「執行役員」は
一般的に従業員と同様に
会社と「雇用契約」を結んでいます。
ですから
「執行役員」を辞め
させようとする場合には
従業員と同様に厳しい「解雇」の
規制がかかってきます。
(今日の「棒人間」 その旅費は誰の費用??)
<毎日更新1345日目>
昨日のブログでは
「執行役員」について取り上げました。
この記事が
そこそこ読まれたようで
これを読んだブログ仲間から
とか
などというわけのわからない
コメントが来ておりますが
これは置いておいて。
実際にこの「執行役員」の解雇が
問題となった裁判例を今日は
取り上げてみたいと思います。
とある会社の
常務執行役員が
外注先業者に費用を負担させて
国内旅行を2回
海外旅行1回に参加。
なんか
ありそうな話ではありますね。。。
それで
それが会社にバレて
この常務執行役員は
会社から「諭旨解雇処分」を
受けたそうです。
ただ
会社としては一応温情的措置を
与えるつもりだったのでしょう。
この「諭旨解雇処分」の効力が発生するまでに
常務執行役員が「退職届」を提出すれば
依願退職を認めると告げたそうです。
そこで
この常務執行役員は
会社に「退職届」を提出。
ただ
納得が行かなかったのでしょう
この元常務執行役員は
後に会社に対して裁判を起こしました。
ここで
ちょっと昨日のブログの
おさらいです。
「執行役員」というのは、
取締役などが決定した事業方針に
従って業務を遂行する
事業運営の責任者のことを
言ったりします。
しかし
この「執行役員」は
一般的には従業員と同様に
会社と「雇用契約」を
結んでいます。
ですから
その法的な立場は
会社と「委任契約」を結んでいる
会社の「役員」(取締役など)とは
明確に異なるのでした。
法律上
会社の「役員」と
執行役員も含む「従業員」とは
以下のような違いがあります。
役員(取締役・監査役など) | 従業員(執行役員も含む) | |
会社との契約関係 | 委任契約 | 雇用契約 |
対価 | 役員報酬 | 賃金(給料) |
仕事の仕方 | ある程度自由な裁量がある | 会社から勤怠管理を受ける |
やめさせたいとき | 原則として株主総会でいつでも解任できる | 厳しい解雇の制限がある |
ですから
やはり「執行役員」を辞め
させたいというときは
取締役のように簡単に解任
できるというわけには行きません。
あくまで「解雇」の手続き
を踏まなければならず
一般の「従業員」と同様に
厳しい解雇の規制がかかってきます。
具体的には
「解雇」が有効と認められるためには
という2つの要件を満たす必要があり
これを満たさない解雇は
「解雇権の濫用」として
解雇が法的に無効とされてしまいます。
さてさて
冒頭の常務執行役員の話です。
裁判所はこの件で
外注先業者の費用負担で、国内旅行2回、海外旅行1回に参加したことは、ゆ着が生じるリスクが高く、「故意に会社の利益を損なうような行為」にあたる
と判断しました。
実際に
社員が外注先などから
「キックバック」を受けて
その分上乗せした金額を会社に
請求するなどという不祥事は
後を絶ちませんからね。
しかし
裁判所はそのあとで
しかし、現に外注先とゆ着して会社に損害を及ぼしたとまでは認められないから、諭旨解雇は客観的合理的理由及び相当性を欠く。そして、執行役員は、本件諭旨解雇が有効であり、解雇を回避するために退職届を出すほかないと誤認して退職届を出したものであり、退職の意思表示は錯誤により無効
であると判断しました。
つまり
執行役員は
そのままでは「諭旨解雇」になると思い
それが避けられるなら
との思いで「退職届」を出した。
しかし
結局この「諭旨解雇」自体は
法的に無効なので
無効な解雇を有効なものと
勘違いして出した
「退職届」も無効だよ
と言っているわけです。
このブログでも時々
取り上げているとおり
やはり裁判所の「解雇」の
ハードルは非常に高いですね。
単なる不祥事があった
というだけではダメで
それが会社に大きな損害を与えるなど
かなり悪質なものでないと
「解雇」は認められない傾向にあります。
ですから
会社としては
「不祥事」を起こしたからといって
安易に「解雇」しないように
気をつけなければなりません。
判断に迷う場合は
慌てて結論を出さず
弁護士に相談するなどすることを
お勧めします。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。