「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

今年は予想外の利益が出たので、役員報酬を増やしたい??

税金関係

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会社の役員報酬は、

会社の経費とされて、

いわゆる「損金算入」されれば、

利益から差し引くことができて、

一定の節税効果があります。

 

 

しかし、

この「損金算入」には

一定の要件があり、

役員報酬の「損金算入」が

認められないことも

ありますので、

注意が必要です。

 

 

 

 

(今日の「棒人間」 利益が出たので役員報酬をたくさんもらいたい??)

 

<毎日更新952日目>

今年は予想外の利益が出たので、役員報酬を増やしたい??

ビジネスをしていると、

実にいろいろなことが

あるものです。

 

 

当初その会社の会計年度始めには

予想しなかった事態が発生し、

予想外に大きな利益が

出ることもあるでしょう。

 

 

そんなとき、

多くの社長は、

「節税」の二文字が頭に

浮かぶかも知れません。

 

 

そして、

そんな場合は、

節税対策のために、

役員報酬を会計年度の途中で

増額するということを

考えるかも知れません。

 

 

この点、

役員報酬というのは、

一定の要件を満たせば、

会社の経費とされて、

いわゆる「損金算入」が

可能になります。

 

 

「損金算入」されると、

その分の会社の課税所得から

差し引くことができるので、

節税対策になる、

というわけです。

 

 

ところが、

役員報酬の「損金算入」が

認められるためには、

原則として、

その報酬の支払い方法が

「定期同額給与」である

必要があります。

 

 

「定期同額給与」というのは、

読んで字のごとくですが、

「毎月決まった日に

同じ金額を支払うこと」

を意味します。

 

 

そして、

会社法上、

役員報酬は会社の定款で定めるか、

株主総会の決議で決める

必要があるとされています。

 

 

定款で役員報酬を定めるのは、

厳しい要件があって

面倒ですので、

実際にはあまり

利用されていません。

 

 

ですから、

基本的には役員報酬の決定は、

株主総会の決議を

経なければなりません。

 

 

ただし、

ここの役員の具体的な

金額まですべて株主総会で

定めなければならない、

とするのは、

会社経営の機動性を

害する場合があります。

 

 

そこで、

株主総会では役員報酬の

総額を定めておけば、

具体的な金額の決定は、

取締役会などで

決めることができる、

とされています。

 

 

とは言え、

その支払方法は、

上記の「定期同額給与」

の形にしなければ、

税法上、役員報酬を「損金算入」

することができなくなります。

 

 

したがって、

冒頭の例のように、

予想外に会社の

利益が出たために、

会計年度の途中で

役員報酬を増額する、

ということは、

基本的にはできない

ことになります。

 

 

 

働かない親族を役員にしたらどうか?

この役員報酬の「損金算入」、

というテーマに関連して、

よく社長の母親などの親族を、

会社の役員に就任させて、

役員報酬を支払う

というケースがあります。

 

 

この場合に、

注意しなければならないのは、

その役員に就任した親族が、

まったく会社の業務を

行っていないにもかかわらず、

役員報酬を支給しているケース。

 

 

あるいは、

その業務内容からして、

不当に高額な役員報酬を

支払っているケースです。

 

 

この点、

こうした役員報酬が「過大」

であると判断された場合には、

「損金算入」が認められない

とされています。

 

 

この、

役員報酬が「過大」かどうかは、

その役員の仕事の内容、

会社の収益、

従業員の給与、

同業他社の役員報酬の金額

などを総合的に見て、

判断するものと

されています。

 

 

ただ、

法的に明確な基準は

ありません。

 

 

いずれにしても、

勤務実態からして「過大」な

役員報酬を支払っていた場合には、

「損金算入」が認められず、

節税対策にならないので、

注意が必要です。

 

 

 

 

役員報酬の妥当性は、実は難しい問題?

これに関して、

役員報酬が不相当に

高額であるとして、

「損金算入」を認めなかった

国税局の処分が裁判で

争われた事件があります。

 

 

これは、

京都市にある京醍醐味噌

という会社で、

月額2億5000万円の

役員報酬が支払われていました。

 

 

これについて、

国税局は、

これを不相当に高額な

役員報酬であるとして、

高額な部分の金額の損金算入を

認めない課税処分をしました。

 

 

そこで、

この課税処分の取り消しを

求めて裁判が起こされました。

 

 

しかし、

裁判所は、

国税当局の処分は妥当

であると判断し、

原告側の請求を退けました。

 

 

ここでは、

同業他社の役員報酬と比較した

国税局の判断の妥当性が

問題となりました。

 

 

産業界は概ねこの判決に

対して批判的であり、

役員報酬の上限額を国に

決められる筋合いではない、

といった批判が

なされています。

 

 

確かに、

役員報酬が妥当かどうか、

「過大」か否かの判断は

難しい問題で、

単に同業他社と比較して

高いからといって、

必ずしも不相当に高額とは

言えないケースもあるでしょう。

 

 

ただ、

無制限に役員報酬の

「損金算入」を認めれば、

上記のように架空の

役員報酬を支払うなど、

適正な課税の観点から

問題が生じます。

 

 

問題は、

役員報酬が「過大」か

否かの判断基準が

今ひとつ明確ではなく、

実質的に国税当局の裁量が

認められているに等しい

ことではないでしょうか?

 

 

いったいどのくらい

課税されるのか、

どのくらいの役員報酬額で

「損金算入」が否定されるのか。

 

 

こうした基準が

あらかじめある程度

明確になっていないと、

経済活動を萎縮させる

ことにもつながって

しまいます。

 

 

「損金算入」が否定される

「過大」な役員報酬の

基準の明確化、

これが必要でしょうね。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

 

 

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今回は、いざというときのために、契約書に「損害賠償額の予定」を入れておく方法、というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

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昨日は、午後は静岡に出張。
夜は、四谷で同業者などと食事会でした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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