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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【法定更新】あれ、更新料の請求をし忘れていた???

不動産賃貸

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オフィスなどの賃貸借契約の場合、

契約期間が満了して、

契約を更新する際には、

更新料を支払うことが

決められている場合が

あります。

 

 

ところが、

貸主や不動産管理会社が、

契約期間が満了しても、

更新の手続きをせずに

放置していることがあります。

 

 

そんなとき、

賃貸借契約をめぐる法律関係は

どうなっているのでしょうか?

 

 

 

 

 

(今日の「棒人間」 今さら更新料の請求をされても、払えません??)

 

<毎日更新874日目>

「更新料の請求」が忘れた頃にやってきた?

先日、

顧問先の建設会社を

営むA社長から、

久しぶりにご連絡が

ありました。

 

 

A社長の会社が借りている

オフィスビルのオーナーとの

関係についてのご相談でした。

 

うちの会社のオフィスの賃貸借契約は、期間が2年間で、これまで3回ほど更新されてきました。

会話

期間が2年の賃貸借契約で、3回更新されてきた、ということですね。
その都度、更新の契約書は作られてきたのですか?

はい、更新の都度、更新契約書は調印していました。
ところが、昨年の8月が契約期間の満了時期だったのですが、オーナー側から何も話がなかったので、特に更新の手続きもなされず、そのままの状態になっていたのです。

会話

なるほど。
ということは、今回は更新契約書も作られていない、ということですね。

そうなんです。
ところが、最近突然オーナーから連絡があって、おたくは昨年8月の更新の時期に更新料を支払っていないから、直ちに支払ってほしい、そうでなければ、今回の更新は認めないから、すぐに出ていってほしい、と言うのです。

会話

なるほど。
オーナーは、御社との賃貸借契約の更新の手続きを忘れていたんですな。

そうなんですよ!
うちとしても、更新料を支払うことはやぶさかではありませんが、あまりにもオーナーの態度が一方的で腹が立つんです。
何か、こちらが悪いことをしているような言いぶりで。

会話

お気持ちはよくわかります。
法律的に言えば、御社の賃貸借契約は、いわゆる「法定更新」の状態になっています。

「法定更新」?
なんか聞いたことがありますが、どんな制度でしたでしょうか?

会話

賃貸借契約が期間が終了する際に、双方の当事者から解約申し入れもなく、期間が過ぎてしまった場合、法律的にはそれまでの契約と同じ条件・内容で契約が自動的に更新されたことになる、という制度です。

なるほど。
で、法定更新になるとどうなるのでしょうか?

会話

従前どおり引き続き賃貸借契約が適法に続いていくことになります。
ただし、法定更新後の契約は、期間の定めのない賃貸借契約になります。

期間の定めのない契約、ですか?

会話

そうです。
法定更新後は、賃貸借契約に期間の定めがなくなりますので、今後は「更新」という概念がなくなります。
つまり、理屈上は、法定更新後は「更新料」を支払わなくても良い、ということになるのです。

そ、そうだったのですか!
やっぱり相談してみてよかったです!

 

 

 

「法定更新」とは何か??

会社のオフィスなどの

建物賃貸借契約は、

通常は2年なり3年なりの

期間が定められることが

通常です。

 

 

そして、

期間が満了する際には、

新たな更新契約書

(こちらも同じく、

2年なり3年の期間を定めます)

が作成されることに

なります。

 

 

その際、

多くの建物賃貸借契約では、

更新する際に、

賃料の1ヶ月分などの「更新料」を

借主が貸主に支払うことが

定められています。

 

 

通常は、

こうした契約期間満了に伴う

契約更新の手続きは、

賃貸人やその不動産管理会社が

行うのが通常です。

 

 

ところが、

時としてこの契約更新の手続きが

なされないまま、

賃貸借関係が続いて

しまっていることが

あります。

 

 

これは、

多くの場合、

賃貸人や不動産管理会社が、

うっかりしていて借主との間の

契約更新の手続きを失念

してしまっていることが

原因です。

 

 

このような場合、

法律的には賃貸借の関係は

どうなるのでしょうか?

 

 

この点については、

借地借家法26条1項に規定があります。

 

 

少し長いですが、

引用してみましょう。

建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新しない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとみなす。

 

ちょっとわかりにくいですが、

要するに、

賃貸借契約が終了するときに、

更新契約の手続きをせずに

そのままにしてしまった場合には、

それまでと同一の条件で

契約を更新したものとみなされる、

ということです。

 

 

「みなす」というのは、

法律用語で「擬制(ぎせい)

と呼ばれるもので、

それと同じ法律効果を与える、

ということを意味します。

 

 

つまり、

更新契約の手続きをして

いないにもかかわらず、

法律上は更新したのと

同じことになる、

ということで、

このことを「法定更新」

と言います。

 

 

ここまでは、

まあ良いのですが、

問題は最後の部分、

 ただし、その期間は、定めがないものとみなす。

という部分です。

 

 

要するに、

法定更新の場合は、

それまでとは異なり、

契約期間を特に定めていない

賃貸借契約ということに

なります。

 

 

期間を定めていない、

ということは、

借主が望めば、

いわば半永久的に

賃貸借契約が続く、

ということを意味します。

 

 

それだけではなく、

期間の定めがないので、

「更新」という概念も

なくなります。

 

 

つまり、

いくら前の契約書で

「更新料」のことを定めていても、

もはや貸主は借主に対して

「更新料」の支払いを

請求できなくなる、

ということになるのです。

 

 

 

賃貸人、不動産管理会社が注意すべきポイント

これは、

賃貸人や不動産管理会社の

立場に立つと、

結構深刻なミステイクです。

 

 

借地借家法という

借主に強い権利を与えて

保護するための法律

がありますので、

貸主の側から賃貸借契約を

解約することは、

容易ではありません。

 

 

その上、

「期間の定めのない契約」

ということで、

法定更新後は更新料の請求も

できなくなってしまいます。

 

 

不動産管理会社という

プロがついていて、

そんなバカなミスが起こるのか?

と思うかも知れませんね。

 

 

しかし、

私が弁護士をやっていて、

こうしたミスを、

プロであるはずの不動産管理会社が

やらかしている事例を

いくつか見聞きしています。

 

 

おそらく、

扱っている物件の契約管理が

非常にずさんなんだと思います。

 

 

うっかりしていたら、

契約満了の時期を過ぎてしまった。

 

 

慌てて更新料の

請求をしてみても、

もはや後の祭りです。

 

 

こういうミスをすると、

貸主側にとってみると、

大変な痛手になってしまいます。

 

 

やはり、

借主との間の契約管理、

特に契約期間の満了の

時期に注意して、

更新の手続きを忘れないように

しなければなりません。

 

 

逆に、

借主からしてみると、

上記のA社長のように、

いわばラッキーな事例

と言えるでしょう。

 

 

この場合には、

法律的なことがわからずに、

貸主の請求されるままに更新料を

支払ってしまわないように

注意が必要です。

 

 

やはり、

A社長のように、

疑問に思ったことは弁護士などの

専門家にすぐ相談する、

というスタンスは大切だな

と感じます。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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今回は、景品表示法違反のリスクということで、「顧客満足度第1位」とか安易に使っていませんか、そんなテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、家族でスペイン料理屋へ。
昼間からワインを楽しんできました。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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