
パワハラというと
通常は上司から部下に対するもの
というイメージがあります。
しかし
場合によっては
部下から上司に対するパワハラが
成立することもあります。
(今日の「棒人間」 部下からの突き上げに恐れおののく??)
<毎日更新1423日目>
本部長なんだから、ちゃんとやってください!
こんなこと、いちいち言わせないでください!
そ、それ、パワハラじゃね??
東京都内のソフトウエア会社。
2021年7月より新たに
本部長に就任した男性は
長らく営業畑で
総務などの経験はありませんでした。
慣れない業務のためか
部署の業務にも支障があったようです。
苛立ちをつのらせていたのは
この本部長の部下の女性。
この女性は
社歴も年齢もこの男性本部長より上で
これまで管理部門や総務
人事、経理などの業務を
担ってきたベテランでした。
本部長からのメールにも
などと攻撃的な返信。
同僚もいる中で
この本部長に対してけんか腰の発言や
小バカにした態度を取ることなどがありました。
そのうち
この会社の上層部に対して
この部下の女性について
という通報がありました。
その結果
この女性部下に対し
就業規則違反にあたる本部長への
パワハラを理由にけん責の
懲戒処分が下されました。
この処分に納得できなかった女性は
会社が行った懲戒処分は権利濫用で
無効であるとする裁判を起こしました。
裁判で女性は
自身の言動は本部長へのパワハラには
当たらないなどと主張しました。
これに対して裁判の判決は
女性の言動について
と判断し
会社の懲戒処分は権利濫用に
当たらないと判断しました。
さて、ここで
いったい何が「パワハラ」に
当たるのかという
法律上の「パワハラ」の
定義を見てみましょう。
法律上職場における
「パワハラ」というのは
を言うとされています。
上記の判決では
女性部下の言動が
であり、さらに
それによって男性本部長の
に当たると判断したわけです。
まぁ
ここまではわかりやすいでしょう。
問題は
という要件に当たるかどうか、です。
というのは
「優越的な関係を背景とした言動」
とは
通常は上司から部下に対して
あるいは先輩社員から後輩社員
に対して行われる言動というもの
が想定されます。
この点
逆に部下から上司に対する言動が
「優越的な関係を背景とした言動」
と言えるのでしょうか?
この点
「優越的な関係を背景とした言動」
と言えるかどうかは
形式的な上司や部下
といった職階などではなく
もっと実質的に判断
すべきとされています。
そして
厚生労働省が出している
「職場におけるハラスメント関係指針」
によると
「優越的な関係を背景とした言動」
の中には
同僚または部下による言動も
含まれるとされています。
そして
同僚または部下による言動であっても
その言動を行う人が業務上必要な
知識や豊富な経験を持っている。
その上で
その人の協力を得なければ業務の
円滑な遂行を行うことが困難な場合も
「優越的な関係を背景とした言動」
に該当するとされています。
冒頭のケースも
女性の部下の方が
男性本部長よりも年齢や社歴が長く
本部長よりも管理部門や総務
人事、経理などの業務の知識や
経験が豊富にありました。
そこで
このようなケースでは
部下であっても
「優越的な関係を背景とした言動」
に該当すると判断されたわけです。
そんなわけで
パワハラに該当するかどうかは
職階などで形式的に
決まるものではありません。
あくまでその職場の実態を見て判断される
ということは
押さえておいた方が良いかと思います。
それでは
今日のダジャレを1つ。
部下のパワーに毎日ハラハラ、これってパワハラ??
それでは
また。
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中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。