「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【社長が会社のお金を私的流用】ストレス解消の必要経費だって??

会社法関係

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社長などの取締役には、

会社に損害を与えてはならない、

という義務があります。

 

 

ところが、

中小零細企業の現実では、

「会社の財布=社長財布」

となりがち。

 

 

社長が会社を「私物化」

することのリスクについて、

考えてみました。

 

 

 

 

(今日の「棒人間」 社長のストレス解消で会社のお金を使ってはダメ??)

 

<毎日更新919日目>

タムロン、歴代2社長で1億円超流用?

そんなものは、社長業のストレスを解消するための必要経費!
会社のカネを出してなにが悪いんだ??むかっ (怒り)

カメラ用レンズ大手のタムロンで、

歴代2社長が会社の

お金を1億円以上流用した、

という報道がありました。

 

 

同社の前社長と元社長が、

単独や女性を伴った飲食で、

計1億6000万円を超える

会社の経費を私的に流用

していたことが判明

したそうです。

 

 

米国や欧州への

出張にも女性を伴い、

現地での飲食代などを

会社に負担させたとのこと。

 

 

ところが、

驚いたことに、

この当の社長さんたち、

こうしたお金は

 社長業のストレスを解消する必要経費

だと正当化しているそうです。

 

 

 

同社の調査委員会では、

 ストレス発散は個々人の費用でまかなうもので、開いた口がふさがらないむかっ (怒り)

と批判しているようです。

 

 

 

社長というのは、

会社の「取締役」

としての立場にあります。

 

 

取締役は、

会社との間で委任契約を結んでおり、

この委任契約上の義務として、

 

善良な管理者の注意をもって

 

職務を行わなければ

ならないという

義務を負っています。

 

 

さらに、

会社法という法律でも、

取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のために忠実にその職務を行わなければならない

と規定されています。

 

 

社長が会社の経費を

私的に流用することは、

取締役としてのこれらの

義務に違反して、

会社に損害を与える

行為に他なりません。

 

 

そこで、

その場合には、

取締役は、

会社に対して損害を

賠償しなければならない、

ということになります。

 

 

これは、

株式会社の所有者は

あくまで「株主」であり、

「取締役」はいわばその

「株主」から会社の経営を

任されている立場である

ことに基づくものです。

 

 

取締役が、

会社を私物化してしまうことは、

いわば会社の所有者である

株主の利益を害する行為

になるわけです。

 

 

社長のストレス解消のための「経費」とは??

そうだとしても、

上記の会社のお金を使ったのが

社長業のストレスを解消する必要経費

という元社長らの主張は

どうなのでしょうか?

 

 

 

そもそも、

「経費」というのは、

事業において収益を得る目的で

使用した費用のことを言います。

 

 

打ち合わせに使った飲食代や、

取材のための交通費など、

いろいろありますが、

法人税や所得税は収益から

経費を差し引いた課税所得

について計算されます。

 

 

ですから、

経費にできる費用が多いほど、

課税対象となる所得が減り、

「節税」になる

というわけです。

 

 

しかし、

この「経費」は、

何でもかんでも認められる

ものではありません。

 

 

事業に関係なく、

プライベートで使った費用は、

もちろん「経費」には

できません。

 

 

いくら、

社長業のストレス解消のため、

とはいえ、

個人的な飲食代や、

女性を伴った飲食代などが、

「経費」として認められないことは、

ある意味常識から言って

当然でしょう。

 

 

もし会社に税務調査が入れば、

そのような経費は否認されて、

延滞税などの支払いを

余儀なくされます。

 

 

また、

そのようなプライベートな支出は、

社長の給料だということになり、

そうなると、

その分は社長個人の所得税が

課税されることになります。

 

 

 

 

 

社長が会社を「私物化」するリスク

冒頭の事例は、上場企業の社長の事例です。

 

 

この点、多くの中小零細企業の場合は、

社長自身が「取締役」

であるとともに、

「株主」(オーナー)の地位を

兼ねていることが

ほとんどです。

 

 

そのような会社であれば、

別に「私物化」とかうるさいことを

言わなくても良いではないか?

 

 

そのように思われるかも

知れません。

 

 

しかし、

中小零細企業においても、

社長による会社の「私物化」や

「公私混同」は大きな

リスクがあります。

 

 

中小零細企業の社長が、

公私混同してしまう典型的な

パターンとしては、

たとえば

① 社長のプライベートの飲食費などを会社の経費に計上する

 

②  会社の売上の一部をそのまま社長個人のポケットに入れてしまう

というものがあります。

 

 

①は、

上記で見たとおり、

税務上NGな行為です。

 

 

そして、

②についても、

厳密には、

社長が会社のお金を使った場合は、

会計上は、

会社から社長への「貸付金」

として処理しなければ

なりません。

 

 

決算書上で、

会社から社長に対する貸付金が多い

会社というのは、

金融機関から良くは見られません。

 

 

 

経理がまともにできない会社

 

だと思われて、

融資を断られるケースも

あり得ます。

 

 

さらに、

中小零細企業の例で言えば、

社長が会社のお金を「公私混同」

している会社というのは、

たいてい業績が悪化していきます。

 

 

売上を抜いたり、

プライベート費用を経費計上する行為は、

結果的に会社の利益を減らし、

会社の業績を悪くする行為だからです。

 

 

そして、

社長が会社のお金を「公私混同」

している姿は、

実は社員から丸見えだったり

することも多い。

 

 

このような社長のもとで働く社員の

モチベーションも下がりますし、

社員の心が離れて離職率が高くなって

しまうかも知れません。

 

 

そんなわけで、

社長の「公私混同」や「会社の私物化」は、

金融機関からの評価が下がるリスク、

課税上のリスク、

そして社員の離職につながるリスクが

あります。

 

 

いくら、

中小零細企業で、

社長=オーナー(株主)

であったとしても、

やはり「公私混同」や「私物化」は

さまざまなリスクがあります。

 

 

ここは、

会社のオーナーという

株主としての立場と、

会社の経営責任者である

社長(取締役)としての

立場の違いを、

きちんとわきまえて

行動することが

大切ですね。

 

 

しかし、

冒頭の社長たち、

会社のお金を1億6000万円も

流用していたとは、

すごいですね。

 

 

さすが上場企業、

スケールが大きいと

言いますか。。。

 

 

私も、

「弁護士業のストレス解消

のための経費」とか、

認められないもんでしょうか?

 

 

私のストレス解消の1つと言えば、

ひとり飲み(手酌)

 

こういうの、

「経費」にならんかな〜、

って、

ダメですね(笑)

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

 

 

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最新動画 

今回は、会社のパソコンを社員が私的利用することを制限できるか?というテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、早朝から渋谷区倫理法人会の経営者モーニングセミナーへ参加。
その後仕事で新宿へ。
お昼は「なんでんかんでん」でラーメンを。環七時代によく行ったので懐かしかったです。

 

 

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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