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渋谷の弁護士吉田悌一郎

コンビニコーヒー「R買ってL注いだ」社員を「懲戒解雇」できるか?

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コンビニのセルフのコーヒーで

「Rを買ってL注いだ」という行為が

問題となっているようです。

 

 

このような行為は刑法上の「窃盗罪」で

もちろん違法な行為です。

 

 

ただ

こうした行為を行なった社員を

懲戒解雇できるかどうかは

 

 

また別問題です。

 

(今日の「棒人間」 Rを買ってLを注ぐ人)

 

<毎日更新1088日目>

コンビニコーヒー「R買ってL注いだ」

コンビニのコーヒー

あれ最近なかなかおいしいですよね。

 

 

私も時々お世話になってます。

 

 

あれはサイズがレギュラー(R

とラージ(L)に分かれていて

もちろん値段も違います。

 

 

レジでお金を払って

それぞれのサイズのカップを渡されて

それを機械でセルフで注ぐスタイル。

 

 

ちょっとセコイ話ですが

このコンビニのコーヒー

レギュラー(R)サイズを購入しながら

 

 

それよりも高額なラージ(L)や

カフェラテなどをカップに注ぐ行為が

相次いでいるそうです。

 

 

もちろん、

厳密に言えばこれは

 

 

刑法上の「窃盗罪」に当たり

犯罪になり得る行為です。

 

 

兵庫県の市立中学校の校長が

なんとこれをやってしまって

 

 

「懲戒免職処分」を受けた

との報道がありました。

 

 

公務員の「懲戒免職処分」というのは

一般の会社であれば「懲戒解雇」と同じで

最も重い懲戒処分です。

 

 

これが一般の会社だったら

どうでしょうか?

 

 

コンビニコーヒーで

「Rを買ってL注いだ」

 

 

そんな社員を「懲戒解雇」に

することができるでしょうか?

 

 

 

 

社員の「懲戒解雇」が有効であるための要件

確かに

上記のとおり「Rを買ってL注いだ」行為は

 

 

犯罪行為であり

やってはいけない行為です。

 

 

ただ

会社がそれを理由にこの社員を

懲戒解雇できるかどうかは

 

 

これまた別問題です。

 

 

日本の法律では

社員の解雇については

かなり高いハードルがあります。

 

 

そもそも

懲戒解雇を行うためには

 

 

会社の就業規則において

その根拠となる規定が必要です。

 

 

すなわち

 

 

懲戒の種類

どのような行為がどの種類の

懲戒処分にあたるのか

 

 

などが就業規則であらかじめ

定められていなければなりません。

 

 

多くの会社の就業規則では

たとえば

会社の内外を問わず、会社の名誉・信用を損なう行為があったとき

などと規定していたりします。

 

 

その上で

仮にその社員に

 

 

就業規則で定めた懲戒解雇に当たる

事由があったとしても

 

 

実際に社員を解雇するためには、

① 解雇の客観的合理的理由
② 解雇の社会通念上の相当性

という2つの要件を

満たす必要があり

 

 

これを満たさない解雇は

「解雇権の濫用」として

解雇が法的に無効とされます。

 

 

 

 

 

 

私生活上の不祥事と「懲戒解雇」

ここで考えなければならないのは

上記のコンビニでの

「Rを買ってL注いだ」行為が

 

 

たとえば就業時間外や休日などの

社員の私生活上の行為であった場合。

 

 

このような私生活上の不祥事が

上記の「① 解雇の客観的合理的理由」

に当たるのか?という問題です。

 

 

この点

「懲戒解雇」も「懲戒処分」の一種なのですが

 

 

そもそも懲戒処分は

会社の秩序を維持するためのものですから

 

 

原則として社員の私生活上の行為を

理由に懲戒処分をすることはできない

とされています。

 

 

しかし

いくら会社の仕事とは直接関係しない

社員の私生活上の行為とはいえ

 

 

その程度によっては

会社の信用や社会的評価に重大な

悪影響を与える場合もあり得るわけです。

 

 

そこで

社員の私生活上の行為であっても

 

 

それが会社の信用を害する場合には

懲戒処分が認められる

ということになります。

 

 

ただ

「懲戒解雇」は

懲戒処分の中でも最も重いもので

 

 

社員の生活にも重大な影響を

与えるものです。

 

 

そこで

社員の私生活上の不祥事が

 

 

会社の信用に対する影響が相当重大である

と客観的に評価される場合に限り

懲戒解雇が有効であるとされています。

 

 

過去の裁判例を見ますと

たとえば地下鉄の職員が

 

 

プライベートで電車の車内で

痴漢行為を行なって逮捕された

という事案があります。

 

 

この事例で裁判所は

鉄道会社全体が痴漢行為の防止について積極的に取り組んでいる現状において、痴漢行為を防止すべき駅係員という立場であるにもかかわらず、電車内で痴漢行為に及んだものであり、このような行為は、会社の信用を大きく傷つけるもの

と判断し

懲戒解雇を有効

としています。

 

 

逆に言えば

コンビニで「Rを買ってL注いだ」行為は

もちろん非難されるべき行為ではありますが

 

 

通常はそれだけで会社の信用に対する影響が

相当重大であると客観的に評価されるとは

言えない場合が多いでしょう。

 

 

したがって

仮に冒頭の事例で会社がその社員を

「懲戒解雇」した場合

 

 

その「懲戒解雇」は解雇権濫用として

「無効」と判断されると

可能性が高いでしょう。

 

 

このように

社員が犯罪行為や社会的に非難

される行為を行なったからといって

 

 

即「懲戒解雇」できる

とはなりませんので

その辺は注意が必要です。

 

 

安易に「懲戒解雇」を行うと

後々社員から「不当解雇」であると争われ

「裁判沙汰」に陥るリスクが大きいでしょう。

 

 

経営者として社員を雇う上では

とにかく「解雇」は簡単ではない

ということは頭に入れておくべきですね。

 

 

それはそれとして

コンビニでセルフサービスであることを悪用し

 

 

「Rを買ってL注ぐ」行為は

もちろんいけません。

 

 

そんなことをする人が多い

というのも驚きですが。

 

 

いい大人がこんなことを

やっては絶対にいけませんね。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

 

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最新動画 

今回は、「使用者責任とは?社員の不祥事の責任を会社が負わされる??」というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

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昨日は、午前中は浅草の顧問先を訪問して打ち合わせ、午後は事務所に戻って仕事でした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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