実態は会社都合退職なのに
離職票に「自己都合退職」
と記載するのは
離職票の虚偽記載となります。
安易に離職票に虚偽の記載をすると
会社にとっていろいろな
リスクがありますので
注意が必要です。
(今日の「棒人間」 虚偽記載はいけません)
<毎日更新1205日目>
私は普段
中小零細企業の経営者の
お客様が多いのですが
ごく稀に、社員
労働者側からご相談を
受けることがあります。
そうした労働者側の
ご相談を聞いているときに
今どき、こんな危なっかしいことをやっている会社があるのか。
と驚くことがあります。
都内の会社で正社員
として働くXさん。
あるとき
社長から呼ばれ
会社の業績が厳しいので
会社を辞めてもらえないか
と打診を受けます。
Xさんはいろいろと考えましたが
会社がそれほど厳しい
事情があるなら仕方がないと
退職を決意します。
しかし
その際社長が
すまないけど、今回は君の「自己都合」退職ってことにしておいてくれんかね?
ええ?だって、社長が辞めてくれというから辞めるんですよ。それって、「会社都合」じゃないんですか?
う〜ん、そうなんだが、「会社都合」の退職者がいると、会社が助成金を受けられなかったり、いろいろと不都合があるんだ。
Xさんは思わず
呆れてしまいました。
そもそも会社の都合で
辞めて欲しいという話なのに
形式上は「自己都合」退職にして
欲しいという社長の言い分。
確かに
「会社都合」の退職者がいる場合
会社が一定の助成金を
受けられなくなる可能性はあります。
しかし
それはそれ
これはこれです。
社員を雇用する事業者は
その社員が退職した場合には
雇用保険の離職票を提出して
届け出なければなりません。
実態は会社都合であるにもかかわらず
この離職票に「自己都合」記載してと
届け出た場合はどうなるのでしょうか?
この点、雇用保険法では
会社がこの「離職票」について
「偽りの届出」を行なった場合には
という罰則が定められています。
当たり前ですが
離職票に実態とは異なる
虚偽の記載を行うことは
明確に「法律違反」なわけです。
上記の罰則だけではなく
場合によっては行政処分を
課される場合も出てくるでしょう。
さらに深刻なの
「自己都合退職」となった場合
社員が雇用保険を受ける際に
制限がつけられる
ということです。
すなわち
「自己都合退職」の場合には
社員は退職日から2ヶ月ないし3ヶ月は
雇用保険の失業給付を受けられない
ことになってしまいます。
会社が実態に反して「自己都合退職」
と離職票に記載することによって
その社員にこうした不利益が
生じることになります。
ですから
この場合には
会社は社員から
この被った不利益について損害賠償請求を
されるリスクが出てきます。
まぁ
会社から辞めて欲しいと
言っておきながら
退職理由を「自己都合」
にしてくれというのも
常識的に考えてかなり
無茶な要求ですよね。
安易に離職票に実態と違う記載を書くと
当然ですが会社としては様々な
リスクがありますので
絶対にやめるべきですね。
助成金を受けられない云々は
あくまで会社の都合であって
離職票に虚偽の記載をすることを
正当化する根拠にはなりませんので
注意が必要です。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。