社員が会社を退職する際に
未消化の有給休暇をお金で買い取って
ほしいと頼まれることがあります。
実は
法律では有給休暇の買取りは
原則として禁止されているのですが
例外的に許される場合があります。
(今日の「棒人間」 有給の買取りを求める人)
<毎日更新1295日目>
社長、大変お世話になりました。実は、会社を退職させていただきたいのですが。
ええ〜、そうなの???
そんでもって、すみませんが、10日ほど未消化で残っている有給休暇を買い取ってもらいたいんです。
どっひゃ〜〜!
年末も近づくと
年内で社員が会社を退職する
というケースもあるでしょう。
社員が退職する際に
まだ未消化の有給休暇が残っている
という場合があります。
普通は
退職する際に
残っている有給休暇を消化してから
辞めるということが多いでしょう。
ただ
社員の事情によっては
急遽退職したいという
ケースもあり得ます。
その際に
たとえば繁忙期だったりして
社員が気を遣って有給を消化しなかった
というようなこともあるでしょう。
そのような場合
会社がこの社員の
未消化の有給休暇を
お金で買い取ってあげる
ということは
法的に問題がないのでしょうか?
この点、「有給休暇」というのは
のことを意味します。
これは要するに
「有給」で休むことができる
すなわち取得しても賃金が
減額されない休暇のことです。
有給休暇の日数などは
法律で決まっており
まず
に
10日与えられます。
そして
その後も1年ごとに要件を
満たすことにより
順次取得できる有給休暇の
日数が増えていきます。
そして
この有給休暇を会社が
社員から買い上げることは
原則として
違法とされています。
これは
有給休暇というのは
そもそも社員を労働から解放する日を設けて
リフレッシュさせるという
ところに目的があるからです。
会社がお金さえ払えば
社員に有給休暇を取得させなくても良い
ということになると
この有給休暇制度の目的を
果たすことができなくなります。
しかし
仮に社員の有給休暇の買取りを行なっても
こうした有給休暇制度の目的と矛盾しない
という場合には
例外的に買い取りが
許されることがあります。
具体的には
会社で上記の法律で定められた日数よりも
多い日数の有給休暇を与えている場合。
この場合には
上記の法律で定める日数を
上回る日数部分については
会社が買い取ることは
許されるとされています。
なぜなら
この場合は法律で定めた日数の
有給休暇はきちんと確保されている
という前提だからです。
そしてもう1つが
社員が退職する際に
未消化の有給休暇が
残っているという場合です。
社員の退職時に残っている
有給休暇を会社が買い上げることも
適法とされています。
もし社員が退職してしまえば
未消化の年次有給休暇は
すべて消滅してしまいます。
そうであれば
未消化の有給休暇を会社が
買い取った方が
社員にとってメリットになるからです。
ただし
未消化の有給休暇の買い取りは
あくまで「できる」ということであって
会社の義務ではありません。
ですから
もし社員から買い取りを希望されても
会社はそれに応じる義務はないわけです。
ただ
冒頭の事例のように
社員が気を使って有休消化ができなかった
という場合もあり得ます。
たとえば
長年勤めてくれた社員さんに対する労い
という意味でも
もし未消化の有給休暇があれば
退職時に買い取ってあげる
というのも1つだと思います。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。