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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【下請法違反・経済上の利益提供】「保管料を払ってください」言いたくても言えない事情

下請法

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元請けや親事業者が

下請会社に対して部品や資材を

無償で保管させるというケース。

 

 

これが下請法違反で摘発される

ケースはよく見聞きします。

 

 

下請会社には

保管料を請求したくても

できない事情があります。

 

 

 

<毎日更新1393日目>

荏原製作所が下請法違反

あの〜、オタクの会社の部品の保管料、払ってくださいよ。

何を言ってるんだ?あの部品はオタクに業務を発注するために置いてあるんじゃないの。

いや、あの部品はもう20年も置かれたままになってますが・・・

 

 

 

荏原製作所という会社で

 

 

ポンプ製造用の木型などを下請けに

無償で長期保管させたのは

下請法違反にあたるということで

 

 

公正取引委員会から勧告を

受けたとの報道がありました。

 

荏原製作所が下請法違反 木型保管巡り、過去最多数

 

 

 

この会社では

下請会社176社に

 

 

無償で木型など計8900個を

長期間保管させていたそうです。

 

 

報道によれば

この会社では

 

 

新たな発注予定がないにもかかわらず

ビルや浄水場の給排水用ポンプの製造に

必要な木型や工具などを保管させていました。

 

 

木型の中には

約3メートル四方のものや

重さ数トンのものもあり

 

 

保管が20年以上に及んだ

社もあったとのことです。

 

 

そこで今回

公正取引委員会がこの会社に対し

 

 

下請けへの保管費用の支払いと

再発防止の勧告を行なったとのことです。

 

 

 

 

下請法が禁じる「経済上の利益提供」

 

下請法という法律で

元請会社や親事業者が

下請会社に対して

 

 

自社のために金銭やサービスその他の

「経済上の利益」を提供させることを

禁止しています。

 

 

ここで「経済上の利益」とは

金銭や役務を提供させる

ことが代表例ではありますが

 

 

それ以外にも「経済上の利益」

といえれば一切のものが

含まれるとされています。

 

 

保管料を支払わずに

下請業社に自社の部品を保管させていた

ということになれば

 

 

やはりこの「経済上の利益」

を提供させたことになります。

 

 

よくあるのは

冒頭の例でもあるように

元請会社が下請会社に対して

 

 

一定の業務を発注する前提で

その業務に使用する部品などを

保管させるというパターンです。

 

 

しかし

実際には業務の発注がなされず

 

 

長期間無償で元請会社の部品を

保管させている格好になっている

ケースが少なくありません。

 

 

いやいや、そう言いますがね、まぁうちと下請との間の長い付き合いで、下請さんにも納得の上で置かせてもらっているんですよ。

 

確かに

そういうケースもあるでしょう。

 

 

それでは

なぜ下請法は

 

 

こうした経済上の利益提供を

禁止しているのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

請求したくてもできない事情

それは

現実の取引社会では

 

 

元請会社・親事業者と下請会社との間には

事実上の力の差があります。

 

 

こういう力の差を前提とすると

力の弱い下請会社の立場からすれば

 

 

何かと元請・親事業者からの理不尽な

要求などを飲まざるを得ないケースが

少なくありません。

 

 

実際

上記の荏原製作所の事例でも

この会社では下請けに対して

保管料、請求してくれたら支払いまっせ

というスタンスを明らかに

していたそうです。

 

 

 

ところが

実際に保管料を請求した下請会社は

ごく一部にとどまったそうです。

 

 

公正取引委員会の調査によれば

下請会社としては

 

 

保管料を請求すれば

今後発注がなくなるのではないか

と恐れたとのこと。

 

 

このように

下請けとしては

 

 

本来なら保管料を請求したいところでしょうが

したくてもできない事情があるわけです。

 

 

公正取引委員会も

下請け側が請求するのは非常にハードルが高い。保管ように倉庫を借りるなどしたコストに、ただ乗りする形だ

と指摘しています。

 

 

 

こうしたことが往々にして

起こりがちなので

 

 

下請法は上記のような

経済上の利益提供を禁止し

下請業社を保護しているわけです。

 

 

いわば

下請法という法律は

 

 

下請業社を保護し

公正な取引を促進するための法律

と言えるでしょう。

 

 

ちなみに

今回の勧告を受けた荏原製作所では

 勧告を厳粛に受け止める

とコメントし

今年から

 

 

下請業社に保管した木型等について

1ヶ月以上発注がなければ保管代金を

支払う対応策を始めたとのことです。

 

 

 

自社の部品や資材を下請業社に

無償で保管させるというケースは

割と多く発生しているようです。

 

 

下請法により

 

 

そうした理不尽な取引を強いられる

会社がなくなるよう

願ってやみません。

 

 

 

 

さてさて

お楽しみの今日のダジャレを1つ。

元請けも下請けも、下請法のもとでしたしく取引を!

 

 

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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