログの読者でもある

A社の社長は、

あの〜、下請法という法律があるそうで、原材料コストの上昇を考慮して値上げに応じていただけないのは、「買いたたき」と言って禁止されているそうなんですが・・・。

昨今では、公正取引委員会が、下請法違反企業の公表なんかをやっているそうですね。

と、

粘り強くX社と交渉します。

 

 

【買いたたき】適正な値上げをしないと、大変迷惑です!

 

 

 

 

「下請法」とか、

「公正取引委員会」とい

うキーワードを聞いて、

ドキッとしたX社。

 

 

しぶしぶ、

A社の要求を聞き入れ、

値上げに応じてくれました。

 

 

ちなみに、

他の下請けであるB社、

C社は、

X社に対して値上げの

要請を行わなかったので、

価格は従来のままでした。

 

 

値上げの要請が

承認されたA社、

喜んだのも束の間、

X社の反撃が始まります。

 

 

 

 

 

取引先からの突然の「取引停止」の通告

A社は、

元請けであるX社と

業務委託契約を結び、

これまで継続的に、

X社から業務の発注を受けて、

取引を行ってきました。

 

 

この業務委託契約は、

一応契約期間は1年間と

されているののの、

期間満了の3ヶ月前までに

更新拒絶の連絡がない場合は、

契約は自動的に更新される

ことになっています。

 

 

そして、

実際に、

A社はこれまで約10年間、

X社と取引を続けて

きていました。

 

 

ところが、

A社が上記の値上げ要請を

行った後、

次の契約期間の満了の

3ヶ月前に、

A社の社長は、

突然X社の担当者から、

オタクとの契約、次は更新しませんから。
今回で取引終了です。

と通告されてしまったのです。

 

 

ちなみに、

今回、

値上げを要請しなかった

他の下請けであるB社とC社は、

これまで通り契約を更新

されました。

 

 

X社に対して値上げを

要請したA社だけが、

今回契約を更新してもらえず、

取引を切られてしまったのです。

 

こういうことになっては、

せっかく下請法という法律で

「買いたたき」が

禁止されていても、

意味がありません。

 

 

元請けから、

取引の契約の更新を拒絶される、

という嫌がらせを受けるのでは、

誰も値上げを求めることが

できなくなってしまいます。

 

 

 

 

 

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どう対処すべきか?

A社としては、

こうしたX社の

仕打ちに対して、

どう対処したら

良いのでしょうか?

 

 

1つは、

そもそも、

こういったX社の一方的な

業務委託契約の更新の拒絶が

許されるのか?

という問題があります。

 

 

この点、

本来、

契約が期間満了で終了し、

その後契約を更新するか

しないかは、

当事者が自由に決められる、

というのが原則です。

 

 

しかし

継続的契約の場合には、

それまで長期間契約が

続いてきているので、

その後も契約関係が続く

ということについて、

当事者が信頼・期待している

という場合も少なくありません。

 

 

特に、

契約の更新が何回も

重ねられてきたような場合は、

尚更でしょう。

 

 

それにもかかわらず、

期間の満了によって、

一方的に契約の更新を

拒絶されると、

相手方が不測の損害を

被る場合があります。

 

 

そこで、

継続的契約の場合は、

こういった契約当事者の

契約継続に対する信頼や期待

の保護を図る必要があります。

 

 

この点、

裁判例では、

契約の更新を拒絶することが

信義則に反する場合には、

更新拒絶ができない等として、

更新拒絶に制限を加えられる

場合があります。

 

 

具体的には、

契約書の文言、契約締結の経緯、契約の内容、目的、予定された契約期間、契約当事者の関係(対等な関係かどうか)、契約期間中に生じた事情、契約終了によって受ける当事者の利害等

の事情を考慮して、

更新拒絶が許されないか

どうかを判断するもの

とされています。

 

 

この点、

上記のA社の事例では、

契約当事者間は元請けのX社と、

複数ある下請けのうちの

1社にすぎないA社とでは、

対等な関係とは

言えないでしょう。

 

 

これまで10年間、

取引が続いてきていますので、

当然A社としては、

今後も契約が更新されると

期待することになります。

 

 

しかも、

3社いる下請けのうち、

下請法に基づく正当な

値上げの要請をしたA社だけを

狙い撃ちにした更新拒絶が

なされているといえ、

一種の差別的な取り扱いとも

言えるでしょう。

 

 

さらに、

優越的な立場にあるX社の

今回の一方的な契約更新の拒絶は、

場合によっては独占禁止法で

規制された優越的地位の濫用

に当たるとも考えられます。

 

 

したがって、

こうしたX社による一方的な

契約更新拒絶は、

法律上許されないと判断される

可能性は十分にあると考えます。

 

 

ですから、

A社としては、

X社から契約を更新しない

と言われても、

諦めずに粘り強く交渉

することが大切です。

 

 

それにしても、

実際のビジネスの現場

における値上げ交渉は、

そう簡単ではないと思います。

 

 

ただ、

こうした法律的なロジックを

きちんと理解しておくことは、

実際の取引先との交渉に際して、

一定の説得力を持ちますので、

大切だと思います。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、勉強は「習慣」? 勉強が得意になるのは簡単だ!というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、午前中はキャンプ場で撤収作業、お昼は近くでランチをして車で帰りました。
帰りの道もすいていて快適でした。
午後は自宅で仕事でした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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