「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【契約不適合責任の免除】買った土地に大量のガラクタが埋まっていた?

不動産売買

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事業者同士の取引で、

購入した土地に大量の

コンクリートのガラが

埋まっていた。

 

 

こんなとき、

売主に対してどんな

責任を追及できる

のでしょうか?

 

 

契約書で、

売主の契約不適合責任が

免除されている場合は

どうでしょうか?

(今日の「棒人間」 ガラクタが埋まった土地に呆然と立ち尽くす??)

 

<毎日更新1023日目>

購入した土地に、大量のコンクリートのガラクタが埋まっていた

不動産業を営む

A社長からご相談を

受けました。

 

 

A社長の会社では、

土地の販売業者から

土地を購入して、

その土地に住宅を

建てて販売することを

目的としています。

ちょっと聞いてくれませんか?
本当にひどい話なんですむかっ (怒り)

会話

A社長、今日はいったいどうされましたか?

先日、うちが別の不動産業者からある土地を購入したんですが、この土地がひどいもので、地中からコンクリートのガラが大量に出てきたのです。

会話

それは大変ですね。

うちとしては、この土地の上に建物を建てて販売する計画ですが、このコンクリートのガラを撤去しなければ、建物を建てることもできません。

会話

それは、そうでしょうね。

それで、このコンクリートのガラを撤去するだけで、かなり莫大な費用がかかってしまったのです。

会話

それは、通常であれば、土地の売買契約の契約不適合責任ということで、売主に対して損害賠償請求も可能だと思われますね。

ところが、今回の土地の売買契約書をよく見てみると、その売主の契約不適合責任を免除すると書かれていたのですよ。

会話

契約不適合責任の免責条項ってやつですね。
社長、それ契約するときに気づかなかったのですか?

いや、それが、契約するときはつい浮かれていて、相手方が出してきた契約書をあまりしっかりチェックせずにサインしてしまったのですよ〜。

会話

それは良くありませんな〜。
その時点でひと言ご相談いただいていればよかったのに。

ですよね〜、反省してます。
それにしても、このケース、なんとかならないものですかね?

会話

そうですね、もし売主に故意や重過失があった場合には、契約書の免責条項は無効で、その場合には売主は原則どおり契約不適合責任を負う、とした裁判例がありますね。

それは、具体的にはどういうことでしょう?

会話

要するに、売主がその土地にコンクリートのガラが大量に埋まっていることを知っていたか、少し調べればわかったというような場合には、売主に故意・重過失があるということで、売主に対して契約不適合責任を追及できる、ということです。

 

契約不適合責任を免責する契約について

土地の買主が、

購入した土地に建物を

建てる目的で契約した

という場合、

 

 

売主としては、

建物を建てるのに

支障のない土地を

引き渡す義務を

負うことになります。

 

 

にもかかわらず、

売主が建物を建てるのに

支障のある土地を

買主に引き渡した場合、

 

 

売主は、

買主がそこに建物を

建てるという売買契約の

目的に適合しない土地を

引き渡したことになります。

 

 

この場合、

売主は一種の契約違反

をしたことになり、

買主に対して民法上の

「契約不適合責任」を

負うことになります。

 

 

具体的には、

買主は売主に対して、

不適合の度合いに応じて

代金の減額請求、

損害賠償請求、

あるいは契約の解除

ができます。

 

 

ただし、

時おり当事者間の契約で、

この売主の契約不適合責任を

免除する定めをする

ことがあります。

 

 

事業者同士の不動産取引で、

こうした売主の

「契約不適合責任」を

免除する定めをすることは、

原則として有効であると

されています。

 

 

したがって、

上記のA社長の会社も、

原則として土地の

売主に対して、

契約不適合責任の

追及はできないことに

なります。

 

 

しかし、

その場合でも、

売主が契約不適合の

原因となる事実

(上記の例で言えば、

地中にコンクリートのガラが

大量に埋まっている事実)

を知っていたか、

 

 

あるいは少し調査をすれば

簡単に判明したような場合、

すなわち売主に重過失が

あるような場合にまで、

売主の免責を認める

のは不公平です。

 

 

なぜなら、

そもそも契約不適合責任

の免責条項は、

売主にとって予期しない

事情が発覚して、

後で買主から責任追及される

というリスクを予防する

ためのものだからです。

 

 

よって、

そもそもその事実を

知っていたとか、

重過失によって

知らなかった売主まで

保護する必要はないと

考えられます。

 

 

そこで、

売主がそのことを

知っていたか、

重過失によって

知らなかった場合には、

契約不適合責任の

免責条項を無効と判断した

裁判例があります。

 

 

 

 

 

 

契約の「目的」をきちんと明示しておく必要性

さて、

重要なのは、

ここでも契約書を

きちんと定めておくこと、

 

 

しかも、

契約の目的も

しっかりと明示

しておくことです。

 

 

というのは、

仮に購入した土地の

地中から大量のコンクリートの

ガラが出てきたからといって、

必ず売主の契約不適合責任を

追及できるとは

限らないのです。

 

 

もし、

買主が購入した土地に

建物を建てて販売する、

という契約の目的が

はっきりしていなければ、

 

 

そもそもコンクリートが

埋まっている土地

だからといって、

契約に不適合な土地

だとは限らないからです。

 

 

実際に、

資材置き場などにする

目的で購入する

場合などには、

地中に何が埋まって

いるかはあまり重要な

問題にならないことが

あります。

 

 

ですから、

冒頭の例のようなケースで、

万が一のときに買主が

売主の契約不適合責任を

追及できるためには、

 

 

やはり契約の目的

というものを契約書に

きちんと明示しておく

ことです。

 

 

契約書に、

買主が購入した土地に

建物を建てて販売するという

目的がしっかりと

明示されていれば、

 

 

もし地中にコンクリートの

ガラが大量に

埋まった土地では、

その契約目的に適合

しないことが明らかに

わかります。

 

 

売主としても、

そのような土地を買主に

提供しないようにする

注意が求められますし、

上記の「重過失」の認定も

しやすくなります。

 

 

そんなわけで、

冒頭の事例から、

やはり契約書を整備

しておくことの重要性が

わかります。

 

 

A社長の立場に立ってみると、

まず事前に売主の

契約不適合責任の免責条項を

見逃していたのが大問題です。

 

 

また、

そもそも契約書に契約目的が

きちんと明示されて

いるかどうかも、

後々重要になってきます。

 

 

したがって、

やはり土地の売買契約

のような重要な契約書は、

事前に弁護士による

リーガルチェックを

受けた方がよいでしょう。

 

 

実際の取引社会には、

「落とし穴」がいろいろと

あるものです。

 

 

気をつけたいですね。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

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活動ダイジェスト

昨日は、朝から事務所に出勤、午前中は事務所の所内会議、午後は顧問先とオンラインで打ち合わせなどでした。
夜は夕飯を担当、麻婆茄子を作りましたが、まあまあうまくできました。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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