うつ病などのメンタル疾患で
休職する社員が増えています。
休職期間が満了し
社員を復職させるべきかどうか
会社が難しい判断を迫られる場合があります。
(今日の「棒人間」 メンタル疾患からの復職は難しい問題が)
<毎日更新1165日目>
近年
メンタル疾患を患い
会社を休職する社員が増えています。
たとえば
うつ病についてみると
患者の国内総数は
500万人以上だそうで
国民の約4%がうつ病に
かかっているということになります。
しかも
うつ病患者は
働き盛りの40代
50代がもっとも多いとか。
こうなるともはや
うつ病をはじめとしたメンタル疾患は
誰がいつかかってもおかしくない
病気かも知れませんね。
メンタル疾患を患い
社員の欠勤が続くような場合
会社としては
社員の休職を命じることになります。
通常
社員の休職を定める就業規則には
たとえば
には
会社は社員に休職を命じることができる
などと定められています。
そして
社員は
それぞれ就業規則で定められた
期間の休職に入るわけですが
問題は
休職期間が満了し
社員が復職できるかどうか
という場面です。
休職期間満了後に
社員が復職できるためには
そのメンタル疾患が一定程度回復し
復職可能と言える状況に
ならなければなりません。
その社員が復職可能かどうかの判断は
最終的には会社が行うわけですが
その判断で重要な意味を持ってくるのが
やはり主治医の診断ということになります。
よく問題となるのは
その社員本人が
復職可能とされた
主治医の診断書を持参し
復職を求めてくる場合です。
多くの会社では
休職期間満了日までに
休職事由が消滅しないとき
すなわち復職が可能でない場合には
休職期間満了日で当然退職になると
就業規則で規定しています。
そこで
社員としても
休職期間満了までに
復職可能な状態に
回復していないとすると
職を失ってしまうので
ある意味必死なわけです。
とは言え
会社としても
安易な復職を認めるわけには行きません。
実はメンタル疾患が回復しておらず
復職させた結果
余計に病状が悪化したという場合には
会社の安全配慮義務違反の
問題が生じる可能性も出てきます。
この点
主治医というのは
本人の病状はよく診ていますが
反面
この社員の職場の状況や
仕事の内容をよく把握
しているわけではありません。
ですから
主治医の「復職可」という診断結果が
会社から見ると少々疑わしい
ということはあり得るわけです。
そこで
会社としては
改めてその社員に対し
産業医による診断を命じる
ことができるかどうかが
次に問題となってきます。
この点
産業医であれば
その職場の状況や
その社員の仕事の内容などを
把握しています。
ですから
もし産業医が「復職不可」
と診断した場合には
会社としては
主治医の診断とは異なったとしても
産業医の診断にしたがって
復職の判断をすることも
合理的な理由があるとされています。
ただ
主治医の診断を受けた社員が
改めて産業医の受診を
拒むケースもあり得ます。
そのような場合
就業規則に会社指定の産業医での
受診義務を定めている場合には
その就業規則に基づき
会社は社員に対して
業務命令として産業医への
受診を命じることができます。
また
主治医の診断結果に疑問があり
その疑問につき合理的な理由
があるような場合には
就業規則の定めがなくても
産業医への受診を命じることができる
とした裁判例もあります。
そして
産業医の診断の結果
復職が不可能だと会社が判断すれば
社員は退職という形になります。
ただ
会社としても
復職を拒否するのは
妥当ではない場合もあります。
たとえば
復職明けですぐに以前の
本来業務につく程度には
回復していなかったとしても
会社としては
可能な限り軽減された業務に
つかせるべきであると考えられています。
そうした会社として取り得る
努力をしても復職が不可能な場合に
復職拒否の判断をすべき
であろうと考えます。
メンタル疾患というのは
回復したかどうかの判断が
非常に難しい面があります。
社員を復職させるかどうかにあたっては
慎重な判断が求められます。
産業医の診断を参考にしつつ
復職させるべきか否かの
法的な判断として
弁護士にも相談された方が
よい場合もあるかと思います。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。