(今日の「棒人間」 不安定な綱渡り)
<毎日更新1339日目>
カネの切れ目は縁の切れ目
とはよく言ったものである。
実際
カネがなくなると
事務所も家庭も雰囲気が
ギスギスしてくる。
私の事務所では
定期的に「事務所会議」というものを開いて
当面の課題や経営方針などについて
話し合う機会がある。
この当時の事務所会議は
ほぼ毎回カネの話だった。
しかも
いつもカネが足りない
どのように資金繰りをするか
という話に終始しており
非常にネガティブで重苦しい
空気に包まれていた。
以前も書いたが
弁護士が稼ぐ売上で
事務所の経費をまかないきれない。
ついには
事務局スタッフの人件費に手を
つけざるを得ないところにきた。
具体的には
毎年恒例のように支払っていた
ボーナスを泣いてもらったことがある。
こういうことをやれば
当然スタッフのモチベーションは下がる。
しかし私は
それでも目が覚めなかった。
事務所がこれだけ厳しい状況なのに
コイツらそれがわからんのか。
自分は生活費もままならないのに
お前らの給料を優先して
払ってやってるのだ。
ありがたいと思え!
言葉にこそ出さなかったが
私のスタッフに対する
苛立ちは日々つのり
彼らに対して非常に傲慢かつ
尊大な態度で接していた。
私が震災や原発事故の被災者支援という
「ボランティア活動」にのめり込み
事務所経営をほっぽらかしている間
彼らが日々
どんな気持ちで働いているのか
その気持ちを察することもできなかった。
弁護士同士もやはり
ギクシャクしていた。
うちの事務所は
もともと所員の仲が良く
居心地のよい事務所だった。
しかし
こうした状況で
事務所内の空気は急速に悪化した。
わずか10数名の零細組織だ。
事務所から
「笑顔」が消えていった。
その結果
数年の間に弁護士2名
事務局スタッフ3名が事務所を去る
という事態が起こった。
本当に
組織は崩壊寸前だった。
こうした状況が続き
さすがの私も「ヤバい」と思い
少しは「仕事」に身を入れ始めた。
身を入れ始めたのは良いが
しかし
だからと言ってそうすぐには
収益は改善しない。
というのは
実は
弁護士の収益構造というのは
結構「水商売」なところがある。
一般の弁護士は
ほとんどが「事件収入」と
呼ばれるものに依存している。
「事件収入」とは
たとえば裁判や交渉事案など
トラブルになった「事件」を
受任する際の弁護士費用だ。
具体的には
案件を受任するときには着手金を
案件が解決したときには報酬金をいただく。
着手金や報酬金の金額は
その案件の大きさによって
まちまちだ。
たまに
大きな案件が解決すると
大きな額の報酬金が入ることもある。
しかし
いつこうした案件の依頼が来て
それがいつ解決するかの
予測はほとんど立たない。
つまり
半年後
1年後の売上予測が
ほとんどできないのだ。
だから
今年はたまたま良かったけど
来年はまたどうなるかわからない。
弁護士のビジネスというのは
こうした不安定すぎる収益構造に
依存しているのである。
私は
この不安定な収益構造が
イヤでイヤで仕方がなかった。
昔は
たまたま大きな報酬をいただけたときなど
大いに喜んだものだが
あの経済危機を経験した後は
素直に喜べない。
こんなもの
ただの「バブル」で
この先どうなるかわからない。
いつまた
あのサラ金でつまんでいた頃や
子どものオムツ代にも事欠く生活に
転落するかわからない。
お金に対する恐怖感からは
1年365日開放されることはなかった。
もっとも
それが本来はまともな経営者の
感覚というものだろう。
単にそれまでの私が
甘すぎただけなのだ。
とは言え
この頃の私は
なんとか売上を安定させたい。
お金がなくなる恐怖から逃れたい
その思いがとても強くなっていた。
そんな中
2020年
世界を震撼させたあの
「コロナ禍」がやってきた。
私の売上は
とりあえず最悪期は脱することができたが
それでも不安定だった。
そんなとき
コロナで政府による
緊急事態宣言が出された。
幸い
我々の業界は
コロナによる打撃は
それほど大きくはなかった。
しかし
この時期は裁判所の機能も
ストップしていたので
一時的に仕事がなくなり
急にヒマになった。
こういう時期に「ヒマ」になるというのは
精神衛生上
非常によろしくない。
ついつい余計なことを
しかも悲観的なことばかりを
考えるようになる。
いったい
これからどうなってしまうのだろう?
このときの多くの経営者が
そうであったように
ヒマができたからといって
のんびりしようなどという気持ちは
まったくなかった。
なにか営業をしなくては。
しかし
コロナ禍なので
リアル営業はできない。
それならば
ネット営業だ。
私は
ブログを書くことを思いついた。
実は
もうすでにこの時代には
ブログは陳腐なメディアに
なっていたかも知れない。
しかし
なぜかこのとき
私がいまやるべきことは
ブログしかない
そう思った。
それから
私はコロナ禍で
どうしようもない不安感
恐怖感を打ち消すように
ブログを書き始めた。
本当は毎日書いた方がよいが
この当時の私には
毎日欠かさずブログを書く
などという自信はなかった。
そこで
とりあえずは「平日限定」で
ブログを書いてみることにした。
このブログが
その後私の人生の「転機」に
なっていくのであった。
(つづく)
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。