「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

契約が成立していなくても、約束違反でペナルティーを負う場合とは?

契約書

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基本的には

契約が成立していなければ

義務は発生しません。

 

 

しかし

契約成立前でも

 

 

当事者の準備行為が

進んでいたような場合は

 

 

約束違反をするとペナルティーが

課されることがあります。

 

 

 

(今日の「棒人間」 防護服に身をまとう人)

 

<毎日更新1386日目>

用意した「防護服」、どうしてくれる??

この間言っていた、防護服注文の話、あれはなかったことにしてください。

そんな〜、あんたの話を信じて、もう防護服3万着用意しちゃいましたよ。今さらキャンセルなんて、そんなバカな!

だって、契約はまだ成立してませんよ。契約書も作ってないでしょう。
だからうちはいつでもキャンセルできるんですよ。

そんなバカな話あるか!
訴えてやる!!

先日

法律相談のご予約を

いただいていたお客様から

 

 

「急遽

子どもが熱を出してしまって

行かれません。」

 

 

とキャンセルのご連絡を

いただきました。

 

 

もちろん

やむを得ない事情での

キャンセルはあり得ます。

 

 

うちでは

こういう場合に特にキャンセル料

などはいただいておりません。

 

 

しかし

そうも言っていられないケースは

世の中ままあるものです。

 

 

コロナ禍の時代

長野県からコロナ対策の

防護服の発注をされたのに

 

 

一方的にキャンセルされたとして

 

 

同県の企業が長野県を相手に代金

1億7000万円の支払いを求める

裁判を起こしました。

 

 

この裁判

結局県側が7000万円を支払うことで

 

 

裁判上の和解が成立したとの

報道がありました。

 

防護服注文キャンセル賠償訴訟 長野県が会社に和解金支払いへ

 

 

訴えたのは

松本市の婦人服製造販売会社

「カタセ」という会社。

 

 

コロナ禍の2020年4月に

長野県から新型コロナ対策に使う

防護服の注文を受けました。

 

 

具体的には

この年の5月に

 

 

県はこの会社に対して

「防護服8万着の購入契約を準備中」

とする説明書を企業側に送ったそうです。

 

 

そこで

この会社は防護服の

調達準備を行いました。

 

 

ところが

後で医療機関での需要が

少ないことなどが分かり

 

 

県側は3万着に

変更したいと申し出ました。

 

 

結果的に

県がキャンセルを希望した5万着のうち

 

 

2万着はキャンセルできたが

3万着はできなかっとのことです。

 

 

その結果

会社側は

県に一方的にキャンセルされ

 

 

3万着の在庫を抱えたとして

県に1億3400万円余りの

賠償などを求めました。

 

 

一審の長野地裁判決は

双方の過失を指摘した一方で

 

 

「契約の締結を期待させた」

などとして

 

 

県に6700万円余りの

支払いを命じました。

 

 

県と会社側は

それぞれ

判決を不服として控訴していましたが

 

 

今回

県がこの会社に7000万円を支払う

という内容で和解が成立したそうです。

 

 

 

 

契約成立前でも、約束違反でペナルティーを負う場合

この裁判で主な争点となっていたのは

 

 

果たして県から会社に防護服を

注文する正式な「契約」が

成立していたかどうか

という点です。

 

 

事実関係としては

今回「契約書」は正式に締結

されていなかったようですね。

 

 

県としては

あくまで会社に対して

 

 

「防護服8万着の購入契約を準備中」

とする説明書を送ったに過ぎない。

 

 

そこで

県側は

 

 

まだ契約の準備段階で

契約は成立していなかったと

争ったようです。

 

 

理屈上詰めて考えますと

法的に契約が成立していない以上

 

 

県としては防護服の代金を

支払う義務は発生しない

ということになります。

 

 

しかし

上記の事例がまさにそうですが

 

 

一方当事者の言動によって

相手方当事者としては

 

 

いろいろと契約締結に向けて

お金や労力を使って準備を

行うといことがあります。

 

 

それにも関わらず

契約が成立前であれば

 

 

他方の当事者が一方的に約束を反故にし

キャンセルすることができて

しまうのはいかがなものか?

 

 

こういう問題意識のもと

裁判例でも

 

 

例外的に契約締結前であっても

相手方に対して損害賠償が

認められるケースがあるとされています。

 

 

具体的には

① 当事者間の契約交渉の程度の成熟度が高くなっていること

 

② キャンセルした当事者に、信義則違反と評価される落ち度があること

 

 

この2つの要件を満たす場合には

例外的に約束をキャンセル

した相手方に対して

 

 

損害賠償請求が

できるとされています。

 

 

 

 

 

こうしたトラブルを予防するには?

上記の防護服の例でも

長野県という地方公共団体が

 

 

正式に「防護服8万着の購入契約を準備中」

とする説明書を企業側に送っているわけです。

 

 

しかも

コロナ禍の緊迫した情勢でしたし

発注を受けた防護服の数も多いので

 

 

会社としては急遽防護服の調達

に向けて準備を開始したことも

やむを得ないと言えますし

 

 

当然そうした事情も県側は

知っていたわけです。

 

 

このようなケースでは

①当事者間の契約交渉の程度はかなり

成熟していたと評価できるでしょう。

 

 

そこで

やはり契約成立前だからといって

一方的にキャンセルする県側の行為は

 

 

②信義則違反と評価される

落ち度があると考えられます。

 

 

ただ

今回のケース

 

 

「裁判沙汰」を予防を使命

としている私からすれば

少し違う見方をします。

 

 

いくら今回

会社側の主張が認められたとしても

それは主張のうちの一部ですし

 

 

そこに行き着くまでにかなりの

時間とお金をかけているはずです。

 

 

つまり

トラブルに巻き込まれ

 

 

「裁判沙汰」に相当のコストを

かけざるを得ない状況に

なってしまっている。

 

 

こうしたトラブルを

予防するという観点からは

 

 

やはり今回

正式な「契約書」を作成しなかった

ことが最大の原因と言えるでしょう。

 

 

確かに

県という信用できる当事者であったとか

 

 

コロナ禍で急いでいたという

事情はあるでしょう。

 

 

しかし

防護服の数もかなりのもので

金額も相当高額です。

 

 

このような取引で

契約書を作成せずに走り出すというのは

 

 

特に売主側にとっては

リスクでしかありません。

 

 

ですから

やはり契約書はある程度

きちんと作成する。

 

 

自社での作成が難しければ

弁護士に依頼することは必要でしょう。

 

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ただ

今回のような緊急取引のケースでは

いざ「契約書」が必要だとなっても

 

 

一から弁護士を探している

時間的余裕はなかったと思います。

 

 

この会社に顧問弁護士が

いたかどうかは分かりませんが

 

 

こんなとき

顧問弁護士がいれば

 

 

かなり「急ぎ」で契約書を

作ってもらうことも可能です。

 

 

顧問契約は

会社と弁護士が普段から継続的に

お付き合いをしていますので

 

 

咄嗟の時

緊急の時にスミーディーに動いて

もらえるというのがメリットです。

 

 

ですから

やはりいざという時のためにも

 

 

弁護士と顧問契約を結ぶことも

ぜひ検討していただければと思いますね。

 

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さてさて

今日のダジャレを1つ。

契約書は大事です。書面がないと、「しょーめん」からトラブルになりますよ!

 

 

 

 

それでは

ごきげんよう!

 

 

 

 

 

 

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活動ダイジェスト

昨日は、午前中は自宅で「実務で役立つ専門書を読む会」にオンライン参加。保険法に関する勉強会でした。午後は事務所で仕事。お客様との打ち合わせなどでした。夕方学童保育に息子を迎えに行き、この日は夕飯を担当してメインはスパゲティーのナポリタンを作りました。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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