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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【サブリース】賃借人による一方的な賃料減額はできない

不動産賃貸

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不動産オーナーからサブリース会社が

物件を賃借し

それを転貸するサブリース契約。

 

 

サブリース会社が不動産のオーナーに対して

賃料を一方的に減額するという

トラブルが増えています。

 

(今日の「棒人間」 値下げを強要する人??)

 

<毎日更新1197日目>

レオパレスによる一方的な賃料減額は不当

レオパレス21に対して

建物を賃貸するオーナーが

賃料の一方的な減額は不当として

 

 

建物の明渡などを求める

訴訟を起こしました。

 

 

レオパレス21は

賃貸アパートの大手で

 

 

集合住宅を一括で借り上げて

転貸するというサブリース契約を

結んでいました。

 

 

報道によれば

レオパレスは

 

 

この建物オーナーとの間で

2007年に月額賃料42万円の

30年契約を交わしました。

 

 

ところが

2021年3月

レオパレスは

 

 

月額賃料を38万円に減額することを

オーナーに一方的に通告し

 

 

同年6月分から減額した賃料

しか支払わなかったそうです。

 

 

そこで

オーナーは

 

 

契約違反を理由にレオパレス

との間の賃貸借契約を解除し

 

 

建物の明渡訴訟を起こした

というわけです。

 

 

この裁判の判決が出て

レオパレスが一方的に7ヶ月に

わたり賃料を減額したことは

 法の規定に明白に反している

と指摘し

 

 

オーナーの請求どおり

 

 

建物の明渡しとそれまでの

月額42万円の賃料の支払いを

レオパレスに対して命じました。

 

(資料写真)那覇地裁 (資料写真)那覇地裁 レオパレスによる一方的な賃料減額は不当 那覇地裁が建物明け渡し命令 アパート契約を巡るオーナーとの訴訟

 

 

 

 

 

サブリース契約とは?

サブリースというのは

簡単に言えば不動産の転貸借

(いわゆる又貸し)契約のことです。

 

 

不動産の転貸借は

基本的に賃貸人の同意が

なければすることができません。

 

 

この点

サブリース契約は

 

 

もともと賃借人が賃借した不動産を

第三者に転貸することが

当初から予定されており

 

 

当然転貸借についての賃貸人の

同意があることが前提となっています。

 

 

よくあるのは

賃貸マンション1棟を所有するオーナーが

 

 

不動産賃貸業を専門とする会社と

マンションの賃貸借契約を締結します。

 

 

その賃借人である会社が

賃貸マンションを一括して借り受け

 

 

賃貸管理業務(部屋の借主の募集や家賃支払い管理,修繕管理等)

を行うというものです。

 

 

ここで

賃貸人であるオーナーと

 

 

賃借人である不動産会社(サブリース会社)

との間の契約(原賃貸借契約)

マスターリース契約と言います。

 

 

そして

賃借人である不動産会社と

 

 

個々の部屋の借主(転借人といいます)

との間の契約(転貸借契約)

サブリース契約といいます。

この点

賃貸マンション1棟を所有していても

その所有者が不動産の素人である場合

 

 

各部屋の借主を募集したり

賃貸借契約を締結したり

 

 

家賃支払いの管理や

修繕の管理をすることは

極めて大変です。

 

 

ですから

こうした賃貸マンションを1棟

丸ごと借り受けてくれて

 

 

各部屋の借主との間の賃貸管理業務を

不動産業者が行ってくれることは

オーナーにとって大きなメリットがあります。

 

 

ここでは

マスターリース契約における賃料よりも

 

 

サブリース契約における賃料の方が

高く設定されることが通常であるので

 

 

その差額がサブリース会社の

収益ということになります。

 

 

ただ、近年では

特に地方の物件などでは

 

 

サブリース契約の賃料を

下げないと借り手がつかない

というケースがあります。

 

 

こうしたケースでは

サブリース会社が

 

 

一方的にマスターリース契約の

賃料を減額し

 

 

不動産オーナーとの間で

トラブルになるケースが出ています。

 

 

冒頭のレオパレスの事例も

まさにこうしたケースの

典型例でしょう。

 

 

 

 

 

 

借主による一方的な賃料減額はできない

この点

サブリース契約も

 

 

不動産賃貸借について定めた

「借地借家法」の適用があります。

 

 

そして

借地借家法では

賃料の減額については

建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったとき

には

 

 

将来に向かって建物の賃料の減額を

「請求」することができる

という建て付けになっています。

 

 

ただ

賃料の減額については

あくまで当事者の協議

 

 

すなわち話し合いで決

めることとされており

 

 

借主の側で一方的に減額できる

ということではありません。

 

 

そして

もし話し合いを行なっても

合意に至らない場合には

 

 

調停などの裁判手続きを

起こす必要が出てきます。

 

 

ですから

賃料の減額を求める借主としては

 

 

あくまで貸主との合意がないにもかかわらず

一方的に賃料を減額することはできない

ということになります。

 

 

上記のレオパレスの事案でも

 

 

判決では

やはり一方的な減額は

できないとされています。

 

 

本来一方的な賃料の減額が

できないにもかかわらず

 

 

7ヶ月にわたって減額した賃料しか

支払わないということは

 

 

契約違反

すなわちそもそも契約で決まっている

賃料を支払っていないことになります。

 

 

そこで

オーナーは原賃貸借契約(マスターリース契約)を解除し

 

 

サブリース会社であるレオパレスに対して

建物の明渡しを求めたわけです。

 

 

 

ちなみに

サブリースで

原賃貸借契約(マスターリース契約)

解除によって終了した場合

 

 

転貸借契約(サブリース契約)

どうなってしまうのでしょうか?

 

 

この点

転貸借契約(サブリース契約)

 

 

あくまで原賃貸借契約(マスターリース契約)

を前提にしています。

 

 

ですから

原賃貸借契約(マスターリース契約)

が終了すると

 

 

転貸借契約(サブリース契約)

終了する関係になります。

 

よく言われるたとえとして

原賃貸借契約(マスターリース契約)

転貸借契約(サブリース契約)

 

 

親亀、小亀の関係に

たとえられます。

 

 

ですから

親亀がコケると

小亀もコケる

 

 

という関係になるわけです。

 

 

ちなみに

その場合

 

 

個々のマンションの部屋の

借主である転借人も

 

 

契約の終了によって物件をオーナーに

対して明け渡さなければなりません。

 

 

そうした場合は

転借人は

 

 

直接の契約当事者であるサブリース会社(転貸人)

に対して契約責任(損害賠償など)

追及できるという関係になります。

 

 

転貸借契約というのは

あくまで原賃貸人であるオーナーの

承諾のもとに成り立つ契約です。

 

 

ですから

サブリース契約というのは

 

 

実はそういう不安定さというか

危うさをもともと持っている

契約類型なのですね。

 

 

最近

サブリースをめぐる

トラブルも増えているのですが

 

 

一つこの点も参考にして

いただければと思います。

 

 

それでは

また。

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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