有料データベースに掲載された
有名な事件の裁判例。
この判決文を印刷して
メルカリで販売してしまいました。
これは
著作権法に違反するのでしょうか?
(今日の「棒人間」 判決文をメルカリに売る、はアリか?)
<毎日更新1371日目>
先日出た注目のあの事件の判決文、入手しました。
裁判例の有料データベースよりも、うちの方が安いですよ!
昨年出された
とある有名事件の裁判所の判決。
有料データベースである
「TKCローライブラリー」に
この判決文が掲載されました。
ここに掲載されている判決文を印刷し
などとうたって
メルカリでこの判決文を2000円で
販売した人がいたそうです。
ちなみに
「TKCローライブラリー」の利用規約では
私的な利用を超えて
許可なく販売目的などで判決文を
利用することはできないと
規定されていたとのこと。
事実が発覚した後
メルカリでも
として
この判決文の出品は
削除されたそうです。
メルカリで注目裁判の「判決文」販売…実は有料データベースのコピー、「知的財産権を侵害する」として削除
裁判所の判決文というのは
有名な事件であれば
その後裁判例雑誌や有料の
データベースなどに掲載されます。
昔
私が学生の頃は
まだデータベースなんて
ありませんでした。
ですから
判決文を調べようと思ったら
大学の図書館に行って
いろいろ調べてコピーしてとか
結構大変でした。
今は
ネットで簡単に判決文が手に入りますので
本当に便利な時代になったものです。
しかし
便利な世の中ゆえ
こうしたトラブルも
増えているのかも知れません。
先ほど
メルカリ側のコメントを見ましたが
「商標権や著作権などの
知的財産権を侵害する出品」を
禁止しているそうです。
ここで
果たして判決文をメルカリで販売することが
著作権を侵害する行為になるのか
という問題があります。
この点
著作権法上の「著作物」とは
とされています。
ただ
著作権法では
裁判所の判決は
著作権の対象にはならないと
規定されています。
ただし
今回問題となった有料データベースの
「TKCローライブラリー」を見てみると
判決文そのものが
掲載されているというより
裁判例が要約されていたり
独自に編集がなされていたり
解説やコメントなどもあったりします。
そこで
このような編集や付加要素が含まれていると
これはこれで
判決文そのものから独立してある種の
「思想又は感情を創作的に表現したもの」
すなわち「著作物」となる可能性があります。
要は
裁判所が出した判決文そのものは
著作権の対象ではない。
しかし
有料データベースによる編集・加工などがあり
独自のコンテンツと言える状態であれば
それが「著作物」にあたり得る
ということです。
まぁ
いずれにしても
「TKCローライブラリー」の利用規約では
明確に目的外使用が禁止されています。
すなわち
「TKCローライブラリー」に掲載された
判決文を利用者自身が
利用するだけではなく
それを第三者に有料で販売することは
この目的外使用の典型になるわけです。
よって
「TKCローライブラリー」に掲載された
判決文が「著作物」に当たるか
どうかはともかく
やはり問題となる可能性のある行為だ
ということになります。
常識的に考えても
ネット上の有料コンテンツを印刷して
それを有料にて販売すれば
やはり法的に問題となり得るだろう
という感覚を持ってもらいたいものです。
これは
例えは悪いですが
書店で買った書籍をコピーして
有料で販売するのと同じ行為です。
問題は
ネット社会で何もかも便利になり
こうしたことも簡単に行えるように
なっているということ。
そんな時代だからこそ
これは「ちょっとマズいかも」
という感覚を持っていないと
余計なトラブルや「裁判沙汰」に
巻き込まれるリスクがあります。
やはり
その辺のリテラシーは
持ちたいものですね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。