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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【退職代行】「突然辞めます」って、法的にアリなのか?

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今年の連休明けは

「退職代行」を使って会社を辞める

というケースが多かったようですね。

 

 

社員が退職代行を使って会社を突然辞める

ということに

何か法律上の問題はないのでしょうか?

 

(今日の「棒人間」 退職代行を使って会社を辞める??)

 

<毎日更新1109日目>

退職代行を使って突然の退職

今年の連休前

ある会社で新入社員をねぎらう

飲み会が開かれていました。

 

 

この会社に4月から入社したAさん。

 

 

新人ながら

まじめで一生懸命な仕事ぶりに

社長からも他の社員からも好評価。

 

 

入社して1ヶ月

がんばっている新人のAさんをねぎらおうと

社長が飲み会を計画。

 

 

飲み会は大いに盛り上がり

Aさんもとても楽しそうにしていました。

 

 

 今後、もっともっと、この会社のためにがんばります!

そんな風に話していたのに・・・・。

 

 

ところが

連休明けの勤務日に

Aさんが出社しません。

 

 

心配して

他の社員がAさんに

LINEを送っても未読。

 

 

電話をかけてもつながらず。

 

 

そこに

1通の内容証明郵便がとどきます。

 

 

それがなんと

 Aさんからの退職届

 

しかも

今流行りの「退職代行会社」を

使って退職届を突然送ってきたのです。

 

 

こういう話を

今結構あちこちの会社で

耳にするようになりました。

 

 

 

辞めるのは社員の自由??

そもそも

いったん入社した会社を

 

 

こうも一方的に退職してしまうことについて

法律上何か問題はないのでしょうか?

 

 

これは

法的に言えば

 

 

雇用契約の解除

ということになります。

 

 

これは

会社側から社員に対して行えば

いわゆる「解雇」ということになるわけです。

 

 

このブログでもよく書いているとおり

法律上「解雇」は厳しく

規制されています。

 

 

それでは

社員の側から雇用契約を解除する

「退職」については

 

 

なんらかの法律上の規制は

ないのでしょうか?

 

 

この点

民法で規定がありまして

雇用期間のない通常の正社員の場合は

 

 

いつでも解約の申し入れ

すなわち「退職」ができる

と定められています。

 

 

そして、この場合は

解約の申し入れ

 

 

すなわち退職届を出した日から

2週間後に雇用契約は終了する

と定められています。

 

 

なお

期間が1年未満の有期雇用契約の場合は

少し事情が変わってきます。

 

 

この場合

期間の途中での社員の退職については

 

 

「やむを得ない事由があるとき」にできる

とされています。

 

 

「やむを得ない事由」というのは

たとえば、社員の生命・身体に

危害を及ぼす仕事などを命じらたとき

 

 

賃金不払いなど会社に

重大な契約違反がある場合

 

 

家族の介護の必要とか

長期療養が必要な傷病に

かかったときなどが

 

 

これにあたります。

 

 

逆に言えば

こうした事情がない限り

解約の申し入れ

 

 

すなわち退職はできない

ということになります。

 

 

ちなみに

いずれの場合も

 

 

「退職代行」を使うことについては

法律上特に問題はありません。

 

 

退職届を

直接社員本人がしなければならない

というルールはないからです。

 

 

 

 

 

 

 

会社が損害賠償を請求できる場合

 

いずれにしても

社員に突然会社を辞められると

会社としては非常に困る場合があり得ます。

 

 

仕事の引き継ぎができなくて

業務に支障をきたす場合とか

 

 

その社員が担当していた

重要な取引先を失ってしまう

などということもあり得ます。

 

 

代わりに新たな社員を雇うにしても

求人広告を出すなどいろいろと

コストがかかります。

 

 

もし

社員が突然辞めたことによって

会社に損害が発生した場合

 

 

会社が被った損害の賠償をその社員に

請求することはできるのでしょうか?

 

 

この点

裁判例では非常に限定的でして

 

 

求人広告費や業務に必要な一般的な

育成費用等の請求はできない

とされています。

 

 

社員が突然退職したことで

その社員が担当していた業務の顧客を

失ったような場合には

 

 

損害賠償請求が認められる

余地があります。

 

 

しかし

実際に裁判で認められる金額は

それほど大きくはならないのが現実です。

 

 

そんなわけで

退職代行で突然会社を辞められても

 

 

会社としてはその社員に対して

法律的にできることは限られている

というのが現実です。

 

 

そうなると

経営者の方からお怒りの

声が聞こえてきそうですね。

 

 

私も常々

経営者の方から、

日本の法律は労働者に甘すぎる!

と怒られます。

 

 

まぁ

私に怒られても

しょうがないんですがね(笑)

 

 

とは言え

ちょっと前まで関係が

良好で(と思われていて)

 

 

飲み会まで開催したのに

その直後に

しかも退職代行を使って辞めてしまう。

 

 

経営者としてはちょっと

ショックではありますよね。

 

 

しかし

人手不足の昨今では

若い人に限らず

 

 

「雇用契約」というものを

そのくらいドライに捉えて

いる人が少なくない

 

 

ということでもあります。

 

 

入社してみたら

自分の思い描いていた

仕事や会社とは違った

 

 

ということで簡単に

辞めてしまうのでしょう。

 

 

ところで

私のブログ仲間には

 

 

社長が書いたブログを読んで感銘して

その会社に社員が入社する

というケースをよく見聞ききします。

 

 

こういうケースでは

 

 

そもそも入社してみてミスマッチ

ということが起こりにくいので

社員さんが辞めずに定着すると聞きます。

 

 

人材獲得や育成が難しい時代だからこそ

経営者も積極的な情報発信が

必要かも知れませんね。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

 

 

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最新動画 

今回は、「【社員の給料減額】10%までならOKって、本当??」というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

 

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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