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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【雨漏りの修繕をしてくれない大家】支払った修繕費を家賃と相殺できるか?

不動産賃貸

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大家さんが雨漏りの修繕をしてくれない。

 

 

仕方ないので

自分で費用を出して修繕。

 

 

その自分が負担した修繕費用を

毎月の家賃と相殺することは

できるでしょうか?

 

 

 

 

(今日の「棒人間」 大家さんが雨漏りの修繕をしてくれない??)

 

<毎日更新1112日目>

雨漏りの修繕は、貸主・借主どちらの義務?

関東地方もそろそろ梅雨入り

しそうな雰囲気ですね。

 

 

この時期

よくあるトラブルが

賃貸建物の「雨漏り」という問題です。

 

 

中小零細企業でも

借りているオフィスの建物が古くて

梅雨の時期に雨漏りが発生することがあります。

 

 

借りている建物に

雨漏りが発生した場合

 

 

大家さんに対して

雨漏りの修繕を求める

ことができるのでしょうか?

 

 

この点

民法606条1項では

賃貸人は、賃借物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う

と定めています。

 

 

これは

賃貸人(大家)の「修繕義務」

と言われるものです。

 

 

大家さんは

賃貸借契約の内容として

 

 

その建物が「通常の使用」が

できるような状態で

貸さなければならない

 

 

という義務を負っています。

 

 

雨漏りなどで

建物の「通常の使用」が

できない場合には

 

 

賃貸人(大家)はそれを修繕

しなければならない

ということになります。

 

 

ただ

この賃貸人(大家)の修繕義務は

 

 

賃貸借契約の内容によって

貸主ではなく

借主の義務にすることができます。

 

 

すなわち

賃貸借契約の中で

 

 

修繕義務は借主が負う

という定めをすることも

有効であるということです。

 

 

ただし

仮にこのように

貸主の修繕義務を免除したとしても

 

 

免除の対象となるのは

日常のちょっとした修繕

(たとえば、エアコンの修繕や電球の交換等)

 

 

に限られるとされています。

 

 

逆に

雨漏りを直すための屋根の改修工事など

大規模な修繕が必要なケースでは

 

 

やはり賃貸人(大家)が直す

義務があるとされています。

 

 

 

貸主が修繕してくれない場合はどうするか?

そこで

借主としては

 

 

上記のように

大家さんに対して

屋根の改修工事をして

 

 

雨漏りを直してほしいと

請求することができます。

 

 

しかし

請求しても何もしてくれないという

大家さんも世の中には少なくありません。

 

 

部屋の中が雨漏りがある

ということであれば

 

 

緊急に修繕を行う必要が

あります。

 

 

そこで

このようなケースでは

 

 

いったんは借主の費用で修繕の

工事を行うことができる

とされています。

 

 

ただ

大家さんとのトラブルが

大きくなるのを防ぐためには

 

 

借主としては

 

 

工事を行う前に大家さんに

事前の通知はしておいた方が

良いでしょう。

 

 

そして

雨漏り修理にかかった

工事費用については

 

 

賃貸借契約上の「必要費」

ということで

 

 

後で大家さんに請求する

ことができます。

 

 

ただ

現実問題としては

 

 

請求しても雨漏りの修理を

してくれなかった大家さんが

 

 

借主が支払った改修工事の費用を

すんなりと支払ってくれるとは、

考えにくい場合が多いでしょうね。

 

 

 

 

 

 

 

修繕費と家賃を相殺することはできるか?

そこで

借主が支払った雨漏りの

改修工事費用について

 

 

借主が毎月大家に支払う

賃料から差し引くということが

できないでしょうか?

 

 

すなわち

借主が支払った改修費の限度で家賃の

支払いを拒否するという方法です。

 

 

こういった方法のことを、

法律的には相殺(そうさい)

と言います。

 

一般論を言えば

改修費を負担した借主は

 

 

この賃料との相殺という方法を

とることができます。

 

 

ただし

この方法には注意が必要です。

 

 

こういった問題の際には

必ず借主が行った改修工事の

内容や規模が適切だったかどうか

 

 

ということが問題になってきます。

 

 

賃料との相殺が許されるのは

あくまで修繕の必要性があり

 

 

しかも適正な内容の工事費用

についてだけです。

 

 

もし後々裁判などで

借主が行った改修工事が

過大であった

 

 

そこまでやる必要はなかった

などということになると

 

 

賃料との相殺が一部無効である

という話になってきます。

 

 

賃料との相殺が一部無効というのは

どういうことかというと

 

 

本来支払うべき賃料について

一部未払いが生じてしまう

ということを意味します。

 

 

そして、

賃料の未払い、

という話になってくると、

断然借主にとって不利な状況に

追い込まれます。

 

 

すなわち、

賃料の不払いが一定の程度になると、

大家から賃貸借契約を解除

されてしまうリスクが出てくる、

というわけです。

 

ところが

世の中には

 

 

借主が工事をして

勝手な判断で賃料と相殺してしまい

 

 

後で大きな問題に発展するという

事例が結構あります。

 

 

そんなわけで

私としては

 

 

この修繕費と賃料を

相殺するというやり方は

絶対にお勧めできません。

 

 

賃料の不払いで賃貸借契約を

解除されると

 

 

オフィスとして借りている建物から

退去しなければならない

事態となってしまい

 

 

会社経営上も大きなダメージを

受けることになります。

 

 

そこで

やはり支払った修繕費の問題とは別に

毎月決まった家賃は必ず支払うべきです。

 

 

その上で

上記のように

 

 

こちらが支払った修繕費を大家に

支払うよう請求し

交渉を行う。

 

 

もし交渉が決裂となれば

裁判を起こして支払いを請求する。

 

 

ここは面倒ですが

やはりこうした王道を行かざるを

得ないと考えます。

 

 

くれぐれも勝手な判断で

賃料から一方的に相殺する

ということはやめた方がよいでしょう。

 

 

判断に迷った場合は

必ず弁護士に相談するようにしてください。

 

 

それでは

また。

 

 

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今回は、「【ランニングの5つのメリット】走り始めて13年、なぜランニングを続けるのか?」というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

 昨日は、午前中は自宅で仕事、午後は事務所に出て、事務所の広報委員会(会議)、お客様との打ち合わせなどでした。前日のマラソンのダメージはほとんどなく。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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