
社員の勤務を改善するために、ミスをした社員に罰金を科したい。
社内にこうした「罰金制度」を設けることは、法的に許されるのでしょうか?
(今日の「棒人間」 罰金を払う人)
<毎日更新1401日目>
書類の誤字脱字、1文字あたり罰金500円!
え?
電話・メールの連絡の放置の罰金1回5000円!
そんな・・・
お客様からのクレーム1回5万円の罰金!
ドヒャー!!
大阪弁護士会所属の男性弁護士が
ミスや依頼者からのクレームが
あった部下の弁護士に対して
「罰金制度」を設けていた
ことが問題となっています。
弁護士が部下に「罰金制度」 半年で650万円 大阪弁護士会が戒告
果たしてどんな罰金制度かというと?
など
全部で18項目で罰金を
設けていたそうです。
そして
この部下の弁護士の罰金が
合計650万円に上っていたとか。
大阪弁護士会は
部下に罰金を科した男性弁護士に対し
「戒告」の懲戒処分を下したとのことです。
この件でちょっと注目したのは
この男性弁護士は
部下の勤務を改善させるために
こうした「罰金制度」を設けたと主張。
部下の弁護士も承諾していて
この部下が退職する際に
退職金として返金するつもりだったとしています。
一般の会社でも
社員のミスに対してこのような
「罰金制度」を設けることは
できるのでしょうか?
実は
労働基準法16条で
と定めています。
「使用者」は会社
「労働者」は社員と
読み替えても良いでしょう。
社員のミスに対して
「罰金制度」を設けることは
「労働契約の不履行について
違約金を定め」ることに該当する
ことになります。
ですから
そもそもこういう契約を
することができない。
つまり
たとえ社員の同意があっても
社員のミスに対して会社が罰金を
徴収することはできない
という結論になります。
ただ
罰金に似て非なる制度として
社員の懲戒処分として「減給」
を行う場合があります。
ただし
実際に懲戒処分としての
減給を行うためには
あらかじめ就業規則で細かい懲戒に関する
規定を整備しておかなければなりません。
また「減給」できる範囲も
という制限があります。
また
社員のミスによって会社に
損害が発生した場合
会社はその社員に対し
被った損害の賠償を請求
することが考えられます。
たとえば
社員のミスで会社の備品が壊れたとか
社員の不手際が原因で顧客を
失ったようなケースが考えられます。
ただし
その場合も
会社は被った損害の全額を
請求できるわけではなく
信義則上相当な範囲に制限されます。
そして
実際に裁判で認められている賠償額も
会社の損害の2割から3割程度
が限度とされることが多いようです。
いずれにしても
安易に社員に対して罰金を科したりすると
社員との間でトラブルや
「裁判沙汰」を招くことになりますので
注意が必要ですね。
それでは
今日のダジャレを1つ。
社員がミスして罰金、それはとてもバツの悪い制度ですね!
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。