「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

渇望の果て②

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(今日の「棒人間」 すべてはバブル(泡)だった?)

 

<毎日更新1335日目>

借金の相談に明け暮れる日々

私が弁護士になった約20年前

世の中はいわゆる「サラ金天国」

の時代であった。

 

 

テレビをつければ

大手消費者金融会社のCMが

 

 

ゴールデンタイムに

バンバン流れていた。

 

 

その反面

あちこちから借金をして

 

 

その返済に苦しむ「多重債務者」

が社会問題化していた。

 

 

その結果

 

 

裁判所に申し立てられる

「自己破産」案件の件数も

うなぎ上りに上がっていた。

 

 

弁護士になったばかりの私は

当然まだ自分で仕事を

とってくる力はない。

 

 

それはそうだろう。

 

 

経験もなく

人脈もないのだから

そうそう仕事の依頼は来ない。

 

 

ただ

この当時

 

 

弁護士会が市民の方向けに

「借金・債務整理法律相談」

を実施ていた。

 

 

そして

この法律相談は

 

 

新人の弁護士でも担当

することができた。

 

 

自分の仕事が少なかったので

私もよくこの弁護士会の

法律相談に出かけて行った。

 

 

この法律相談に行くと

まさにこの「多重債務者」の方からの

相談をたくさん受けた。

 

 

そんなわけで

私の新人時代は

 

 

毎日借金の相談に明け暮れていた

と言ってもいい。

 

 

サラ金から借金をして返せなくなるなんて

だらしのない人

と思うかも知れない。

 

 

確かに

そういう人もいることはいる。

 

 

しかし

私が経験した借金の相談の多くは

真面目な人が多かった。

 

 

真面目に働いていたが

ある日病気で入院して

働けなくなったとか

 

 

交通事故にあったとか

リストラにあって失業したとか。

 

 

そうしたとき

簡単にお金を借りられるのが

当時のサラ金だった。

 

 

しかし

後で詳しく話すが

当時のサラ金は

 

 

法律の規制が甘く

今よりもかなり法外な

金利をとっていた。

 

 

一度サラ金で「つまむ」習慣ができると

また困ったときに安易に

借りるようになってしまう。

 

 

気づくと金利が

膨れ上がって返せなくなる。

 

 

そんなパターンが多かった。

 

 

こうした「多重債務者」の方から相談を受け

自己破産の案件を受任する。

 

 

そんな仕事が大半を占めていた。

 

 

自己破産なんて

お金のない人なので

 

 

果たして仕事になるのか

と疑問を持たれるかも知れない。

 

 

もちろん

こうした人から一括で

弁護士費用をもらうことはできない。

 

 

なので

毎月5000円とか

1万円とか

 

 

可能な範囲で分割で

払ってもらっていた。

 

 

1件1件の実入りは小さいが

しかし件数が多くなると

これが馬鹿にならないのである。

 

 

当時は債務整理の案件を

常時40〜50件程度抱えていたから

実はそれなりの売上にはなったのだ。

 

 

 

 

程なく訪れた「過払いバブル」

私が弁護士になって

2〜3年が経った頃

 

 

私たちの業界は

いわゆる「過払いバブル」

と呼ばれる現象が起こってきた。

 

 

あの当時

サラ金がお金を貸すと

その金利の構造が複雑だった。

 

 

まず

「利息制限法」という法律がある。

 

 

これは

利息の上限が年利

15%〜20%と定められている。

 

 

しかし

当時のサラ金は

 

 

どこもこの「利息制限法」を

守っていなかった。

 

 

大手のサラ金が法律を

守っていなかったなんて

 

 

そんな馬鹿な

と思われるかも知れない。

 

 

しかし

当時は

 

 

この「利息制限法」に違反しても

ペナルティーがない

というザル法だった。

 

 

他方で

「出資法」という法律があって

 

 

ここでは当時年利約29%が

上限と定められていて

これに違反すると罰則もあった。

 

 

したがって

当時のサラ金会社は

 

 

この利息制限法の上限金利は超えるけれども

出資法の上限である約29%

ギリギリの金利で貸していた。

 

 

この

利息制限法の上限を超えて

 

 

出資法の上限の範囲内の金利のことを

「グレーゾーン金利」と言ったりする。

ところが

最高裁で

 

 

利息制限法の上限金利を超える部分は

「不当利得」であるから

 

 

払った金利を返せと請求できる

という判決が出た。

 

 

最高裁の判決というものは

影響力が大きく

 

 

時に新たな法律を作るのと

同じ効果が生じることがある。

 

 

この

グレーゾーン金利としてサラ金が

とっていた部分のことを

 

 

俗に「過払金」と言ったりする。

 

 

この最高裁判決が出た後

全国の「多重債務者」の方から

 

 

サラ金会社に対して

この「過払金」の返還請求が相次いだ。

 

この過払金の返還を求める仕事に

当時の多くの弁護士や

司法書士が携わった。

 

 

最高裁の判決があるので

裁判を起こせば

 

 

ほぼこのグレーゾーン金利の部分は

サラ金から取り返すことができる。

 

 

そして

取り返したお金から

「報酬」をいただく。

 

 

つまり

「過払金」の仕事は

 

 

当時の弁護士や司法書士にとって

確実に「報酬」がもらえるかなり

「オイシイ」仕事だったのだ。

 

 

これが

俗にいう「過払いバブル」である。

 

 

当時の私も

この過払金の案件を多数やった。

 

 

その結果

新人弁護士であるにも関わらず

 

 

かなり高額の報酬をもらえることもあり

売上も上がっていった。

 

 

 

 

 

 

 

「危機」が迫っているのに気づかない??

若い頃の私というのは

実に単純で調子に

乗りやすい性格だった。

 

 

新人なのに

こんなに売上を

上げられる自分はすごい。

 

 

自分には稼ぐ能力がある

と大きな勘違いを

するようになっていく。

 

 

生活も派手になり

金遣いも荒くなる。

 

 

自分がすごいと勘違いすると

だんだん他人に対する態度も

「傲慢」になってくる。

 

 

事務所の中でも

「俺は稼いでるんだ」と

デカい態度をとるようになる。

 

 

先輩弁護士に対しても随分と

生意気な態度をとったし

 

 

後輩弁護士や事務スタッフに対しても

随分と偉そうな態度で接していた。

 

 

しかし

そんな状態は長くは続かなかった。

 

 

実はこの当時から

私たちの業界を取り巻く経済的環境に

ひしひしと「危機」が迫っていた。

 

 

1つは

法律が改正されて

 

 

利息制限法を超える金利をとった場合に

罰則規定が適用されるようになった。

 

 

すなわち

もはやサラ金会社はグレーゾーン金利で

貸し出すことができなくなった。

 

 

これは

「過払金」というものが早晩

発生しなくなることを意味する。

 

 

過払金がなくなれば

その返還を求めるという

私たちの仕事もなくなる。

 

 

つまり

過払いバブルの終焉である。

 

 

そもそも

過払金などというものはない方が良いのだが

 

 

下世話な言い方をすれば

私たちの業界にとって

 

 

オイシイ仕事がなくなる

ということも意味していた。

 

 

もう1つは

司法制度改革である。

 

 

司法制度改革で

弁護士の数が足りないといことで

大幅な弁護士の増員政策が断行された。

 

 

これにより

特に都心部では弁護士同士の競争が厳しくなり

 

 

いわゆる「食えない弁護士」が

出てくるようになる。

 

 

しかし

バブルに踊っている者は

 

 

実はそれが「バブル」だということには

気づきにくいものである。

 

 

今の好景気が永遠に

続くかのように錯覚する。

 

 

世間知らずで苦労知らずの

「イケイケ新人弁護士」だった私。

 

 

しかし

その破綻の影は

ジワジワと近づいていたのであった。

 

 

(つづく)

 

 

 

 

 

 

 

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昨日は朝の新幹線で福岡へ。ところが事故の影響で新幹線の大幅な遅れ。いろいろあり、夕方福岡の久留米着。学生時代の先輩と久しぶりに会い、美味しいお酒を酌み交わしました。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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