「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

「払えないのは強い」は本当か?

債権回収

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「ない袖は触れない」

という言葉があります。

 

 

巷では

 

 

「払えないのは強い」とか

「財産がないのは強い」と

言われることがあります。

 

 

本当にそうでしょうか?

 

(今日の「棒人間」 「払えない」と開き直る人)

 

<毎日更新1119日目>

約束を守らない取引先

払えない方が強くなるって、どういうことですか!?

A社の取引先であるB社は

期限を過ぎても売掛金

500万円を支払いません。

 

 

そこで

 

 

B社に連絡すると

「今は経営が厳しくて払えないので

少し待ってほしい」との返事。

 

 

しかし

待てど暮らせど

B社はその後も売掛金を支払いません。

 

 

A社がB社に対して

早く払うように督促すると

 

 

B社からは

「一括で支払えないので

分割払いにしてほしい」

 

 

と頼まれました。

 

 

仕方がないので

A社はB社と話し合い

 

 

1ヶ月50万円の分割払いで払って

もらうように約束しました。

 

 

最初の3ヶ月ほどは

B社は約束通り支払っていましたが

 

 

4ヶ月目から分割の

支払いも滞納し始めます。

 

 

A社が督促すると

 

 

B社は

「もう少し待ってください」などと

のらりくらいとした対応です。

 

 

我慢も限界にきたA社に社長は

弁護士に相談します。

もう許せません。B社を訴えてください!

社長、少し落ち着いてください。
お話を伺う限りでは、B社にはめぼしい資産もなさそうです。
裁判を起こすことはできますが、裁判で勝っても、売掛金を回収できる可能性が低いと思われます。

裁判で勝っても、回収できないってどういうことですか?

民事裁判でこちらが勝ったからと言って、相手が払うとは限りません。
相手が払わなければ、相手の財産などに強制執行を行う必要がありますが、相手に資産がないとそれもできないのです。

そんなバカな!
悪いのはB社じゃないですか!

おっしゃる通りです。
ただ、正しいかどうかと、実際に売掛金を回収できるかどうかは、別問題なのです。

支払いの約束を守らずに逃げ回っていて、そんなB社には刑罰が下らないのですか?

刑罰というのは、犯罪を犯した場合の刑事事件の話です。
残念ながら、支払いの約束を守らないというだけでは、犯罪にはならないのです。

結局、払えない方が強いってことになりますよね。
おかしくないですか?

 

 

払えないのは強い??

長年会社経営をしていると

取引先からの売掛金を回収できない

という憂き目に遭うことはあり得る話です。

 

 

売掛金を支払わないというのは

契約違反

すなわち債務不履行となります。

 

 

ですから

こうした相手を「裁判」で訴えて

勝つことはそれほど難しくはないでしょう。

 

 

ところが

問題はその先です。

 

 

いくら裁判で勝っても

負けた相手がそれに従わずに支払わない

ということは世の中いくらでもあります。

 

 

裁判で勝っても

 

 

裁判所が相手方に対して

自動的にお金を取り立てて

くれるわけではありません。

 

 

裁判で勝っても

相手が払わないという場合は

 

 

別途裁判所に対して

強制執行の申し立てを

行う必要があります。

 

 

強制執行というのは

相手が持っている財産(不動産や預貯金など)

を差し押さえて

 

 

それを強制的に売却(競売)

してお金に変えて

そこから回収するという手続きです。

 

 

相手にめぼしい資産があれば

それを差し押さえることが

可能になります。

 

 

ところが

売掛金の支払いを滞らせる

ような会社というのは

 

 

大抵めぼしい資産はない

ことが少なくありません。

 

 

その場合は

 

 

結局勝訴の判決を得ても

それは「絵に描いた餅」に

なってしまいます。

 

 

時々

 約束した金を払わない奴は、捕まえてほしい

とおっしゃる方がいます。

 

 

しかし

日本の法律では

 

 

売掛金を払わないとか

約束したお金を返さないといったことは

犯罪にはなりません。

 

 

捕まえるとか

刑罰というのは

基本的には刑事事件の世界の話ですが

 

 

未払いというのは民事の世界の話です。

 

 

民事で何か相手に強制的に支払わせるには

上記で述べた判決→強制執行というのが

基本的には限界なのです。

 

 

そこで

世間では

 払えない方が強い

とか

 財産がない方が強い

と言われることがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に強い会社とは?

たしかに

上記のA社とB社のどちらが強いか?

という狭い視点で見ると

 

 

一見「ない袖は触れない」と

開き直るBの方が強いと

感じるかも知れません。

 

 

しかし

果たして本当にそうでしょうか?

 

 

約束した売掛金を支払わず

分割払いにしてもらっても

のらりくらりと逃げ回る。

 

 

ビジネス社会でこんな

ことをする会社は

確実に信用を失います。

 

 

信用を失ってしまった会社が

本当に強いと言えるでしょうか?

 

 

A社社長の「許せない!」

という気持ちはわかりますが

 

 

こんなB社相手にいつまでも

無駄なエネルギーを使うことは

得策ではありません。

 

 

もっと視点を広げて

 

 

今回

回収不能になった売掛金を

自社の本業をもっと発展させて

 

 

そこから回収するという

発想ができればと思います。

 

 

同じ経営者のエネルギーを使うのであれば

そのようなプラスの方向に使うべきなのです。

 

 

それができる会社が

本当の意味で「強い会社」

と言えるのではないでしょうか?

 

 

とは言え

やはり中小零細企業にとって

 

 

売掛金を回収できない事態

が生じるということは

非常に大きな痛手になります。

 

 

できれば

そんな事態を未然に防ぎたいものです。

 

 

そこで

明日は

 

 

売掛金の未回収をどうやって予防するか

というお話をしたいと思います。

 

 

それでは

また。

 

 

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最新動画 

今回は、「「天職」を見つける方法は、目の前のことに懸命に取り組むこと」というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日から、宮崎県の高千穂にきています。私が所属するブログのコミュニティー、ビジネスブログアスリート(BBA)のサミットというイベントに参加するためです。
朝8時15分羽田発の飛行機で熊本へ。熊本空港で2時間ほど時間があったので、そこでブログなど。その後バスで高千穂のホテルに移動。高千穂峡などの観光を楽しみました。
今日がサミットの本番です。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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