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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【賃料増額請求】決まった賃料を上げてほしい!と思ったら?

不動産賃貸

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賃貸物件の賃料の値上げは、貸主が一方的に

できる、というものではありません。

 

 

契約でいったん決まった賃料を値上げするためには、

法律上それなりの手続きを経る必要がありますので、

注意が必要です(^ ^)

 

 

 

(賃料増額請求に関する手続き:裁判所のHP)

 

 

<毎日更新560日目>

契約で決まった賃料を増額したい?

少し前のことですが、今年(2022年)の基準地価が公表されました。

 

 

基準地価は全国平均で前年比0.3%上昇、住宅地の全国平均は

31年ぶりに上昇に転じたそうです。

 

 

特に、マンションの価格はいっそう顕著な上昇傾向があるようで、

2012年以降上昇を続けているようです。

 

 

地価が上昇すると、賃貸物件のオーナーとしては、貸している物件の

賃料の値上げをお願いしたい、そんな要望も出てくるでしょう。

 

 

先日、とある不動産賃貸の会社の社長からご相談を受けました。

(守秘義務がありますので、ご相談内容は大幅に変えています)

 

 

こんにちは。
実は、弊社で持っている賃貸物件についてちょっとご相談がありまして。

会話

なるほど、具体的にはどのようなご相談ですか?

その賃貸物件は、店舗用の建物で、その店舗はとある商店街で居酒屋を営んでいます。
最近、この商店街が、駅前の再開発の影響で地価が上がっているのです。

会話

なるほど、今は都心部などでは地価が上がっていますからね。

そこで、地価の上昇に合わせて、この賃貸物件の賃料も上げたいと考えているのです。
何しろ、地価の上昇で固定資産税なども上がってますし。

会話

なるほど、賃料の増額ですね。

そこで、このような場合に賃料を値上げする方法について教えてほしいのですが。

会話

いったん賃貸借契約で決まった賃料を増額するためには、借主さんと話し合った上で、借主さんの合意を得た上で増額する、というのが原則的な方法になります。

なるほど。
それでは、もし借主と話し合っても、借主が賃料の増額を承諾してくれない場合は、どうしたら良いのでしょうか?

会話

その場合には、賃料増額請求に関する裁判手続きを行う必要があります。

「裁判」ですか〜・・・。

会話

最終的に、裁判所の判断で、現在の賃料が不相当だという結論が出れば、それに伴って賃料を上げることができる、ということになります。

なるほど、賃料の値上げをするというのは、結構ハードルが高いのですね。

 

 

 

賃料増額の手続き

近隣の地価が上がったので、貸している物件の賃料を

値上げしたい、という話はよく耳にします。

 

 

借地借家法という法律では、賃料の増額請求ができる場合として、

 

「土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったとき」

と定められています。

 

 

では、大家さんがこうした近隣の物件と比較して賃料が不相当になったと

判断した場合には、一方的に賃料を上げてしまうことができるのでしょうか?

 

 

この点、借地借家法の建てつけでは、あくまで賃料の増額については、

当事者間の協議によって定めることを前提にしています。

 

 

ですから、仮に大家さんの側で賃料が不相当になったと判断して、

借主に対して賃料の増額を求めたとしても、借主がそれに応じない場合には、

一方的に値上げをするということはできないのです。

 

 

ですから、大家さんとしては、まず借主さんに地価上昇などに関する事情を

率直にお話しし、賃料増額についての理解を得る努力をする必要があるでしょう。

 

 

しかし、それでもどうしても借主さんが賃料の増額に応じてくれない場合は、

どうしたら良いのでしょうか?

 

 

その場合には、裁判を起こし、そこで、上記のように現行の賃料が近隣の物件等の

賃料相場と比較して不相当であること等を客観的に証明する必要があります。

(ただし、賃料増額は「調停前置」と言って、裁判の前にまず「調停」を起こす必要があります)

 

 

なお、賃料の増額は、あくまで賃料が決められた後、その後に賃料の増額を基礎づける

だけの新しい事情が存在する場合に認めれられます。

 

 

ですから、

最後に賃料の額が決められたのがいつなのか? 

ということが重要になってきます。

 

 

これは、通常は最初の賃貸借契約書で賃料の額が決められるわけですが、

その後契約の更新があり、更新契約で賃料の額が変わっている場合には、

その時点が最後に賃料が決められたときになります。

 

 

ですから、その後に賃料の増額を基礎づける事情があるかどうか、ということが

重要になります。

 

 

しかし、世の中には、こうした手続きを無視して、

 地価が高くなったから、当然に賃料を値上げして!

と一方的にやってしまう大家さんがいるのも事実です。

 

 

こういう強引なやり方をしてしまうと、借主との間でトラブルになり、

最悪は「裁判沙汰」になってしまうおそれもあります。

 

 

私の弁護士としての使命は、中小零細企業のトラブルを

 「裁判しないで解決」すること!

 

「裁判沙汰」を避けるためには、こうした賃料増額についての

法的な枠組みをきちんと理解した上で、借主さんと誠実に

話し合うことが大切ですね。

 

 

 

 

 

 

まとめ

というわけで、

今日のポイントは

 

 決まった賃料を値上げするには、それなりの手続きが必要!

ということです。

 

 

しかし、一部の地域の地価やマンションの価格の上昇は

かなりすごいものがありますね。

 

 

「バブル経済」のようなことにならなければ良いが、

と思いますが・・・。

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

賃貸借契約期間の途中で、大家さんが変わった場合、新しい大家さんに対して敷金を返してほしいと請求できるか? 今回はこんなテーマでお話ししています。

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、午前中は自宅で仕事、オンライン会議などでした。
午後は事務所に出勤して仕事でした。
夜は事務所の所員数名で食事に行きました。

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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