<毎日更新1334日目>
2002年11月13日。
この日は
一夜にして私の人生が
変わった一日だった。
この日の夕方
私は東京・霞ヶ関の
法務省の前に立っていた。
司法試験の最終合格発表である。
当時は
今のようにインターネット
による合格発表よりも
法務省の掲示板に合格者の番号が
記載されているのを確認しにいく
というスタイルがまだ
一般的であった。
果たして
私はこの日
自分の受験番号を無事
見つけることができた。
遅まきながら司法試験の
受験を決意してから屈折4年半。
長く苦しい日々は終わった。
大学を卒業してもう数年経っていた。
職業は無職。
今で言う「フリーター」
と言えばまだ格好が良いが
当時は「プー太郎」と
言われる身分だった。
どうにかこうにか
司法試験に合格でき
一夜にして人生は一変。
そこから先は
バラ色の栄光ある人生を歩む
はずであった。
そもそも
なぜ私が弁護士を目指すことになったのか
少し長くなるが深掘りしてみたいと思う。
私が受けた頃の司法試験というのは
いわゆる「旧司法試験」
と呼ばれる頃で
まだ法科大学院などが
できる前の時代であった。
当時は合格率2%台の
超難関試験だった。
そして
司法試験合格者の出身大学を見れば
主に東大、京大、早稲田、慶應、中央
のいわゆるエリート上位5校で
ほぼ占められていた。
私の出身大学は駒澤大学。
当時
司法試験の合格実績もほとんどなく
司法試験を目指すには
圧倒的に不利な状況であった。
おまけに
大学時代の私はと言えば
授業にもほとんど出ずに遊び呆け
留年ギリギリの成績でようやく進級する
といった調子だった。
そんな私が
将来どうしようかと考えていた頃
ある1つのテレビ番組に出会った。
NHKの特集番組で
「中坊公平さん」という弁護士を
取り上げた番組だった。
中坊さんは
いろいろな評価はあるものの
昔起こった森永ヒ素ミルク事件や
豊田商事事件といった大型事件で
被害者救済に尽力した弁護士だ。
この番組で
社会的に弱い立場に立たされた
被害者のために奔走する
中坊さんの姿がとても
格好良く見えたのだ。
そして
自分もこんな仕事をしたい
と思ったのが最初の動機だった。
だが
ものごとには何事もホンネと建前
というものがある。
私が司法試験を目指したのは
決してこうした「キレイ」な
理由だけではなかった。
ありていに言えば
私は司法試験に受かって
「人生一発逆転」がしたかったのである。
弁護士になることで
それまでの私の「サエない」
人生を変えることができる。
少なくとも当時は
司法試験に受かれば
一生食いっぱぐれることはない
と言われていた。
弁護士になれれば
それなりに良い暮らしが
保証される。
社会的なステータスも悪くない。
異性にもモテるかも知れない。
確かに
司法試験の勉強は大変だ。
何年絵勉強しても合格できる
保証はどこにもない。
しかし
受かりさえすれば
その後の人生は保証される。
こうした下世話な「欲望」が
当時の私を突き動かし
大きなエネルギーになって
いたことは間違いない。
実際に
司法試験の勉強生活は
非常に大変だった。
生まれ変わっても
あんな試験は
二度と受けたくない。
自分の子どもにも
あんな経験はさせたくない。
ピークの頃は
1日15時間は勉強
していたと思う。
それこそ、入浴、睡眠
食事の時以外はすべて
勉強だった。
「もうだめだ」と
何度も諦めかけた。
とは言え
諦めてしまえばただの
無職の「ぷー太郎」だ。
受からなければ自分の人生はない。
極端だが
ここまで追い詰められ
なんとか力を出すことができた。
この辺の受験時代の話は
かなり昔のブログに書いたので
興味のある人はそちらを読んでほしい。
ボクが弁護士になりたいとなりたいといったとき、みんな笑いました。でも・・・
私利私欲に基づく動機というものは
意外にエネルギーになるもので
どうにかこうにか私は
司法試験に合格できた。
実際に合格してみて
どうだったか?
確かに
私の人生は大きく変わった。
ちょっと前まで無職の「ぷー太郎」で
誰からも相手にされなかった男が
若造のうちから「先生」
と呼ばれるようになる。
「すごい」「すごい」と
みんなからもてはやされ
チヤホヤされる。
それまでの「サエない」人生では
味わったことのない快感だった。
単純な私は
「すごい」「すごい」
と言われていると
だんだん自分でも
「オレって、すごいのかな?」
「オレって、もしかしたら天才かも」
などと思うようになる。
どんな世界も
試験に受かっただけで
一人前の仕事ができるように
なるものではない。
謙虚にコツコツ修練して
いくことが欠かせない。
しかし
当時の私には
そんなことは頭になかった。
「オレは将来を約束された人間だ」
傲慢で鼻持ちならない
人格が出来上がるのに
そう時間は掛からなかった。
(つづく)
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
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中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。