
スターバックスが
火傷を負わせた顧客に対して
日本円で約74億円の賠償を命じられた
との報道がありました。
アメリカでこれだけ巨額の
賠償が認められるのは
「懲罰賠償」という制度が
あるためと言われています。
(今日の「棒人間」 コーヒーで火傷??)
<毎日更新1413日目>
あちち!オタクのコーヒーで火傷したじゃないか!!
お客様、申し訳ございません!!
賠償金を払わんかい!
ば、賠償金!おいくらでございましょう?
74億円!!!
アメリカでは
時々こんな不思議な事件が起こります。
ロサンゼルスのスターバックス店
でのドライブスルー。
客である配達運転手の男性が
熱い飲料を受け取る際に
3杯受け取ったものの
そのうちの1杯の容器がきちんと
閉まっていなかったとかで
手渡される際に飲料が容器からこぼれ
この男性にかかったようです。
そこで
この男性は
スターバックスを提訴。
この度
カリフォルニア州の裁判所で
スタバに対して
なんとこの男性に5000万ドル(約74億円)を
支払うよう命じたという報道がありました。
ホットドリンクこぼれ客やけど スタバに74億円賠償命令 米国
報道によれば
この男性には重度の火傷の痕が残り
神経の損傷もあったようです。
それにしても
火傷の賠償で74億円という
金額は驚きです。
アメリカでは
時おり企業に対してこういった巨額の
賠償を裁判所が命じることがあります。
これはなぜかというと
日本とアメリカで
「損害賠償」をめぐる法制度の
違いが影響しています。
故意や過失で他人に怪我をさせて
損害を発生させた。
その場合
加害者は不法行為に基づく
損害賠償責任を負います。
日本の法律では
加害者が賠償すべき損害の範囲は
加害者の故意・過失(つまり落ち度)と
相当因果関係のある損害に限られます。
上記の火傷のような事案では
たとえば
被害者の治療費や休業損害
慰謝料などが賠償すべき損害とされます。
慰謝料というのは
精神的苦痛に対する賠償ですが
これもそうそう高額にはなりません。
ところが
アメリカでは
これに加えて
「懲罰的損害賠償」という制度があります。
これは
強い非難に値する加害者の行為
に対して裁判所の裁量により
実際の損害の補填に加えて制裁金を
上乗せして賠償させる制度のことです。
いわば
被害者が実際に被った損害を超えて
加害者に対して民事上のペナルティとして
賠償額を上乗せするというものです。
加えて
アメリカでは刑事事件だけではなく
民事事件も「陪審制」といって
プロの裁判官以外に一般人が
裁判の審理に加わる制度があります。
この懲罰賠償と陪審制が
特に企業に対する損害賠償額が高額化する
1つの原因ではないかと指摘されています。
この点
日本の法律では
この懲罰賠償も
民事事件の陪審制も採用していません。
ですから
日本では上記のような火傷の事案で
これほど企業に対する賠償額が高額化
することは考えられないと言えます。
さてさて
日本でも普通に
たとえば飲食店などで
店員のミスによりお客様に火傷などの
怪我をさせてしまう
こともあり得るでしょう。
そうした場合に
お客さんが激昂して
賠償しろ!
と言ってくる場合もあるでしょう。
懲罰賠償という制度はありませんが
お店の側のミスでお客様に
怪我をさせてしまったのであれば
お店としては当然誠意ある
対応をする必要があります。
ただ
気をつけなければならないのは
たとえいくらかの金額をお店が
賠償しなければならないとしても
実際の賠償金がいくらが妥当かは
そう簡単にはわからないということです。
お客さんの怪我がどの程度か
怪我が完治するまでの期間はどうか
後遺症が残るか
仕事を休む必要があったかなどなど
さまざまな要素を考慮して
賠償額が定められます。
ですから
激昂したお客さんから
「賠償しろ」と言われて
安易にその場で賠償の
約束をしないことです。
誠心誠意その場で対応しつつも
具体的な賠償の件は
いったん社に持ち帰って検討が必要です
という対応をすべきです。
というのも
もし怪我をしたお客さんが「クレーマー気質」
「カスハラ気質」を持っていると大変です。
安易に賠償の約束などすると
そこにつけこまれて
要求はどんどんエスカレートして行きます。
現場の店員さんとしても
最初に自分たちのミス(落ち度)で
怪我をさせてしまっているので
動揺もするでしょう。
その結果
顧客の言いなりになってしまう
ケースも少なくありません。
ですから
こんなときはどうする
という対応を現場任せとするのではなく
やはり社内できちんと
シミュレーションや研修を行い
対応方法を共有する必要があるでしょう。
日本では
懲罰賠償をくらう
という心配はないですが
そうした対応方法をきちんと決めておかないと
現場の店員がカスハラ被害に遭う
ということもあり得ますので
注意が必要です。
さて
今日のダジャレを1つ。
スタバに74億円、これは「グランデ」サイズの賠償金!
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
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中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。