
工事の途中で追加工事の依頼が。
いちいち書面にするのも面倒なので
口頭で約束して工事を進めます。
後で代金額をめぐってトラブルが発生。
実は、こうした追加工事をめぐる
トラブルはめずらしくありません。
(今日の「棒人間」 そんなの聞いてない??)
<毎日更新1459日目>
工事代金をお支払いください。
契約書の金額より高くなってるじゃないか!
オタクの奥様から追加工事のご要望がありまして。
なに?そんなの聞いてないよ!
都内で工務店の会社を経営するA社長。
顧客から
住宅の新築工事の依頼を受けました。
契約時には契約書をきちんと作成し
代金額や納期なども決めた上で工事を着工。
ちなみに
契約時には
お客様ご夫婦でお見えになり
夫の方が契約書にサインしていました。
ところが
その後は奥さんが現場に頻繁に出入りし
「ここのクロスは変更して」とか
「この棚を追加して」など
いろいろな指示を出していました。
A社長は
奥さんのご要望に基づいて
追加工事を実施しました。
ちなみに
追加工事の都度
その見積書を作成して奥さんに
了解を得ていました。
その後
無事に住宅が完成し
A社長は工事代金を請求します。
ところが
ここでトラブルが勃発。
請求を受けた契約者である夫は
と怒り出す始末。
A社長は
奥様からいろいろと追加注文などを
受けたことを説明しますが
夫は納得しません。
の一点張りです。
このようなケースで
A社長は
果たして追加工事の代金を
請求できるのでしょうか?
整理しますと
今回のケースでは
あくまで住宅の建築請負工事の
発注者(契約者)は夫です。
しかし
実際には妻が現場に出入りして
あれこれの追加工事などの注文をしていた。
A社長としても
ご夫婦であるし
当然夫の方も追加工事を了解していたと
信頼して工事を行っています。
このような場合
契約者である夫は
追加工事について聞いていないなどと言って
その分の代金の支払いを拒否することが
できるのでしょうか?
ここで難しいのは
証拠として残っているのは
あくまで当初の契約書のみであること。
当たり前ですが
契約書には
あくまで当初の工事代金しか記載しておらず
追加工事の金額は記載されていません。
いわば
追加工事については見積書のみで
契約書などのエビデンスはありません。
しかし
このケースでは
当初から契約書の調印時に
ご夫婦でお見えになっています。
そして
その後
妻が現場に出入りして
日常的にA社長の会社の人と
やり取りをしていました。
それについて
夫は特に意見は言わず
いわば黙認していました。
このようなケースでは
いわば妻には夫の正式な
代理人としての権限があると
法的に認められる可能性が高いでしょう。
法律上はこれを
「表見代理」と言ったりします。
まぁ
簡単に言えば
A社長の立場からすれば
発注者は夫婦ですし
妻には契約者である夫から追加工事などの
権限が与えられていると外見上見える。
そうした外見を作り出すについて
契約者である夫にも一定の責任がある
ということです。
ですから
このケースでは
夫の
追加工事なんて知らん!それは妻が勝手にやったことだ!
という弁解は通用しない
ということになります。
まぁ
一般的には常識的に
妥当な結論ですよね。
とは言え
世の中
こういった追加工事をめぐる
トラブルはめずらしくありません。
こうしたトラブルを予防するには
どうしたら良いのでしょうか?
こうしたトラブルの原因として
追加工事についてきちんとした
合意書なり契約書なりがない
ということがあります。
しかし
1つ1つの追加工事や仕様変更は
それほど金額が大きくないことが多い。
そうなると
その度に一々契約書を作り直して
代金額を変更するのは面倒ですし
現実的でもありません。
それで
ついつい追加工事については
顧客との間で口頭ですませて
しまうことも少なくありません。
しかし
これが後々のトラブルのタネなんですね。
そこで
トラブル予防の観点からは
あらかじめ
金額をきちんと入れた追加工事の見積書を
渡してから工事を行うことが不可欠でしょう。
ただ
残念ながらそれだけでは
「万全」とは言えません。
上記のようなケースで
妻に見積書を見せて承諾を得ても
後から契約者である夫から
「見ていない」などと言われる
可能性があります。
そこで
見積書に加えて
追加工事に関する
「打ち合わせ議事録」を
きちんと作っておく。
そして
その議事録には
追加工事の内容や概算の金額を
きちんと記載しておく。
また
その内容にも「●●工事を追加」などと
追加工事であることが明らかなような
記載を残しておくことです。
さらに
可能であればその議事録について
契約者である夫の署名をもらっておく。
それが難しければ
その議事録をメールかメッセージで
夫にも送っておくことです。
これだけやっておけば
少なくとも契約者である夫も
追加工事の内容や金額を
知っていたことになる。
後から「あれは妻が勝手にやったこと」
などと言えなくなるわけです。
追加工事で契約書を作らずに
進めて後でトラブルになる。
こうしたことを予防するために
やはり対策はきちんとして
おきたいものです。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。