「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

職場結婚を理由とする雇い止めと懲戒処分の有効性

LINEで送る
このエントリーを Google ブックマーク に追加
Pocket

職場結婚をしたら

有期雇用社員の妻は雇い止めに

無期雇用社員の夫は降格の懲戒処分。

 

 

事業主のこのような対応は

法的に認められるのでしょうか?

 

 

(今日の「棒人間」 職場結婚はNG??)

 

<毎日更新1410日目>

職場結婚はNG??

今度、職場の同僚と結婚することになりまして。

職場結婚はNGですよ!はい、懲戒処分です。

ええ〜〜そんな!

不文律です。

宮崎県の宮崎産業経営大学というところで

職場結婚を理由に雇い止めをされたり

懲戒処分を受けた

 

 

ということで裁判が起こされた

という報道がありました。

 

職場結婚したら「1人が退職するのが不文律」などと雇い止め、懲戒処分の無効確認など求め提訴

 

 

 

この大学の助教として勤務していた女性と

その夫で同じ大学の教授の男性が職場結婚。

 

 

結婚の報告を受けた大学側は

職場結婚をした場合、1人が退職するのが「不文律」

などとして

この女性の助教を今年度末で

雇い止めにすると通告。

 

 

さらに

男性の方は教授から准教授に

降格する懲戒処分を行いました。

 

 

これらの対応について

大学側は

小規模大学のため、夫婦共稼ぎはご遠慮いただく

などとしているそうです。

 

 

そこで

この夫婦が大学に対し

 

 

職員としての地位確認や懲戒処分の

無効を訴えて裁判を起こした

ということです。

 

 

今どき

 

 

職場結婚を理由に雇い止めとか

懲戒処分を堂々と下すとは

なかなかすごい話ですね。

 

 

 

 

 

 

職場結婚を理由とする雇い止めは許されるか?

まず

今回の大学側の対応を

1つ1つ見ていきましょう。

 

 

妻である助教が「雇い止め」を

通告されたわけですが

 

 

雇い止めとは

有期雇用契約の期間が満了して

契約を更新しないことを言います。

 

 

この点

有期雇用契約ですから

雇用の期間が決まっているわけですが

 

 

だからと言って雇い主側がまったく

自由に雇い止めができる

というわけではありません。

 

 

労働契約法19条では

雇い止めについて

客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき

 

 

雇い主は

雇用契約更新の申し出があった場合

 

 

同一条件でそれを承諾したもの

みなされるとしています。

 

 

確かに

今でも

就業規則などで

 

 

「職場結婚した場合

どちらかが異動ないし退職」などと

定められていることがあります。

 

 

しかし

他方で

 

 

日本国憲法第24条では

婚姻の自由を保障しています。

 

 

また

男女雇用機会均等法では

事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。

とも定められています。

 

 

こうした状況を踏まえると

職場結婚をしたことを理由に

行われた雇い止めは

 

 

「客観的に合理的な理由を欠」くとして

認められない可能性が高いものと考えます。

 

 

 

 

 

 

職場結婚を理由とする懲戒処分の有効性

さてもう1つ

夫である教授は

 

 

准教授に降格するという

懲戒処分を受けています。

 

 

一般に

事業主が行う懲戒処分が

有効であるためには

 

 

まず前提として

就業規則で懲戒事由が

定められていることが必要です。

 

 

この点

就業規則で職場結婚したことを理由に

 

 

降格など懲戒処分を行うことが

定められているケースもあります。

 

 

ただ

就業規則に根拠規定があっても

懲戒処分が無効となる場合があります。

 

 

すなわち

労働契約法15条では

その懲戒処分が

当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

と定められています。

 

 

この点は

やはり先ほどの憲法24条及び

男女雇用機会均等法の趣旨に照らしても

 

 

職場結婚を理由とする懲戒処分は

同じく「客観的に合理的な理由を欠」くとして

無効とされる可能性が高いと考えます。

 

 

この辺のところは

確かに昭和の時代であれば

 

 

職場結婚を理由とする雇い止めや

懲戒処分が有効とされて

いたかも知れません。

 

 

しかし

今の時代はそれと比較して

 

 

多様性や個人の自由を尊重するという

社会的価値観が形成されいてます。

 

 

法律の解釈というものは

決して固定的なものではなく

 

 

こうした時代や地域の価値観が反映され

変化していく側面もあります。

 

 

経営者も

古い価値観のままでいると

 

 

社員との間で思わぬトラブルとなり

「裁判沙汰」に陥るリスクがあります。

 

 

やはり

この辺の価値観のブラッシュアップは

常に意識していく必要があるでしょうね。

 

 

 

 

 

さて

今日のダジャレを1つ。

社内結婚で懲戒処分は無効、そりゃしゃーない??

 

それでは

また。

 

 

 

サービスメニュー

○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●

◾️裁判しないで解決するノーリスクプロモーター・弁護士 吉田悌一郎のプロフィール

 

◾️あなたのお悩み解決・法律相談/なんでも相談サービス

 

◾️あなたの会社のトラブルを予防します〜あんしん法務ガード(顧問契約)

 

◼️「裁判沙汰」を予防する、契約書作成・リーガルチェックサービス

 

◾️弁護士による通知書(内容証明)作成・発送サービス

 

◾️メールによる法律相談サービスについて

 

◾️無料メルマガ「裁判しない生き方」

 

◾️【無料】セルフマガジン『裁判しないで解決する方法』の無料送付

 

◾️YouTube(渋谷の弁護士・吉田悌一郎の中小企業ビジネス法務チャンネル)

 

◾️Voicy(裁判しない弁護士のトラブル解決ラジオ)

 

◾️あなたの声をお聞かせください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

LINEで送る
このエントリーを Google ブックマーク に追加
Pocket

お問い合わせ

住所 150-0031
東京都渋谷区桜丘町4番23号渋谷桜丘ビル8階
マップを見る
受付時間 【平日】9:30〜18:00
【土曜日】9:30〜12:00
渋谷共同法律事務所のHP

           

裁判しないで解決する
ノーリスクプロモーター

                               
名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

カテゴリー