銀行で振り込みなどを
行うときにかかる
「振込手数料」
小さな話ですが、
この「振込手数料」を
どちらが負担するか、
でモメることがあります。
法律上、
この「振込手数料」は誰が
負担すべきなのでしょうか?
(今日の「棒人間」 「振込手数料」は腹立たしい??)
<毎日更新891日目>
あの憎たらしい相手に支払いたくないけど、今回は支払わなければならないみたいだし・・・。
くぅ〜、振込手数料もかかるのかい?
だったら、振込手数料分をさっ引いて送金してやれ!
取引相手とモメてしまうと、
ビタ一文でも余計に
払いたくなくなるものです。
今の時代は、
大きな金額の支払いは、
大抵銀行振込みが
使われるかと思います。
銀行振込をすると、
当たり前ですが、
「振込手数料」が発生します。
まあ、
ほんの数百円ですが、
他行宛に大きな金額になると、
500円とか700円とか
かかってきます。
それでもさしたる
金額ではないですが、
ことモメている相手となると、
話が違ってきます。
感情的に、
ビタ一文多く払いたくない
と思っているところに、
この数百円の「振込手数料」が
結構シャクに触るのです。
もしも、
この「振込手数料」について、
本来支払うべき金額から
差し引いて相手に送金した場合、
法律的にはどうなるのでしょうか?
この点、
「振込手数料」というのは、
基本的に当事者の合意
によってどちらが負担するか
を決めることができます。
通常は、
契約書に定めがあって、
次のようになっていることが
多いでしょう。
甲は、乙に対し、金●円を、2023年10月末日限り、乙の指定する金融機関の口座に振込送金する方法によって支払う。ただし、振込手数料は甲の負担とする。
問題は、
契約書で明確に、
「振込手数料」をどちらが
負担するかを決めて
おかなかった場合です。
あ、
そもそも「契約書」を
作っていなかった場合も、
同じ問題が発生しますね。
このような場合には、
民法がルールを定めています。
すなわち、
民法485条で、
弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。
と規定されています。
「振込手数料」は、
まさにこの「弁済の費用」
にあたります。
「債務者の負担」というのは、
要するに、
お金を支払う方、
振込送金する方が負担する、
ということです。
そして、
「別段の意思表示」というのは、
要するに上記のように
当事者間であらかじめ契約書で
どちらが負担するかを
決めたような場合、
を意味します。
ですから、
当事者が特に契約で
どちらが負担するかを
決めなかったときは、
「振込手数料」は
振込をする方が支払う、
ということを定めているのが、
上記の民法の条文、
というわけです。
「振込手数料」なんて、
細かい話と思うかも
知れません。
しかし、
人間というのは、
モメるときは、
こんな小さな金額でも
モメるものなんです。
この点、
あらかじめ契約書などで、
「振込手数料」は、
お金を受け取る方が負担する
という定めがあった場合を除いて、
冒頭の例のように、
勝手に「振込手数料」を
差し引いて送金するのは
危険です。
あくまで送金する方が
「振込手数料」を負担する
ことになっている場合には、
その分を差し引いて送金すると、
本来支払うべき金額に足りない、
という事態が発生します。
これだと、
契約で定められた代金等を
支払ったことにはならず、
契約違反となってしまいます。
このように、
モメないためには、
やはりあらかじめきちんと
契約書を作り、
その中に、
当事者のどちらが
「振込手数料」を負担するのか、
きちんと定めておくべきですね。
ちっちゃなお金でも、
モメるときはモメる、
これを覚えておきましょう。
それでは、
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。