「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【超法規的措置って何?】特別に建設業の残業規制を除外する??

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人手不足で、

大阪万博のパビリオン建設が

間に合わない。

 

 

そこで、

「超法規的措置」で、

法律の時間外労働(残業)

上限規制の対象外とする、

という動きがあるようです。

 

 

いったい、

この「超法規的措置」とは

何でしょうか?

 

 

 

(今日の「棒人間」 都合の悪い法律は適用除外??)

 

<毎日更新日目>

非常事態だから、「超法規的措置」ですって??

「超法規的措置」って、どういうこと?
法律を守らなくても良い、ってことなの??

会話

まあ、平たく言えばそういうことになりますね。

それって、ずるくないですか!!

会話

ずるいですよね〜。

 

2025年開催予定の大阪万博ですが、

パビリオン建設の深刻な遅れが

問題となっています。

 

 

そんな中、

自民党の大阪・

関西万博推進本部が開かれ、

なんと、

万博パビリオンの建設を、

労働法の時間外労働の

上限規制の対象外とするように

求める意見が上がったそうです。

 

 

背後にあるのは、

現行の法律上の時間外労働の

上限規制を適用してしまうと、

結局人手が足らず、

パビリオン建設が進まない、

ということがあります。

 

 

出席した自民党議員の中からは、

 人繰りが非常に難しくなる。
超法規的な取り扱いができないのか?

 災害だと思えばいい。

などという意見が

飛び出したそうです。

 

 

要するに、

非常事態なんだから、

パビリオン建設には、

法律の規制なんか例外的に

適用除外にしてしまえ、

という意見で、

なんとも乱暴ですね。

 

 

そもそも、

「超法規的措置」というのは、

国家が法律に規定された範囲を

超えて行う特別な行為のことを

意味します。

 

 

法治国家であることの1つの意味は、

国家権力であっても、

定められた「法律」に縛られる

ことを意味しますので、

この「超法規的措置」を乱発すれば、

そもそも法治国家の前提が

崩れてしまいます。

 

 

いわば、

政治的な圧力で、

簡単に「法律」などというものは

いくらでもねじ曲げられて

しまいます。

 

 

そうならないために、

「法律」を尊重するという姿勢が、

まさに法治国家なわけです。

 

 

 

 

 

 

建設業2024年問題に直面して

そもそも、

働き方改革だのなんだのと言って、

これまで時間外労働(残業)

規制を強めてきたのが

国の政策だったわけです。

 

 

大企業ならいざ知らず、

中小零細企業にとっては、

そうした規制はそれなりに重く、

そのために経営が圧迫されたり、

人手不足に陥ったりしながら、

なんとか耐えてきている

わけです。

 

 

そんな中、

当の国の側が、

 やべぇ、納期に間に合わないから、法律の規制なんか外しちゃえ!

とやったらどうでしょう?

 

 

まじめにやっている

中小零細の事業者は

たまったものでは

ありませんね。

 

 

そもそも、

この問題の背景には、

建設業の2024年問題、

と言われるものがあります。

 

 

これは、

いわゆる働い方改革関連法において、

社員の時間外労働(残業)

「上限規制」というものが

設けられています。

 

 

すなわち、

残業は原則として月45時間、

年間360時間までとされています。

 

 

ただし、

労使が特別に合意した場合には、

例外的にこれを超えて

残業させることができます。

 

 

しかし、

その場合でも、

以下の規制がかかります。

・年間720時間以内(休日労働は含まない)

・複数月平均で80時間以内(休日労働含む)

・月100時間未満(休日労働含む)

・月45時間を超えて良いのは年6回まで

 

ただ、

この残業の上限規制は、

建設業に関しては、

2024年3月31日までは、

適用が猶予されています。

 

 

すなわち、

現在のところは、

建設業については、

上記の上限規制の適用を

受けずに済んでいる

わけです。

 

 

ところが、

建設業でも、

いよいよ来年の

2024年4月1日より、

この上限規制が適用

されます。

 

 

そこで、

建設業においても、

社員の労働時間の見直しを

余儀なくされる、

それがいわゆる建設業の

「2024年問題」と

言われるものです。

 

 

 

 

 

「超法規的措置」に期待しないで準備を!

この2024年問題、

甘く見ていると、

やはり大きな法的リスクが

あると言わざるを得ません。

 

 

1つは、

上限規制の適用によって、

「働ける時間」の総量が

減りますので、

今のままでは当然会社の

売上や利益の減少、

そして、

社員の収入の減少といった

問題が考えられます。

 

 

それに伴い、

社員から残業代請求を

受けるリスクが、

これまで以上に高まると

考えられます。

 

 

人手不足の業界であって、

さらに社員の収入が

減ったとなれば、

会社から人が離れていく

リスクがあります。

 

 

それに加えて、

社員が会社を辞める際に、

それまでの残業代請求を

会社に対して行う、

というパターンが今まで以上に

増える可能性があります。

 

 

さらに、

上限規制が適用された後も、

この規制に違反して違法な

残業を行ったような場合、

労働基準法違反で

摘発されたり、

労働災害事故が

起こったりするリスクも

あります。

 

 

そのような「事件」に

発展してしまうと、

さらに会社の信用リスクも

高まります。

 

 

すなわち、

「ブラック企業」の

レッテルを貼られて、

ますます人材の採用が

困難になる、

という悪循環が考えられます。

 

 

そんなわけで、

建設業の2024年問題、

いよいよ待ったなしの状況、

と言えるでしょう。

 

 

万が一、

上記の「超法規的措置」が

あったとしても、

それはパビリオン建設だけの問題で、

一般の中小零細企業がその恩恵を

受けるとは考えられません。

 

 

そこで、

やはりこの2024年問題から

目を背けず、

今から対策を考えておく

ことが必要です。

 

 

具体的な対策としては、

・社員の労働時間をきちんと把握すること
・雇用契約書や就業規則などの重要な法的書類の整備
・長時間労働に依存しないビジネスモデルの構築

などが考えられます。

 

 

詳しくは、

下記の記事を参考に

してみてください。

来るべき「建設業の2024年問題」への対策

 

 

いずれにしても、

社員から未払い残業代を請求する

裁判などを起こされる事態を

防ぐためには、

今から2024年問題の対策に

きちんと着手しておくべき

だと思います。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

 

 

 

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今回は、建設業2024年問題、朝7時会社集合、現場で8時から17時まで8時間勤務という求人広告の謎、というテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、午前中は自宅で。
Voicy、ランニング、ブログ、LINE公式など。
午後は、相模原の裁判所で、相続関係の仕事。
終わったまた自宅に戻って仕事でした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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