景気を良くするためには、
物価高に連動した
「賃上げ」が
欠かせません。
そして、
中小企業が「賃上げ」を
行うためには、
取引価格の転嫁、
つまり「値上げ」が
避けて通れないのです。
(今日の「棒人間」 値上げの要求は大事??)
<毎日更新1001日目>
総務省が公表した、
2023年11月の家計調査によると、
2人以上の世帯の消費支出は、
物価変動の影響を除いた
実質で前年同月比2.9%減で、
9ヶ月連続のマイナス
となったそうです。
野菜の高騰や物価高による
収入の目減りが原因とのことで、
実質ベースの消費は
弱い動きが続いて
いるようです。
要するに、
物価が高くなって家計の
可処分所得が減っている
にもかかわらず、
賃金の上昇がそれに
追いついていないことを
示しています。
つまり、
景気を好転させるためには、
今や企業の「賃上げ」は
欠かせないということです。
実際、
大企業では賃上げが
なされていますが、
問題なのは雇用の
約7割を支える
といわれている
中小企業の「賃上げ」です。
物価上昇に賃上げが追いつき、
景気を良くするためには、
なんといってもこの
中小企業の「賃上げ」が
必要になります。
また、
慢性的に続いている
人手不足を考えても、
やはり中小企業の
「賃上げ」は待ったなし、
と言えるでしょう。
ところが、
大企業ほど収益改善が
進んでいない中小企業は、
今「賃上げ」に踏み切るのに
慎重な会社も
少なくないようです。
その原因の1つが、
労務費を価格に転嫁できない、
という問題があります。
すなわち、
賃上げをするには
当然コストが
かかりますので、
そのコストを捻出
するためにも、
取引先に対する
「値上げ」が欠かせません。
ところが、
日本商工会議所の調査によれば、
労務費を価格に転嫁
できていない企業が26.7%、
転嫁できたとしても、
増加分の1〜3割程度の転嫁に
とどまる企業も32.7%に
のぼるそうです。
「発注する側」は大企業や
大手メーカーであったりして、
力の強い企業が多いですが、
「受注する側」は中小企業や
下請け企業が多く、
もともと価格交渉力が弱い、
という場合が少なく
ありません。
発注側では、
こうした力関係を背景にして、
受注側からの値上げ要求を
拒否しがちになります。
実際に、
原材料価格などの上昇分の
価格転嫁は認められたものの、
労務費などについては
交渉のテーブルについて
もらえなかったという
ケースがよく聞かれます。
労務費の上昇は、
原材料価格の上昇などの
ような外部要因ではない
とされて、
取引価格の値上げの
理由として認めてもらえない
ことが多いようです。
そこで、
昨年11月に、
公正取引委員会が、
というものを
公表しました。
そこでは、
原材料価格やエネルギーコストのみならず、賃上げ原資の確保を含めて、適切な価格転嫁による適正な価格設定を・・・定着させ、物価に負けない賃上げを行うことは、デフレ脱却、経済の好循環の実現のために必要である。
その際、労務費の適切な転嫁を通じた取引適正化が不可欠である。
とされています。
そして、
発注者としての
行動指針の1つとして、
受注者から労務費の上昇を理由に取引価格の引上げを求められた場合には、協議のテーブルにつくこと。労務費の転嫁を求められたことを理由として、取引を停止するなど不利益な取扱いをしないこと。
と記載されています。
すなわち、
受注者側からの値上げ
要請を受けた際に、
発注者側がまともに
協議のテーブルにつかないで、
漫然と取引価格を
据え置くことは、
独占禁止法の
優越的地位の濫用または、
下請法で禁止された
買いたたきとして
問題となるおそれがある、
とはっきり書かれています。
独占禁止法上の
優越的地位の濫用については、
下記のブログに書いて
いますので、
参考にしてください。
楽天の「送料込み」は違法?? 独占禁止法の優越的地位の濫用に対する対抗手段
他方で、
受注者側の行動指針としては、
労務費上昇分の価格転嫁の交渉の仕方について、国・地方公共団体の相談窓口、中小企業の支援機関(全国の商工会議所・商工会等)の相談窓口などに相談するなどして積極的に情報を収集して交渉に臨むこと。
とされています。
国や地方公共団体など行政が、
この問題で多くの相談窓口を
設けています。
たとえば、
地方経済産業局、
産業振興センター、
価格転嫁サポート窓口、
下請かけこみ寺、
商工会議所、
公正取引委員会、
中小企業庁などで、
各自相談窓口を
設けています。
詳しい連絡先などは、
上記の公取が出した
指針をご覧ください。
こうした行政の相談機関を
積極的に利用することも、
1つの方法と言えるでしょう。
いずれにしても、
これからの中小企業は、
「賃上げ」そして、
その原資を確保するための
「値上げ」は欠かせない
でしょう。
日本経済のためにも、
そして適切な人材確保のためにも、
これらに積極的に取り組む
必要がありますね。
それでは、
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。